プロローグ
「こッ、これはッ! 『アークソウルオンライン』のゲーム機じゃないかッ!?」
手元にある黒いヘッドギアの形をした最先端のゲーム機を見て、久しぶりに俺のテンションが上がる。虚無に包まれた長い引きこもり生活で、こんなにテンションが上がるのは、そうそうあることではない。
『アークソウルオンライン』とは、いわゆるVRMMOと呼ばれる仮想現実の中に入り込む最新のゲームである。仮想現実の世界で、まるで本物のような体験ができるのだ。
俺は、ゲーム機が入っていた小包の宛先をもう一度確認した。宛先は「相川 晴 様」と確かに俺に宛てたものになっている。しかし、差出人の名前などは一切分からなかった。
「いったい、誰から送られてきたんだ……?」
『アークソウルオンライン』は、まだ発売されたばかりのゲームだ。お値段は20万円くらいするとても高価な代物で、引きニートの俺が簡単に手に入れられる物じゃない。
どこかの賞とか、プレゼントの企画に応募した覚えもない。なぜ、このゲーム機が俺の元に送られて来たのかさっぱり分からなかった。
しかし、その事に不安を感じつつも俺にはある衝動が抑えきれなかった。「このゲームをプレイしたい!」という強い欲望だ。
「まあ、足長おじさん的な誰かがプレゼントしてくれたんだろう。きっと、そうに違いない!」
俺は、そう自分に言い聞かせると『アークソウルオンライン』のゲーム機である黒いヘッドギアを頭に装着した。そして、スイッチを入れて起動させる。
「う、うわあッ! 吸い込まれるゥッ!」
思わず叫んでしまった。
それは、まるで意識が別の世界に吸い込まれるような不思議な感覚だった。そして、視界は真っ暗な暗闇に包まれた。
よかったらブックマークや評価をください。
よろしくお願いします!