第13話 防具屋にて
最初の街に戻ってきた俺は、ゲームからログアウトした。ずっとゲームの中にいたいくらいだが、現実に戻って飯を食わなければ死んでしまう。
1人きりの暗い部屋で、夕飯のカップ麺をすする。いつもの寂しい引きこもり生活だが、今の俺は少し違う。今の俺には、アークソウルオンラインがある。ゲームの中では、自分がみじめなニートの引きこもりであることを忘れることができた。
次の日、さっそくアークソウルオンラインにログインした。街の入口からゲームが開始された。
「よし。防具を買いに行こう!」
現在の俺に、圧倒的に不足しているのは防御力だ。それに、初期装備のままだと初心者まる出しなのでよろしくない。
「おッ! ここが防具屋だな」
メインストリートを歩いていると、鎧のマークがついた看板を見つけた。さっそく店の中に入ってみる。
「いらっしゃいませ!」
店の奥から女性の店員さんがやって来た。可愛らしい感じの女の人だ。
「あら、初めていらっしゃるお客様ですね。どんな防具をお探しですか?」
店員さんは、丁寧な感じで尋ねてきた。
「あ、えーと。なるべく防御力の高いのを探してるんですが…… 予算は、1000GPくらいで」
「1000GPですか? それなら丁度良い物がありますわ。こちらにどうぞ」
店員に案内されて店の奥に行く。色々な鎧が展示されている中から、店員がひとつの鎧を出した。
「こちら、バトルジャケットという商品ですわ。動きやすくて軽いし、防御力もなかなかのものです」
「へぇー。格好も良いなあ。気にいったよ。いくらですか?」
「定価1000GPのところ、お客さまには特別に900GPでお譲りいたしますわ」
ここで、スキル『価格交渉』が地味に役立つ。実際には、交渉なんかしてないが、勝手に値引きしてくれる。
「よし! 買うよ!」
俺は、バトルジャケットを購入して店内でさっそく装備した。
「よくお似合いですわ! お客様!」
店員のお姉さんのべた褒めに、俺は少し照れるが。まんざらでもない気分だ。バトルジャケットは、鎧というよりごつい革ジャンみたいで格好良かった。
「ありがとうございましたー!」
店員に見送られて店を出る。メインストリートを歩いていると、向こうから歩いてくる銀髪の少女と目が合った。かなりの美少女だ。
「あッ! あんたは……」
美少女は、俺を指さして声を上げた。
「どこかで見たと思ったら、昨日のステータス『愛』に極振りしてたお馬鹿さんじゃない!? あははは!」
いきなり人を指さして笑う。この失礼な女は、俺も思い出した。たしか、リザリィーとかいう名前だ。
「あら? 何? かっこいい服を着てるじゃない? どうしたの、それ?」
リザリィーは、買ったばかりの俺のバトルジャケットをジロジロ見てくる。
「さっき、買ったんだよ! 何か悪いか?」
俺は不機嫌そうな顔で答えた。リザリィーは、ジトっとした目で見てくる。
「いいえ。ふうん。悪くないじゃない。ねえ、ちょっと私と話しない?」
そういう風に言われると断る理由もない。それに、口の悪い女だが見た目はすごい美少女だ。
「まあ、いいけど……」
「決まりね! あそこのカフェで話しましょ!」
リザリィーが指さす方向には、お洒落なオープンテラスのカフェがあった。俺とリザリィーは、歩いてカフェに向かった。
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