第14話 草原の王者
俺とリザリィーは、カフェのオープンテラス席に向かい合って座った。まるでデートみたいだ。もちろん、俺はデートなんぞ今までしたことはない。ゲームの中とはいえ、初めての体験に少しドキドキしていた。
しかも、リザリィーは飛びきりの美少女である。銀髪の綺麗な長い髪に、吸い込まれそうな青い目。思わず見とれてしまいそうだ。
「そういえば、あなたの名前をまだ聞いてなかったわね」
「お、俺は…… ハルだ」
そう答えると、リザリィーはクスっと笑った。
「そう。いい名前じゃない。改めてよろしくね。ハル」
「あ、ああ」
「さっそくだけど。ハル。とっておきの儲け話があるのよ」
リザリィーは、そう言いながら急に顔を近づけてきた。その仕草に、思わずドキッとする。リザリィーは、話を続けた。
「この街から南西に行ったところに、広い草原地帯があるのよ。そこには『恐竜』っていうモンスターが生息しているの」
「へえー。『恐竜』ね。そのモンスターを倒しに行くのか?」
俺が尋ねると、リザリィーは大きな声で笑った。
「あはははは! 違うわよ。『恐竜』は高レベルのモンスターよ。今の私たちじゃ敵わないわ。いい? 狙うのは『恐竜のタマゴ』よ!」
「恐竜のタマゴ?」
「そう。草原には『恐竜』の巣穴があるわ。その中にある『恐竜のタマゴ』。これは、かなりのレアアイテムよ。売れば、6000GPくらいになるわ」
「6000GPだって!?」
俺は、驚いて声を上げた。リザリィーは、ニヤッと笑う。
「どう? いい話でしょ?」
確かに、悪い話ではない。売れば、6000GPになるなら、2人で山分けすれば1人3000GPである。
「しかし、そんなにうまくいくのか?」
「うふふ。それは、私に任せて。いい作戦があるのよ」
リザリィーは、ウィンクする。自信ありそうな顔だ。
「作戦って?」
「それは、まだ秘密よ。一緒に来るなら、その時に教えてあげる」
俺は、少し悩んだ。3000GPが手に入るなら悪くない話だ。それに、今のところ特に予定もない。
「よし! 分かった。その話、乗るよ。リザリィー」
「そうこなくっちゃ! じゃあ、さっそく行きましょ。ハル」
俺とリザリィーは、カフェを後にする。そして、街を出ると南西へ歩いた。10分くらい歩くと、リザリィーの言ったとおり草原地帯が見える。
「おおッ! すごい広い草原だな」
「ほら。あれを見てごらんなさい。あれが『恐竜』よ」
俺たちは小高い丘の上から、草原地帯を見下ろしていた。リザリィーが指さす先に『恐竜』がいる。
「あれが『恐竜』か…… 俺が知ってる恐竜と違うな」
それは、ティラノサウルスとトリケラトプス、さらにステゴサウルスを混ぜ合わせたような奇妙な生き物だった。モグモグと草原の草を食べている。どうやら草食のようだ。
恐竜は、1匹だけではなかった。広い草原に、数匹の恐竜がいるのが確認できる。
「あいつらは、基本的には大人しいわ。こっちからちょっかいを出さないかぎり、襲ってくることはないわ」
まあ、草食ってるもんな。
「さあ、行きましょ。ハル。あいつらの近くに巣穴があるはずよ」
リザリィーが先頭を歩く。俺は、黙って頷くとそれについて行った。
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