第17話 リザリィーの作戦
迷路のような巣穴の中を歩くこと約10分。ついに、俺たちは巣穴の最深部へとたどり着いた。
「見て! ハル。あそこにタマゴがあるわ!」
「本当だ。大きいタマゴだなあ……」
リザリィーの指さす向こうに、恐竜のタマゴがあった。見たこともないくらい大きいタマゴだ。バスケットボールの一回り大きいくらいのサイズはある。
すぐにでもタマゴを取りに行きたいところだが。タマゴの前には、1匹の恐竜がウロウロしていた。ティラノサウルスのような大きな口をして、トリケラトプスのような角が生えている。さらに、ステゴサウルスみたいに背中から尻尾に装甲みたいな板がついて、四つん這いでノシノシ歩いていた。
俺たちは、恐竜に見つからないように物影に隠れて様子を伺っていた。
「あいつに気づかれないように、タマゴをゲットしないといけないのか……」
「それは難しいわね。恐竜のタマゴは、特殊アイテムなの。この草原地帯を出るまでアイテムボックスに入れる事はできないわ」
リザリィーの説明に、俺は驚いた顔をした。このゲームの中では、アイテムボックスというシステムがある。手に入れた物を好きな時に出し入れができた。それが使えないとなると、あの大きなタマゴを抱えて移動しなければならない。しかも、恐竜に見つからないようにだ。
「じゃあ、どうするんだ?」
「大丈夫よ。私に任せて! いい作戦があるのよ」
不安な顔で尋ねる俺に、リザリィーは自信ありげな笑みを浮かべる。リザリィーは、俺の目を見て作戦について説明を始めた。
「それじゃあ、ハル。ちょっと、そこに立ってちょうだい。あっち向いたままでいいから」
「ん? ここかい?」
俺は、リザリィーに言われたとおり彼女の前に立つ。
「そうそう。いいわ。そのまま立っててね」
背後からリザリィーの声が聞こえた。その時だった。
ゲシッ!
背中に衝撃が走る。俺は何かに突き飛ばされて、地面にゴロゴロと転がった。
「な、何だ!? いったい何が……」
俺は、立ち上がろうとして顔を上げると。向こうにリザリィーがニヤニヤと笑っているのが見えた。一瞬、「まさか!?」と思ったが、すぐに状況を理解した。
間違いない。俺はリザリィーに突き飛ばされたのだ。
「な、何をするんだッ!? リザリィー!」
俺は叫ぶ。リザリィーは笑いながら口を開けた。
「あははははは! 決まってるでしょ。ハル。これが、作戦よぉー! あなたがオトリなって恐竜を引きつける。その間に、私がタマゴをゲットするって寸法なの! うふふふ!」
「な、何だとッ!?」
その時、ハッと気づいて振り向く。恐竜が俺に向かって走り出していた。俺は、まんまとハメられたのだ。
「く、くそッ! 逃げなきゃ!」
「バイバーイ! ハルゥー! 元気でねー!」
リザリィーが笑いながら手をヒラヒラさせているのが見えたが、今はそれどころではない。俺は全速力で走る。既に、恐竜の鼻先がそこまで迫っていた。
「グオオオオオーーーーーーッ!」
「くそーッ!!」
恐竜が咆哮する。俺は、必死に腕を振って走った。追いつかれた時。それは死を意味する。とにかく今は、走り続けるしかない。
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