シミュレーションロイド
「あの子もシミュレーションロイドかな?」
と、シムィン。
研究所の窓から、ゲート付近の様子を覗っていたシムィンとシームァ。
少し距離がある。
肉眼では見えづらい。
一応のためらいはあったのだが、シムィンは双眼鏡を使って窓から外を見ていた。
クスナにちらっと聞いてた通り、シーザーに瓜二つの少年だったのだ。
「違うわ」
シームァにははっきりわかった。
シームァの目は機械だ。
焦点の設定にもよるが、十キロ以上の距離があっても人間の顔を識別できるくらいの視力がある。それと温度センサー機能もついていた。
「生物の体温じゃない。あの子、機械よ」
* * *
数日後――
シームァは、ゲートのそばにシーザーがいるのに気づいた。
シーザーは異世界間ゲートの中を覗いたり扉を開け閉めしたり……。すると今度はモニターを確認しはじめた。
――シーザーがゲートの確認してる!?
シームァはゲートのそばに近づいてみる。
シーザーだと思った少年、やけに軽装だ。
防寒具らしきものは着ていない。
「シーザーじゃないのね?」
シームァの声に、少年は振り返る。
「やあ、ここは寒いね」
シーザーと瓜二つの少年。
「僕はシム。初めましてだね、お嬢さん?」
――お嬢さん?
シームァは眉をひそめた。
どう見ても、この少年の方が年下だ。
「初めまして。私はシームァ」
シームァの名前を聞いて、シムは目を丸くした。
「僕たち、顔だけじゃなく、名前も似てるんだね」
「そのようね」
「もうお互いの正体、わかってるってことだね?」
「そのようね」
シームァは確信した。
シームァやシムィン、シーナ、シーザーは研究所で生まれたシミュレーションロイドと呼ばれる人工的な人間。
それに対し目の前の少年シムは、どこか別のところで生まれたシミュレーションドールと呼ばれる機械。




