第49話 ロック山
「俺の名前は、ハル。レベル4のバーサーカーだ。こっちは、騎士のカタリナ」
俺は、魔術師のお姉さんミランダに自己紹介をした。隣にいたカタリナもペコリとお辞儀する。
「ねえ、あなたたち。私と一緒に冒険しない? 実は、素材にする鉱石が不足して困っているの。私は、魔術師だからソロで冒険するのはキツイのよね」
ミランダが言った。なるほど。確かに、魔術師は1人で冒険するのに向いていない。このゲーム、アークソウルオンラインでは、魔法を使う時に詠唱時間を要する。その間は、術師は身動きがとれず無防備になるのだ。誰かに守ってもらわねばならない。俺は、ミランダに尋ねた。
「どこに行くつもりなんだ?」
「北にあるロック山よ。山では色々な種類の鉱石が採れるわ。強いモンスターも出るけどね」
ミランダの答えを聞いて少し考える。登山か…… 俺は、チラリとカタリナの方を見た。
「ハルが行きたいなら、私はかまわないよ」
カタリナの答えを聞いて、俺は決心する。
「よし! いいだろう。一緒に冒険しよう。よろしく、ミランダ」
「そうこなくっちゃ! こちらこそ、よろしくね」
こうして、俺は新たなに魔術師のミランダをパーティーに加える。店のオヤジからフィッシュアーマーを受け取ると、さっそく旅立つことにした。
街を出る前に、道具屋によって回復薬や予備の武器なども買っておく。そして、街を出ると北へと向かう街道を歩いた。
「私は魔術師だけど、『金属加工』や『薬品調合』なんかのスキルも持っているの。色々と生産するのも趣味なのよ」
道中、ミランダと話をする。生産職は、けっこう人気がある。一流の職人になれば、自分の店も持てるらしい。
「いつか、自分の工房を持つのが夢なの。まだまだ、お金を貯めないとダメだけど」
「へえ。自分の店か…… すごいな」
ニートの俺には夢みたいな話だ。ミランダは、話を続けた。
「これから行くロック山は、鉱石の他にも薬の原料となる薬草なんかも採れるのよ」
そう言いながらミランダは指さす。その方向に、高い山が見えた。まだまだ道は遠い。
しばらく歩いていると。
「危ないッ!」
カタリナが突然叫んで前に出る。
キンッ!
金属音が響いた。カタリナがロングソードで何かを弾いた。地面に折れた矢が転がる。
「ギャルルル! ギャアーッ!」
わめくような声とともに、3人の人影が現れる。「ピコーン!」と音がしてメニューパネルが開き、メッセージが表示される。
『モルグ族の戦士×3』
モンスター名が表示された。このゲーム、アークソウルオンラインの世界にゴブリンやオークというモンスターはいない。代わりにいるのが、このモルグ族という種族だ。
モルグ族は、青い肌をしている。目は燃えるように赤い。耳は尖っている。鼻は豚のようにつぶれていて、口からは牙が生えている。醜悪な顔をした人型のモンスターだ。
彼らは、知能を持っているため、人間と同じように武器を使う。中には、魔法を使う個体もいるらしい。だが、性格は狡猾で残忍。そして、野蛮である。
「カタリナは、ミランダを守ってくれ」
俺は、ムチとショートソードをかまえて前に出た。モルグ族は、剣と盾を持ったやつが1匹。槍を持ったのが1匹。弓をかまえているのが1匹だ。
「ギャッ! ギャッ! ギャアアーッ!」
奇声を発しながら、モルグ族の戦士が2匹突っ込んでくる。左から盾と剣を持ったやつ。右からは、槍を持ったやつだ。
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