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王太子タリスの正義

「魔法学校で身分は関係ない」

「国民はみな、わが子だと思え」


王太子タリスは自分なりに国民を愛しており、王太子という自負があった。

昨今は王族でも国民と同じ学校に通うのが普通になってきており、自分も身分を超えた友情を育みたいと、入学を心待ちにしていた。




「あなたは、字が読めないの?」


入学式当日というよき日にもかかわらず、冷たい言葉を投げつけられ、今にも泣き出しそうな少女がいた。

目に涙を浮かべて震える様子は、弱々しい小動物のようだった。

その相手はというと眉一つ動かさず、傷ついた相手に動じるどころか、獲物を観察している蛇のように見えた。


(これが身分差別というやつか! かわいそうに、字が読めないなんて、平民なんだろう)


タリスはある種の使命感めいた感情に動かされ、二人の間に割って入った。

「文字が読めないなら君が案内すればいいだろう」


一応、誤解が無いようにことの経緯を聞いたが、無表情な方の生徒は字が読めないことをわざわざ訪ねた理由について尋ねると、不快そうに眉を顰めるだけで答えなかった。

こういった考えは今のうちに改めなければならない。そう口を開こうとすると、


「やめてください!」

まだ怯えた様子で相手をかばうシャロットという生徒は、よほど方位に疎いのか、ガイダンス会場である学生寮とは別の方向に走り出した。

貴族と思われる生徒の行為を見逃す訳にはいかないと思ったが、シャロットを放っておけず追いかけた。


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