機械仕掛け
「あなた、機械なのよね? その端末、操作できるの?」
「できるよ。だって僕は高性能だからね」
シムは、えっへんと鼻の下を指でこすった。
大げさなジェスチャーだとシームァは思った。
「シームァの手も素敵だよ」
液晶端末が反応しない自分の手を素敵だなんて嫌味かしら? だが、そんなことは口に出さなかった
「それに、僕の目よりシームァの目の方が高性能だね」
シムは研究所の建物を指さした。
「あの建物のガラス越しに僕の体温が見えていたんでしょ?」
「え…えぇ」
シームァは自分が見ていたことを把握されていたことに驚く。
「こっちの世界は火山が盛んで、温度センサーがあてにならないんだ」
そんな説明をされても、シームァにはなんのことだが……?
「竜の大地で地震がすごくてね、あっちこっちの世界からゲートが繋がって確認してたとこなんだ」
「その辺の事情はよくわからないわね」
「まあ、そうだよね。こっちの都合言ってもよくわからないよね」
「あっちのゲートがぱかぱか開くけど、こっちのゲートも不具合が起きてるっぽいね」
「そう?」
「メンテナンス、よろしく」
「え? 私に言われても……?」
「放っておくとまた異世界の誰かが来るよ」
「それは大問題かもしれないわね」
そう言いつつ、他ならぬ目の前のシムこそが異世界の誰かじゃないのかと思った。
「じゃあ、僕はこれで」
シムはゲートの向こうへ帰ってしまった。
シームァはしばらくゲートの前にいた。
また異世界の者が来たらそれはそれでおもしろそうだと、この時は軽く考えていた。
終わり




