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第6話 初めてのバトル

 高鳴る心臓の鼓動。俺は、『はぐれオオカミ』と対峙する。オオカミは灰色の毛をまとい、鋭い牙をむき出しにして「グルルルルッ!」と低く唸っている。


「よし! 行くぞッ!」


 俺は、意を決して叫ぶ。右手に装備したハンドアクスを振り上げて、オオカミに向かって突進した。そして、オオカミの頭目がけて斧を振り下ろす。


 パシッ!


 オオカミの頭をかち割らんばかりに振り下ろしたのだが、情けない音が響いただけだった。オオカミに全然ダメージを与えた様子は無い。さらに、お返しとばかりに、オオカミは俺の腕に喰らいついた。


「うわああああッ!」


 俺は、思わず絶叫する。腕を食いちぎられるかと思った。しかし、痛みは感じない。そして、思い出す。これはゲームの中なのだと。あまりにもリアルなので、本物のオオカミに襲われていると錯覚してしまったのだ。


「くそッ! 離れろッ!」


 冷静になった俺は、オオカミを蹴り飛ばした。腕からは血も出ていないし、痛みも感じない。しかし、メニューパネルを見るとHPが減っている。


 HP:32/45


 さっきのかみつきで、4分の1くらいのHPが減少していた。つまり、あと4回くらい噛みつかれたら俺は死んでしまう。


「ちくしょうッ! やられてたまるかッ!」


 俺は、ハンドアクスを再び振りかざしてオオカミを攻撃する。だが、やはりオオカミにほとんどダメージを与えることはできなかった。


「ガウーッ!」


 オオカミが飛びかかってきた。俺は、ゴロゴロと地面を転がって何とか避ける。このままでは、負けてしまう。


「ちッ。こ、こいつ…… つ、強い。いや…… ひょっとして、俺が弱いだけなのか?」


 街から出て5分しか経っていない。相手は、ただのオオカミだ。普通の冒険者なら簡単に倒せるはず。しかし、俺には倒せない。なぜなら、俺は全てのステータスを『愛』に極振りしているからだ。今、装備しているハンドアクスでダメージを与えられないのは、ステータス『腕力』が0だからだ。


「ガルルルルッ! ガウーッ!」


 再びオオカミが飛びかかってくる。絶体絶命のピンチ。どうするッ!?


「いや、まだだッ!」


 俺は、ハンドアクスをオオカミに投げつけた。ハンドアクスは投げて攻撃もできるのだ。しかし、オオカミはあっさり避ける。


「よし! ここで、スキル『愛のムチ』を発動ッ! そして『革のムチ』を装備する!」


 俺はメニューパネルを操作して、スキルを選択して発動し、さらにアイテムを装備した。俺の手元に、革のムチが具現化する。


「行くぞッ! これでも喰らえッ!」


 俺は、オオカミに向かってムチを振るった。


 バシィーンッ!


 空気を切り裂くような破裂音が鳴り響く。


「キャィーン!」


 オオカミは、犬のような鳴き声をあげて地面に倒れた。そして、塵となって消えていく。


 メニューパネルに表示された『勝利!』の文字。


「よっしゃー! 勝ったぜーッ!」


 俺は、何とか初めての戦闘に勝利することができたのだった。武器屋でムチを買っておいて正解だった。俺は一人でガッツポーズした。



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