第32話 ローズ姉さん現る
俺は、島の中心部を目指して歩いた。途中で2人ほど、別のプレイヤーに遭遇した。いずれも最初に出会ったような戦士タイプのプレイヤーだったが、スキルを使ったムチの攻撃で撃破した。これで、俺の撃破数は4人になった。
島の中心部は、廃墟の街となっていた。崩れかけた建物が立ち並んでいる。誰もいないゴーストタウンだ。俺は、メニューパネルを開いてマップを確認する。やはり、この廃墟の街が島の中心地のようだ。右下の残り人数も確認した。
『残り47人』
400人近くいたプレイヤーも残り50人を切ったようだ。その時、「ピコーン!」と音がしてメニューパネルにメッセージが表示された。
『これから5分後に、戦闘エリアの縮小を開始します。エリア外にいるとダメージを受けますので、ご注意ください』
マップを見ると、島を囲うように丸い円が描かれている。その円は、徐々に小さくなっていた。つまり、円の中が戦闘エリアということらしい。円の外にいるとダメージを受けるのだ。
「始まったか……」
これは、俺の予想していたとおりである。プレイヤー同士を戦わせるために、マップを縮小することは予測の範囲内であった。そのために、わざわざ有利な島の中心部まで移動してきたのだ。これから、島の端にいるプレイヤーは続々と中心部を目指してやって来るだろう。
メニューパネルを閉じると、こちらに向かって来る人影を発見する。上半身が裸で筋肉ムキムキのマッチョな男だった。敵プレイヤーの情報が表示される。
『名前:マリア・ローズ 職業:魔物使い レベル:15』
「レベル15だとッ!?」
俺は、思わず声を上げた。現在、アークソウルオンラインのトッププレイヤーのレベルは20前後と言われている。レベル15といえば、かなりのベテランプレイヤーだ。
「あら? 可愛いお兄さんね。ゾクゾクしちゃう。私と遊びましょ!」
男はペロリと舌を出した。見た目は、マッチョで男らしいが言葉使いがオネエだ。ヤバそうな気配がビンビンする。俺は、右手にムチと左手にショートソードを持ってかまえる。男は、それを見て嬉しそうな顔をした。
「まあ! あなたもムチを使うの? 私たち気が合いそうね。お姉さん嬉しいわ!」
そう言うと男は、腰からムチを取り出した。黒色の革のムチだ。職業が『魔物使い』となっているので、ムチを使っても不思議ではないが。
「さあ、かかって来なさい! ローズお姉さんが、優しくテイムして、あ・げ・る! うふ!」
男は、そう言ってウィンクして見せた。背中に悪寒が走る。今までに感じた事の無い恐怖。この敵は、ただ者ではない。
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