第44話 釣り大会
俺たちは、誰が一番多くのアーマーフィッシュを釣るかで勝負することにした。
「よーし! じゃあ、制限時間は1時間ね。始めッ!」
メルティーのかけ声で釣り大会がスタートする。皆、一斉に竿を振った。
「ふッ。俺の本当の実力を見せてやるぜ」
俺は、けっこう自信があった。釣りなら、子供の頃に何度かしたことがある。カタリナは初心者だし、メルティーは小学生のお子様だ。俺が、負けるなんてあり得ない。
俺は、リールを巻いたり止めたりしてルアーを動かす。大切なのは、イメージすることだ。魚の気持ちになって考えるのだ。そうすれば……
「やった! 釣れました!」
声を上げたのは、カタリナだった。手には、40センチオーバーの立派なアーマーフィッシュを掲げている。嬉しそうな顔で喜んでいる。
「チッ! ビギナーズラックか……」
俺は、舌打ちをした。初心者には、これがあるから恐い。しかし、所詮は素人。すぐに馬脚をあらわすだろう。ふっふっふ。俺が、内心ほくそ笑んでいると。
「フィーッシュ! こっちも釣れたよ!」
メルティーが嬉しそうに声を上げる。これで、釣れていないのは俺だけだ。しかし、焦る必要はない。勝負は、まだこれからだ。釣りに必要なのは、忍耐力だ。
「あッ! やった! また釣れました!」
カタリナが声を上げる。これで、カタリナは2匹目でリードだ。
「やるじゃないか! カタリナ」
俺は、カタリナに声をかけた。
「はい! ありがとう、ハル。釣りって、すごい楽しいね!」
カタリナは、嬉しそうに笑う。NPCのくせに。俺も引きつった笑顔を見せた。今に見ていろ。すぐに追い抜いてやる。そう思いながら、俺は果敢に竿を振った。
それから、30分後――――
釣り大会、中間結果。
1位 カタリナ 5匹
2位 メルティー 4匹
3位 ハル 0匹
カタリナとメルティーが、1匹を争う好勝負を見せているが、俺に至ってはまだ1匹も釣れていない。このままでは、俺の沽券に関わる。
「あれ? どこに行くの? お兄さん!」
メルティーが、俺の背中に声をかけた。
「ああ。ちょっと釣り場を変えようと思ってね……」
俺は、そう言って彼女たちから離れた場所に移動した。
「よし。ここなら大丈夫だ」
俺は、カタリナやメルティーからだいぶ離れた場所に陣取る。残り時間も少ない。俺が逆転するには、あの方法しかない。俺は、手に釣竿ではなくムチを持った。
「行くぞッ! スキル『電撃ムチ』を発動ッ!」
俺は、叫ぶとスキルを発動させた。ゲームの世界では広く知られているが、魚を含む多くの水棲生物は電撃に弱い。それは、現実の世界でも同様だ。
「そりゃあッ!」
俺は、湖に向かってムチを振った。
パッシャーン! バチバチッ!
水の中に高圧電流が流れる。しばらくすると、プカプカとアーマーフィッシュがお腹を上にして浮かんできた。これで、10匹くらいは簡単に獲れる。
「ふっふっふ! これで、俺が1位だぜ!」
勝利を確信して、一人でニヤリと笑った。その時だった。突然、水面が金色に光り出した。
「何だ!? あの光は!?」
俺は、驚いて声を上げる。
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