国家状況
不定期です。
とにかく、今自分がいる国がとてもまずい状況にあることはわかった。
記憶を整理ひていくと、今この城?と言うか宮殿にいるのは奴隷のメイド二人と執事が一人。
掃除は必要最低限、国内には反国家戦力が存在する。いわゆる、盗賊である。
その数が凡そ五十。
国内商業はほとんどが農村。
他国と取引している商会は無し。
他国の進んだ文明を取り入れてもうまくなじまない。
そもそもそんな金はない。
国内の兵力をすべてかき集めてギリ六十。
でもまずは金が欲しい。
そうだ。
どうせ貿易も交易もほとんどないなら、通貨を変えよう。
今、国内各所には一応の役所が存在する。
こんな状況でも国に残ってくれた連中だ。あったこともないので信用は出来ないが、それでも信頼はしている。
俺はダリアンを呼び、早々政策を開始する。
「ダリアン。この国の役人をフル稼働して、通貨を変えよう」
「それでは、混乱を起こしてしまいます」
「なに、何も今ある通貨を無効にするわけではない」
それでも、難しいと思うが。
「なるほど。してどのようになさるおつもりですか?」
常に態度を崩さないダリアン。
こんな時でもその技は顕在であった。
「まず、我が王家の紋章の入った紙幣をとにかく大量に生産してくれ。それをまず農村の民や漁師組合、商会に交換するように言ってくれ。そして、今後我が王家はこの貨幣を通してでしか取引を行わないと触れをだせ」
そもそも、王家の紋章の乱用はその場で死刑、更に今回は紫のインクを使う予定なので、複製はほぼ不可能。挙句、国内の活版印刷所はすべて王家所有だ。
そろそろ維持できなくて、手放そうと思っていたころだった。
昨日の俺、手放さなくてよかったな。
「畏まりました。デザインはどのように致しましょう」
「数字と特殊加工を、そうだな。紙をホワイトウッド国産のにしよう。それと鍛冶師を呼んでくれ」
ホワイトウッドとは、エルフが支配する国で、その国の紙は高価かつ切れにくく、薄い。
エルフが長年かけて育て、丹精込めて作った紙幣はまるで、日本の紙幣の様な紙を作れる。
「わかりました。すぐに手配いたします」
とまあ、こんな椀飯振舞しているが、基本羊用紙一枚は銀貨一枚ほどだ。
では、ホワイトウッド産だとどうなるか。
なんと銀貨三枚。
まさに三倍だ。
これを一億万枚だと約三百億円。
何とか出せない程度だ。
でも、貨幣を交換すれば国内では使えなくても国外で使用できる。
せこいし、穴まみれだが、それでもできるはずだ。多分。