第35話 協力プレイ
「お前は…… なぜ、こんな所に?」
俺は、不思議に思って女の子に尋ねる。
「その話はあとだよ。お兄さん。それより、アレを倒すチャンスなんじゃない?」
女の子は、指をさした。その先には、閃光手榴弾をまともに喰らった男が、目を押さえてヨロヨロしている。確かに、あの男を倒すのは今しかない。
「チッ! 分かったよ。行くぜッ!」
俺は、男に向かって思いっきりムチを振るう。女の子もグルカナイフを取り出すと、男に向かって斬りつけた。
「ちくしょーッ! 許さないわよーッ!」
男は、絶叫して立ったまま光の粒子となって消えていく。勝った。恐ろしく強い敵だった。
「ボクたちみたいなレベルの低いプレイヤーでも、工夫すれば高レベルのプレイヤーを倒せるんだよ」
暗殺者の女の子は、俺を見てニコっと笑った。しかし、俺は真剣な表情のまま質問する。
「それより、どうしてお前がここにいるんだ? 答えろ!」
「やだなー。ボクのことは、メルティーって呼んでよ」
「真面目に答えろッ!」
俺は、ムチをかまえた。メルティーは、「やれやれ」って感じのジェスチャーをすると、質問に答え始めた。
「実は、お兄さんのあとをずっと尾けてたのさ」
「何だって!?」
俺は、驚いて声を上げた。全然、気がつかなかった。
「うふふふ。ボクは、こう見えても暗殺者だからね。尾行は、お手の物さ」
「しかし、何のために俺のあとを尾行してたんだ?」
「それは、もちろん。隙を見つけて殺るためだよ。でも、そんな時にレベル15の化け物みたいなプレイヤーが現れたって訳」
確かに、あの男は化け物みたいに強かった。メルティーがいなければ勝てなかっただろう。
「ラッキーだったよ。まともに戦ったら、ボクだって勝てなかっただろうね。お兄さんが上手く注意を引きつけてくれたおかげだよ」
別に、おまえのために戦ったわけではない。俺がムスッとしていると、メルティーはニコっと笑って顔を覗き込んで来た。
「ねえねえ、お兄さん! やっぱりボクと手を組まない? ボクたち良いコンビになれると思うなあ」
「断るッ! お前みたいなヤツは信用できない!」
俺は、はっきりと言い放った。メルティーは、ぷくっと頬を膨らます。
「ちぇッ! じゃあ、またお兄さんのあとを尾けっちゃおっかなー!」
「それは、やめろッ!」
「うふふ。お兄さんに断る権利はないんだよ! さっきもボクがいなかったら、やられてたでしょ?」
うーむ。このまま逃せば、また後をつけ狙われることになる。それは、面倒だ。
「分かった。一時的に、協力しよう……」
「やった! そうこなくっちゃ!」
「あくまで一時的にだからな!」
嬉しそうな顔をするメルティーに、俺は強い口調で言った。彼女は信用できない。ならば、目の届く所に置いていた方がまだ安心だ。
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