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第25話 カタリナの教え

 俺とカタリナは、街を出てすぐの場所に移動した。


「ここなら人目にもつかないし。丁度いい。ここで訓練をしよう!」


 カタリナは、周囲を見渡しながら言った。周囲に何もない静かな場所だった。カタリナは、俺の方を向いて剣を抜いた。


「それじゃあ、さっそく始めよう。まずは、模擬戦だ! 遠慮はいらない。全力でかかって来い! ハル!」


「わ、分かったよ」


 俺は、そう答えるとムチをかまえた。そして、スキルを発動させる。


「スキル『愛のムチ』を発動ッ! さらに、スキル『電撃ムチ』を発動ッ! 行くぞッ!」


 2つのスキルを発動させると、全力でムチを振るった。


 パシィーンッ!


 破裂音が鳴り響く。しかし、よく見るとカタリナは剣で俺のムチの攻撃を受け止めていた。俺は、慌ててムチを引き寄せて次の攻撃を繰り出そうとするが。それよりも速くカタリナは、俺の懐へと入った。そして、俺の喉元に剣を突きつける。


「勝負ありだね」


「まいったよ……」


 一瞬で勝敗は決した。懐に入られてしまうと俺には、もうどうしようもない。俺は、深くため息をついた。


「はぁー。やっぱり、俺には無理だよ。俺のムチの攻撃はワンパターンだし。それに、懐に入られたら手も足も出ない。プレイヤー同士の戦いじゃあ、勝ち目は無いよ」


 すっかり自信を失くした俺の肩を、カタリナがたたいた。


「そんなことはないぞ! ハル! 君の攻撃は見事だった」


「えッ? でも今、負けたばかりじゃないか……」


「そうだな。ちょっと武器を交換して、もう一度やってみないか?」


 カタリナにそう言われて、俺たちは持っている武器を交換した。カタリナが俺の『革のムチ』を装備して、俺はカタリナの『ロングソード』を装備する。そして、向かい合った。


「よし。それじゃあ、始めよう! かかって来い。ハル!」


「分かった。行くぞッ! カタリナ!」


 俺は、ロングソードをかまえた。そして、カタリナに近寄ろうと足を踏み出す。しかし、その瞬間。カタリナは、ムチを振るった。


 パシィーンッ!


 ムチの先端が、俺の肩に直撃する。なんて速さだ。見えなかった。


「どうだい? 分かったかい? ハル」


 カタリナは、攻撃をやめて俺に説明した。


「ハル。君のムチの攻撃は、かなりの脅威なんだよ。長くてリーチもあるし、先端のスピードは速くて避けるのは難しい。盾でも持っているなら別として、並みのプレイヤーならガードするのも大変だ……」


 確かに、実際に喰らってみて分かった。ムチの攻撃を防ぐのは、思ったより難しい。カタリナの説明は、まだ続いた。


「さらに、君にはスキルがある。『愛のムチ』によって極振りしたステータス『愛』が、攻撃力に変換されるのに加えて、『電撃ムチ』による電撃の追加効果。一撃で必殺となり得る」


 電撃ムチにはスタン効果があるので、当たれば相手を行動不能にすることが可能だ。


「つまり、君は十分に強いのさ。ハル!」


「あ、ありがとう! カタリナ」


 カタリナの言葉に、俺は自信を取り戻した。だが、カタリナは少し重い表情で口を開いた。


「……しかし、相手によっては、通じない場合がある。例えば、あの女みたいに剣と盾を持った完全武装の戦士タイプ」


 リザリィーのことを言っているのだろう。確かに、ムチの攻撃を盾で防がれて、どうすることもできなかった。


「でも安心してくれ! 君の課題は見えている。それは、ムチを防がれて距離を詰められたときに、どう対処すればよいかだ!」


「どうすればいいんだ?」


 それは、俺が最も知りたかったことだ。カタリナは、話を続けた。


「方法としては、2つある。まず1つ。距離を詰められたら、すかさず距離をとって離れる。しかし、これは君の敏捷度では無理だ」


 俺は、ステータスを『愛』に極振りしているため『敏捷』の値は0である。当然、そんな素早さはない。


「だから、2つ目の方法を取るしかない!」


「その方法とは……?」


 カタリナは、俺の目を見て答えた。


「迎え撃つのさ!」


 

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