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第9話 地下ワイン貯蔵庫跡

 俺は、酒場を出ると道具屋に向かった。はぐれオオカミを倒して得たお金で、回復薬ポーションをいくつか購入した。スキル『価格交渉』を使ってお得に買い物できた。


「よし。じゃあ、さっき聞いたダンジョンに行ってみるか」


 街を出て、西に続く道を歩く。既に日は暮れて辺りは暗くなっていた。道中、おなじみのモンスター『はぐれオオカミ』に遭遇するが、スキル『愛のムチ』を発動し難なく退けた。


 そして、歩くこと10分。ようやく目的地らしき場所に到着する。


「ここかな? 例のダンジョンの場所は……?」


 目の前には、廃墟のような建物がある。中に入ると、地下へと続く階段があった。


「よ、よし。行くか……」


 1人では、やや心細いが。俺は、初めてのダンジョン探索へと向かった。地下へと続く階段を慎重な足どりで降りていく。ところどころ、壁にロウソクの火が灯されており、薄暗いが見えないことはない。


 俺は、広い部屋にたどり着いた。ひんやりとした空気で、かなり涼しい。周囲を見回すと、あちこちに木製のたるが転がっている。その向こうに、先へと続く通路が見えた。


 とりあえず、この部屋には何も無さそうだ。俺は、通路へと進む。『地下ワイン貯蔵庫跡』というだけあって、その名残が至る所に見える。


「チューチューチュー!」


 しばらく通路を進んでいると、ネズミの鳴き声が聴こえた。まあ、こんな場所だからネズミがいたって不思議ではないが。


「チューッ!」


 鳴き声とともに現れたのは、普通のネズミではなかった。大型犬くらいの大きさの化け物みたいなネズミだった。しかも3匹はいる。


 目の前に、メニューパネルが開く。「モンスターラット」と表示されていた。どうやら、このダンジョンに登場するモンスターのようだ。


「へッ! 今さら、ただでかいだけのネズミなんか恐くないぜ!」


 俺は、革のムチをかまえた。こっちは既に、オオカミを倒しているのだ。ネズミのモンスターなどへっちゃらだ。


「行くぞッ! スキル『愛のムチ』を発動! 喰らえッ!」


 俺は、スキルを発動してムチを振るった。「パシィーンッ!」という破裂音がして、ムチがネズミにヒットする。


「チューッ!!!!」


 モンスターラットの1匹が断末魔の悲鳴をあげて地面に転がった。しかし、2匹目と3匹目のモンスターラットが果敢に俺に向かって飛びついてくる。


「くそッ! かわせない!」


 狭い通路が邪魔して攻撃を避け切れない。モンスターラットの鋭い前歯が、俺の腕をかすめていった。HPがみるみる減っていく。


「チューッ!」


「ネズミなんかに負けるかよッ!」


 その後、数分間の死闘の末。モンスターラットを全て倒した。しかし、こちらもかなりの傷を負ってしまった。防御力の低い初期の装備しか身に着けていないし。複数の敵が相手では、攻撃を全て回避することは不可能だ。


 俺は、回復薬ポーションを飲んでHPを回復させた。


「もう少し、先へ進んでみるか……」


 引き返すにはまだ早い。俺は、通路を先へと進むことにした。



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