第15話 辺境の女騎士
俺とリザリィーは、恐竜の巣穴を目指して歩いていた。しばらく歩いていると、向こうから人影が近づいて来るのが見えた。俺たちと同じプレイヤーだろうか?
「誰かいるみたいだな」
「ああ、あれは……」
リザリィーが答えようとした時。俺は、目を奪われた。近づいて来た人物は、金色の髪の美少女だった。リザリィーと同じ青い目をしている。透き通るよな白い肌。まるで人形のような顔つきだ。
「ここから先は危険だぞ。君たちのレベルでは無理だ。帰りたまえ」
金髪の美少女は、俺たちに向かって話しかけてきた。よく通る凛々しい声だ。リザリィーは、面白くなさそうな顔をしてそっぽを向く。俺は、どうしていいか分からずうろたえていると、金髪の美少女はもう一度口を開く。
「私は、辺境警備隊の騎士。カタリナという者だ。もう一度言う。ここから先は、君たちのレベルでは危険だ。引き返しなさい」
カタリナという名前なのか。しかし、美少女なのに辺境警備隊とは。よく見たら騎士っぽい鎧を身に着けている。腰には剣も携えていた。
「はいはい。ご忠告ありがとう。感謝するわ。でもね、私も騎士なの。だから、放っておいてちょうだい!」
リザリィーが面倒くさそうに答えた。リザリィーの職業は、確かに『騎士』である。金髪の美少女カタリナは、無表情のまま話す。
「忠告はしたからな。死に急ぐんじゃないぞ。じゃあな」
そう言うと静かに去って行った。俺は、その後ろ姿をポカーンと見つめていた。
「何してるの? ハル。早く行くわよ」
「えッ!? あ、ああ。いや。今の人は?」
リザリィーに声をかけられて戸惑う俺。リザリィーは、面倒くさそうな顔をして説明した。
「彼女は、ただのNPCよ。この先は危険だってプレイヤーに警告しているのよ」
「NPCだったのか…… ふうん」
「この世界のNPCって本当に愛想が無いわよねえ。嫌になっちゃう。さあ、さっさと行きましょ」
リザリィーに急かされて俺たちは再び歩き出した。だだっ広い草原地帯に入る。遠くに大きな恐竜が、のそのそと歩いているのが見えた。恐竜はかなり大きい。大型トラックくらいの大きさはある。まともに戦って勝てる気はしない。
「恐竜に見つからないように、静かに歩いてちょうだいね。いい?」
リザリィーに、そう言われて慎重な足どりで歩く。そうして、しばらく歩いているとリザリィーが急に立ち止まった。俺は、思わず彼女の背中に顔をぶつけそうになる。
「見つけたわ! 恐竜の巣穴よ」
リザリィーが振り返らずに言った。その視線の先に、洞穴みたいな大きな穴が開いていた。恐竜が出入りできそうなサイズはある。
「あの中にタマゴがあるわ。ね? 簡単な仕事でしょ。さあ、行くわよ」
リザリィーは、俺の方を向いてウィンクしてみせた。まあ、確かに今のところ簡単に事は進んでいる。恐竜に見つからなければいいだけだ。
いよいよ、俺たちは巣穴の中へと足を踏み入れた。
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