平凡
ふとスティナは隣のシーザーの顔を見る。
「でも、本当に見れば見るほど似ている」
「そりゃ姉弟ですもの。似てるでしょ、私たち」
と、シーナ。
「そうじゃなくて。シーザーって竜の大地の管理人の少年にそっくり。ご親戚とかじゃない?」
それを聞いて、シーナが浮かない顔をした。
「いや、そんなの偶然でしょう」
「ところで、あのペットって名前あるの?」
と聞いたのはクスナだ。
浮かない表情のシーナを察し、話題をかえた。
「うん。トカゲのトッキーちゃん」
スティナは元気いっぱいそう答えた。
すると今度はシーザーが浮かない顔になる。
「あのね、スティナ、ちょっと言いにくいんだけど……」
すごく遠回しな言い方だ。
弟が初対面の女の子にこんな物言いをするなんて、とシーナは緊張した。クスナも同じだった。
「あれ、トカゲじゃなくて、カメレオンだよ」
* * *
魔法使いの国にあるザーグ研究所。
そこは、長生きに固執した一部の魔法使いたちが作った研究所だった。
クローン人間に、人造人間、生身を機械化する技術など。
やがてその目的は細分化され、人造人間の誕生に力を入れる研究者もいた。
そうして、人工的に作られた人間の一人、シーナ。
健康に生まれたシーナは一般の家庭に養女として引き取られた。
元々高齢だった両親は、昨年あいついで亡くなった。
両親は一緒に引き取った弟のシーザーともども、普通に扱い、大切に育ててくれた。
シーナは、このまま平凡に普通に生きていきたいと願っていた。




