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第10話 貯蔵庫のボス(前編)

 俺は、通路を進んでいく。ワインの貯蔵庫という割りには、通路は入り組んでいて迷路のようになっていた。さらに、所々でモンスターラットと遭遇して戦闘になる。


「まいったな。回復薬ポーションも残り少ないぞ……」


 モンスターラットは、単体では別に恐くないが、常に複数で現れるのが厄介だ。しかも素早いので、逃げるのも困難である。ある程度ダメージを受けるのを覚悟で戦うしかなかった。


「ん? おや、扉があるな……」


 通路の突き当りに大きな鉄の扉があった。扉を見るのは、ここに入って初めてだ。何の部屋だろうか? 俺は、ゆっくりと扉を開けた。


 ギギギギギ…………


 扉を開けて中に入ると、少し広い部屋になっていて、奥には大きなたるが置いてある。その樽の影から、何か物音が聴こえる。


 カリカリカリカリ…………


 何かを引っかくような音だ。俺は、覗き込もうと思って近づいた。その時だった。


 バターンッ! ガシャッ!


 勝手に扉が閉まって、さらに施錠される。


「お、おいッ! 何だよ!? これ!」


 俺は慌てて扉を開けようとするが、びくともしない。すごく嫌な予感がする。


 カリカリカリカリカリカリ…………


 振り返ると、例の耳障りな音がまた聴こえる。そして、樽の影から何か白いボールのようなものが転がってきた。


「うわッ!?」


 思わず声を上げてしまった。転がってきたものをよく見ると。頭蓋骨だった。人間の。


「チュウゥゥゥーッ!」


 低いうめき声をあげながら何かが現れる。それは、でかいネズミだった。今までのモンスターラットよりさらに大きい。熊くらいの大きさはある。


「なるほど…… お前が、ここのボスって訳だ」


 俺は、ムチをかまえた。どうやらボスがいる部屋までやって来たようだ。メニューアパネルが開いて、モンスターの名前が表示される。『キングモンスターラット』と書いてあった。


「やるしかないッ! 相手になってやるぜッ!」


 どのみち退路は断たれている。戦うしか道はないのだ。


「スキル『愛のムチ』を発動ッ! これでも喰らえッ!」


 俺の攻撃はワンパターンだが、これに頼るしかない。スキルを発動してムチでひっぱたく。


 パシーンッ!


 心地よい音が鳴り響く。ムチはキングモンスターラットの頭にヒットした。


「チュウゥゥゥーッ!」


 低いうめき声をあげる。だが、キングモンスターラットは倒れない。


「さすがに一発じゃあ無理か…… それなら、もう一度!」


 俺は、再びムチを振るおうとした。しかし、そうはさせまいとキングモンスターラットは突進してくる。


「チュウゥゥゥーッ!!」


 間一髪で、俺は横に飛んで避けた。そう思ったその瞬間。


 パシーンッ!


 乾いた炸裂音が鳴り響く。一瞬、目の前が真っ暗になったかと思うと、いつの間にか俺は地面に転がっていた。


「な、何だ!? 何が起きた!?」


 頭が混乱している状態で、膝をついて何とか立ち上がろうとする。キングモンスターラットの大きな背中が見える。そして、ムチのようなものがヒュンヒュンと空中を踊っていた。


「そうか…… 尻尾か!」


 やつは尻尾をムチのように振って攻撃してきたのだ。ゲームなので痛みはないが、俺のHPは一気に半分近くまで減っていた。


「やるじゃねえか! ネズミのくせに!」


 俺は、立ち上がってかまえる。キングモンスターラットもゆっくりと振り返って、こちらをにらみつけてきた。


 回復薬ポーションも残り少ない。一撃ではしとめられない強敵。だが、俺は心躍っていた。



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