第40話 魚釣りに行こう
次の日、俺とカタリナは街の酒場にいた。冒険に出るための情報を集めるためだ。酒場の中は、俺と同じプレイヤーたちで賑わっている。昨日のバトルロイヤルの話題で持ち切りだ。
俺は、誰かに声をかけようとキョロキョロしていた。すると、逆に声をかけられた。
「あッ! お兄さんじゃない!」
声のする方を見ると、小学生くらいの美少女がいた。ショートカットの髪型で、活発な感じの美少女だ。俺は、思わず声を上げた。
「メルティーか!」
そう、この女の子の名前はメルティー。昨日のバトルロイヤルで出会った少女だ。現役小学生のプレイヤーである。職業は、暗殺者だ。
「うふふ。お兄さん! また会えて嬉しいよ!」
そう言うと、メルティーは馴れ馴れしく俺の腕にくっついてきた。それを見て、カタリナがムスッとした顔になる。
「あれ? お兄さん。この女の人は誰?」
カタリナに気づいたメルティーが、俺に尋ねる。その質問に、カタリナが答えた。
「はじめまして。私は、カタリナと言います。ハルの婚約者です!」
「おい! カタリナ!」
勝手に婚約者を名乗るカタリナに、俺は思わずツッコんでしまった。それを見てメルティーは、ニヤリと笑った。
「へぇー。お兄さん、彼女がいたんだー。しかも、こんな美人の。隅に置けないねえー」
「ち、違うんだ。実は、カタリナはNPCで……」
俺は、メルティーに事情を説明した。
「ふうん。本当にNPCなんだ」
メルティーは、なんとなく分かってくれたようだ。
「でも、お兄さんの彼女なんでしょ?」
「ええ。恋人です!」
メルティーの質問に、カタリナがまた勝手に答える。俺は額に手をあてた。カタリナが、ポンッと俺の肩をたたいた。
「よかったね! 素敵な恋人がいて。お兄さん!」
前言撤回だ。結局、メルティーはよく分かっていないらしい。
「そんなことよりさぁ、お兄さん。暇なら一緒に魚釣りに行かない? あ。もちろん、彼女さんも一緒に!」
「魚釣り?」
突然のメルティーの誘いに、俺は思わず聞き返した。
「うん。魚釣りだよ。街の東に森があるんだけど。その森の奥に大きな湖があって、アーマーフィッシュっていう魚が釣れるんだ」
アーマーフィッシュ? 聞いた事のない魚の名前だ。
「アーマーフィッシュの鱗は、すごい硬くて防具の素材になるし、高値で売れるんだよ。それに、東の森には強いモンスターが出るからレベル上げにちょうどいいよ」
「へえ。魚釣りか面白そうだな……」
俺は、メルティーの話に興味を持った。ちょうど、どこかに冒険に行きたいと思っていたところだし。俺は、カタリナの顔色を伺った。
「カタリナは、どう思う?」
「ハルが行きたいなら、私はかまわない」
それを聞いて、メルティーが手を叩く。
「よし! それじゃあ、決まりだね! さっそく出発しよう!」
こうして、俺たちはメルティーを新たにパーティーメンバーに加えて旅立つことになった。
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