第26話 もうひとつの武器
カタリナは『2つ目の方法』について説明した。
「右手にムチを持ち攻撃する。しかし、それが防がれて接近された場合。どうすればいいか? 答えは簡単だ。左手に持った別の武器で迎撃するのだ!」
「別の武器で!?」
俺は、驚きのあまり声を上げる。その発想はなかった。カタリナは話を続けた。
「ああ。そうだな。左手でも扱いやすいショートソードなんかどうだ?」
「待てよ。それなら左手に盾を持った方がいいんじゃないか?」
俺は、質問で返した。左手に武器を持つのは、言うのは簡単だが。実践するのは難しい。それならば、防御専用の盾を持った方が現実的である。だが、それを聞いてカタリナは首を横に振る。
「いや、盾はダメだ。君の職業はバーサーカーだ。防御行動が苦手なため、盾を持つのに相性がよくない……」
そういえば、カタリナの言うとおり。最初にバーサーカーを職業に選ぶ時、そんな説明があった気がする。攻撃に特化した職業で、防御は苦手だと。
「それに、盾を持てば確かに攻撃は防げるが、それだけで状況を打破することはできないからだ」
「なるほど……」
俺は、カタリナの案を受け入れることにした。そのために、街に戻って武器屋に行った。そして、まず『恐竜のタマゴ』を売る。
「おお! 『恐竜のタマゴ』か。めずらしいな! 6300GPで買い取るよ!」
武器屋のオヤジが俺に言う。通常は6000GPだが、俺にはスキル『価格交渉』があるため300GP上乗せされた。そして、その金で買い物をする。
「ショートソードを買いたいんだけど?」
俺が尋ねると、武器屋のオヤジは店の奥から1本の剣を持って来た。
「あいよ! ショートソードだ」
オヤジから剣を受け取る。片手でも扱える軽い剣だ。これなら左手でも使えないことはない。俺は、代金を支払うと店を出た。
再び、街の外に出た。人目につかない静かな場所で、カタリナと2人で特訓を始める。
「それじゃあ、行くぞッ! ハル!」
カタリナが叫ぶ。俺は、右手にムチを持ち、左手にショートソードを持つ二刀流で、カタリナに対峙する。まずは、右手に持ったムチを振るう。リーチの長いムチで先制攻撃である。
パシィーンッ!
派手な音が鳴り響くが、カタリナは剣でしっかりとガードしていた。そして、距離を詰めてくる。俺は、左手に持ったショートソードでそれを迎え撃つ。
カキーン! キーン!
何度か打ち合うが、すぐに喉元に剣を突きつけられた。俺の負けだ。
「まいった……」
やはり、利き手でない手で剣を持っても上手く扱えない。
「大丈夫さ。ハル! さあ、練習を続けよう!」
カタリナが俺を励ますように声をかけた。俺は、黙って頷くともう一度、ムチと剣をかまえた。
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