表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

軌跡を信じて

お読み頂き有難う御座います。

ネタバレになるのでタグに悩みますね。

 ああ、可愛らしい顔が欲しい。


 幼少から憧れるあの方が振り向いて、目映い笑顔を向けてくださるような。

 透き通るような美貌が、欲しいの。


 ふわふわの優しい色の髪や、深く煌めく美しい瞳。白薔薇のような肌が欲しい。

 キュッと締まった流行りのドレスが似合う細い腰に、柔らかくしなやかな手足が欲しい。


 祖父譲りの……毎朝仕度に梃子擦る櫛梳っても櫛梳っても固い黒い髪ではなく、酷薄な冷たさと評される水色の目ではなく。

 幼少の黒歴史が現れてしまった地黒い肌ではなく。

 骨太の肩の張った寸胴ではなく、結構張った骨盤に二の腕に脹脛ではなく……!!華奢な体が!!

 いえ、贅沢は申しませんわ。

 王宮で見た他のご令嬢のような、嫋やかで、透き通るような美貌だけでも、欲しいの!!


 そう願いました!強く強く!色々捻り潰して強く強く願いましたわ!肉食メインのお食事も止めて、苦手なお魚やお野菜を多めに摂り気を遣いましたしね!

 肌に透明感が出ると言う流行りの化粧水も、せっせと塗りました。夜更かし気味な生活も見直し……たら、余計目が冴えて昼間に寝る羽目になりましたけれど。あれからどうも夜型生活気味に……なりつつありますけれど。


 ですが!それ以外は順調に、そして今流行りの恋愛小説通り……黒い列なり星の砂糖を7つ溶かした薬草茶を毎晩飲んで、祈りました。

夜が白むまで、心を込めて。きっと、きっと……美しくなる日が来ると信じて。


そしてあの方が私に目を止めてくださる日々が来ると……。

来ると……。中々来なかったのですわ。でも頑張りましたの。

 だけど……だけれどね。


「おおおおおお嬢様のお顔が!!お顔があああああ!!」


 メイドのモニーが取り乱して叫ぶような、こんな事態は望んでいないのですわ。


「お嬢様の、お嬢様のおおおお!!」

「失礼致します!!

 モニー、何だ何があった!!何だってーーー!?」


 駆け付けてきた執事達の……仕付けられた彼らも叫ぶような大騒ぎは望んでいなかったのです。


「お嬢様のお顔と言うか、頭が無いーーー!!」

「有るわよ!!」


 何と言うことでしょう。

 メイドによく磨かれた鏡に映る私の顔は……と言うか、首から上は。


 壁に作り付けの鏡に映る私の顔は綺麗に透き通り……肩から上の部屋のがクリアに見えて……しまいましたの。





クリアな透明素肌(物理)な令嬢の話です。

顔はあります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ