第28話 バトルロイヤル初戦
徐々に視界が鮮明になる。周囲を見渡すと、どうやら俺は海岸にいるようだ。メニューパネルを呼び出して、マップを表示した。島の地図が表示される。俺は、この島の北西の海岸にいるみたいだ。現在地が赤い点で表示されている。また、マップの右下には別の表示があった。
『残り398人』
その人数が何を示しているのかは、言うまでもない。俺は、地図を拡大して周囲の状況をさらに詳しく調べた。近くに集落があるのを見つける。
「よし。まずはこの集落に行ってみるか……」
今回のイベントは、バトルロイヤルと銘打っているが本質は違う。これは、サバイバルゲームだ。他のプレイヤーと戦うのが目的じゃあない。あくまで、目的は最後まで生き残ること。つまり、極端に言えば戦わずに逃げ回ったり隠れたりしても、最後に生き残っていれば勝ちなのだ。
俺は、集落を目指して海岸沿いを歩いていた。目的地に集落を選んだ理由は、アイテムを見つけるためである。建物の中に、アイテムが落ちている可能性が高い。そう考えた結果である。
しかし、集落に着く前に別のプレイヤーと遭遇してしまった。鎧を着た戦士風の男が、俺の前に立ちはだかる。「ピコーン!」と音がしてメニューパネルが開いた。
『名前:レオンフィール 職業:剣士 レベル:8』
なるほど、接敵したプレイヤーの情報が表示されるのか。つまり、相手にも俺の情報が伝わっているはずだ。戦士風の男は、俺を見てニヤリと笑った。
「へへへ。こいつは、ラッキーだぜ! レベル3の初心者じゃねえか!」
そう、俺のレベルはまだ3だ。戦士風の男は、背中から剣を抜く。バスタードソードか。随分と大きい剣だ。俺も武器をかまえる。右手にムチ、左手にショートソードの二刀流だ。
「おいおい! バーサーカーのくせにムチなんて使うのか? とんだ素人だぜ! ははははは!」
男は、余裕そうに笑っている。俺は、男をキッとにらみつけると言い返した。
「うるさいヤツだな。さっさとかかって来いよ!」
「チッ! 舐めやがって! この野郎!」
戦士風の男は、両手でバスタードソードをかまえる。そして、ゆっくりと俺に近づいて来た。
「俺は、リアルじゃ剣道をやってるんだぜ! それに、このレベル差だ。勝てると思ってんのか?」
「ふん! やってみなくちゃ分からないさ。行くぞッ! スキル『愛のムチ』を発動ッ! さらに、スキル『電撃ムチ』を発動ッ!」
俺は、おなじみのスキルを2つ発動させた。
「それがどうしたぁーッ!」
男が斬りかかって来た。俺は、冷静に間合いを見極めてムチを振るう。リーチはこっちの方が長い。
パシィーンッ! バチバチッ!
破裂音が鳴り響く。ムチの先端が、男のひざにヒットした。そこから火花が派手に散った。男の動きがピタリと止まる。
「な、何ィッ!? 馬鹿なッ!? 動かな……」
男は驚いた顔をしている。俺のスキル『電撃ムチ』の効果で、スタンして動けないのだ。その隙に、俺はムチを引き寄せる。そして、再びムチを振るった。
パシィーンッ! バチバチッ!
俺の攻撃が、またヒットする。
「クソォオオオーッ!」
男は、叫びながら倒れた。そして、光の粒子となって消えていく。俺の勝ちだ。
「ふッ。さすがは、レベル8だな。一撃では倒せなかったか……」
とりあえず、初戦は快勝だ。俺は、集落に向かって歩き始めた。まだ、戦いは始まったばかりだ。
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