ずれてる会話
「まあ、座って」
シーザーは、スティナに毛布を渡し暖炉の前に座るよう、うながす。
シーザーは暖炉に薪を並べる。
薪に手をかざすとぼおっと炎が上がる。
この地域にある魔法使い同盟の開発した薪で、手をかざすだけで火が付く。さらには煤も出にくく安全な薪だった。
これで家じゅうが一斉に暖まる。
スティナは暖炉の前で毛布にくるまり、炎を見ていた。
「すごい魔法だね」
スティナは、シーザーが魔法で薪に火をつけたと思っていた。
「そうだね」
シーザーは、スティナが魔法使い同盟が開発した薪がすごいと言っているんだと思っていた。
そこへ、ドラム缶型の黒いずんぐりしたロボットがココアを持ってきた。
「ファッティ、サンキュ」
と、シーザー。
この地域では、一家に一台ファッティが当たり前にある。
「ありがと」
毛布にくるまり、スティナはココアを一口。
外にいる時はそうでもなかったのに、家の中に入ると自分の体が芯まで冷えていることを自覚した。
スティナは毛布の中で震えだした。
「どうして、あんなところにいたの?」
と、シーザーはスティナの靴を暖炉の前に並べる。
防寒用の靴ではないのだろう。雪でびっちゃり濡れていた。
幸いなことに雪は降っていなかったので服は濡れてなさそうだ。
「ペットのトカゲが逃げちゃって」
「え゛!!」
予想外過ぎる答えだった。
「トカゲって爬虫類の?」
シーザーはごく当たり前のことを聞いていた。
「うん」
スティナはココアを飲みながら、答える。
だんだん体が暖まってきた。
「あの子はシーザーの使い魔なの?」
とスティナはファッティを見ながらそんなことを聞いた。
「……はあ?」
シーザーは、スティナが何を質問してるのかよくわからなかった。
「きみってどこから来たの?」
そういえば、さっき異国の地とか言ってたような……
「エルフの森から」
答え終わったスティナはじーっとシーザーの顔を見る。
かわいい女の子に見つめられ、シーザーは照れた。
「私たち、前に会ったよね?」
「へ!?」
これまた予想外な言葉だった。
「え? これって、もしやナンパされてる?」
さっきのスティナの言葉を真似してみた。
「そうじゃなくて……」
「ほら?えっとー? ……そうだ! 竜の大地!」
「えぇ!?」
「あなた、竜の大地のゲートの管理人でしょ?」
スティナは思い出した。
家に着くなり防寒用の帽子を取ったシーザー。
栗色の髪が現れる。
その顔にどこか見覚えがあると思っていたが、竜の大地にいた管理人の少年だった。
あの時は一緒にいた竜人の少年の方が強く印象に残っていて、失礼ながらも思い出すのに時間がかかった。




