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第21話 カタリナの微笑み

 リザリィーは、猛烈な勢いでカタリナに斬りかかる。しかし、カタリナは眉ひとつ動かさず流麗な動きで攻撃をかわした。


「す、すごい……」


 俺は、その動きに目を奪われていた。さっき、リザリィーが言っていたプレイングスキルの差というのが、はっきりと分かった。


「くッ! チョロチョロとォッ! 目障りなのよ! アンタ!」


 攻撃をしているリザリィーの方に、焦りの色が見える。カタリナは、涼しい顔でリザリィーの繰り出す斬撃をかわしていた。


「こ、このォーッ!!」


 しびれを切らしたリザリィーが、力いっぱい剣を振る。しかし、力みすぎて体勢が崩れた。その一瞬の隙をカタリナは見逃さなかった。剣道で言う『面抜き胴』の形で一閃。リザリィーの胴体に斬撃を放った。


「そ、そんな……」


 リザリィーは、膝から崩れ落ちる。恨めしそうな顔でカタリナを見た。それでも、カタリナは無表情のままだ。


「覚えときなさいよ。絶対に……」


 そう言いかけてリザリィーは、バタリと倒れた。その後、青白く光る粒子となって消えてなくなる。


 カタリナは、何も言わず金色に輝く長い髪をサッとかきあげて、剣を鞘に収める。そして、俺の元へと歩いてきた。


「あ、ありがとう…… 助かったよ」


 俺は、カタリナに礼を言った。しかし、本心では感謝よりも。なぜ、NPCであるカタリナが俺をわざわざ助けてくれたのか疑問に思っていた。


 戦いの最中ずっと、凍ったように無表情だったカタリナの顔がフワッと氷が溶けたように優しい微笑みに変わる。頬に少し赤みがさしていた。それを見て、俺は思わずドキッとした。


 俺が、ボーッと見とれていると、カタリナは「こほん!」と小さくせき込んで恥じらうように目をそむけた。そして、口を開く。


「気にするな。騎士として当然のことをしただけだ……」


 なるほど。NPCである彼女の行動理念は、騎士道に基づいているのか。俺は、そう理解することにした。しかし、相手がNPCとはいえ何かお礼がしたい。


「あ、あの。助けてもらったお礼を何かしたいのですが……」


 俺が、そう言うと。カタリナは、首を横に振った。


「礼など不要だ。騎士として当然の行いをしただけだと言ったろう?」


「そうですか……」


 そう言われるなら仕方ない。俺は、簡単に引き下がるとその場を立ち去ることにした。


「それじゃあ、ありがとうございました。失礼します」


「ちょちょちょ、ちょっと待て!」


 立ち去ろうとする俺をカタリナは慌てて呼び止めた。とてもNPCとは思えない慌てっぷりである。


「その、なんだ…… 君は、これからどこに行くつもりだ?」


 カタリナにそう聞かれて、少し考えてから答える。


「そうですね…… とりあえず、街に戻ってこの『恐竜のタマゴ』を売ろうかと」


 売却すれば、6000GPになるタマゴだ。売らない手はない。


「よし! だったら私も街まで同行しよう! うん。さっきの女みたいなのに襲われたらいけないからな! それがいい。そうしよう!」


「いや、別にいいですけど……」


 まあ、別に断る理由もない。俺は、カタリナの申し入れを受け入れることにした。カタリナは、とても嬉しそうな顔をする。



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