第39話 バトルロイヤル終了
「それじゃあ、そろそろ終わりにしようか。行くよ」
レイジは、短剣をかまえてゆっくりと近づいて来た。俺もムチをかまえる。
「喰らえッ! 秘技サイドワインダーッ!」
俺は、叫びながらムチを振るった。ムチの先端が蛇のようにグネグネと蛇行する。
「ふんッ! 甘いよ!」
しかし、レイジは短剣でムチの先端を弾いた。そして、いっきに距離を詰めてくる。俺は、左手に持ったショートソードで応戦する。
キンッ! カキーンッ! キーンッ!
刃と刃を打ち鳴らす。だが、近距離では相手の方が1枚上手だ。俺は、レイジの攻撃に徐々に追い詰められていく。
「戦いに必要なのは、想像力だ! 君には、まだそれが足りない!」
レイジの短剣が、俺の肩に突き刺さる。HPがグンと減った。
「く、くそォッ!」
なんとか反撃しようとショートソードを振るうが、それは簡単に弾かれた。そして、さらに腹部にレイジの短剣が刺さる。俺のHPは、0になった。
「そんな……」
体が光の粒子となっていく。砂のように崩れていく。伸ばした手の先に、レイジがいた。彼は、何も言わずに俺に背を向けた。やがて、何も見えなくなっていく。
次に目を開けた時、俺は街の広場に立っていた。
「おめでとうございます! ハル選手は第6位です! レベル3でありながら大健闘です!」
広場の中央に、派手な格好のお姉さんがいてマイクを持って叫んでいた。
「お疲れさま! ハル!」
「カタリナ……」
俺の元に、カタリナがやって来る。
「6位だなんて、すごいじゃないか! よくがんばったな!」
カタリナが褒めてくれた。確かに、上位に残れたのは嬉しいが。5位以上じゃないと特典アイテムはもらえない。それが残念だった。
それから、10分後――――
「アークソウル・オンライン! 第1回バトルロイヤル! ついに決着です! 優勝は、レイジ選手! なんとレベル1で優勝です! 信じられませんッ!」
実況のお姉さんが、興奮気味に叫ぶ。最後に生き残ったのは、あのレイジだった。さすがは、世界レベルのプロゲーマーだ。
「行こうか…… カタリナ」
俺は、隣にいたカタリナに声をかける。1位から5位までの入賞者には、これからインタビューがあるみたいだが、俺には関係ない。俺とカタリナは、広場を後にした。
「ハル。君の戦いは、ずっとモニターで見ていたよ。最後の男、レイジは強かったな」
「うん。あの人は、すごかった。格が違ったよ」
俺とカタリナは、話をしながら街のメインストリートを歩く。俺は、レイジに言われて気になっていたことをカタリナに尋ねた。
「レイジが言ってたんだけど。『戦いに必要なのは、想像力だ』って。これって、どういう意味だと思う?」
カタリナは、あごに手を添えて少し考えた。しばらくして、口を開く。
「そうだね…… NPCの私には、よく分からないが。たぶん、相手の行動を予測することが重要だと言ってるんじゃないかな?」
俺は、黙ってカタリナの話に耳を傾けた。カタリナの説明は続く。
「私たちNPCは、あらかじめプログラムされた動作を実行するようにできている。だから、相手の行動に合わせて動くんだ。相手がこう動いたら、こっちはこう動くみたいにね。言わば、後出しじゃんけんみたいなものさ」
まあ、確かに。コンピューターの動きとはそんなものだ。
「でも、ハル。君たち人間は違う。相手の行動の先を読む事ができる。レイジは、そのことが重要だと言いたかったんじゃないかな?」
「なるほど…… ありがとう! カタリナ」
カタリナと話して、不思議と胸の中でモヤモヤしていたものがなくなった。レイジに負けた悔しさ。5位以内に入れなかった無念さ。そういうものが、なくなってスッキリした。
「よし! もっと強くならなくちゃ。冒険に出てレベルを上げよう!」
「ああ。君はもっと強くなれるよ! ハル!」
俺とカタリナは、新たな冒険に旅立った。
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