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機械仕掛けの魔法使い -スティナ-  作者: チク


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16/19

スティナ


「僕はシム。さっき、シムって呼ばなかった?」



 そこで、あっとスティナは気づいた。

「私、イフタフヤーシムシムって言ったの。古代エルフの言葉で、ひらけごまって意味」

「え?」

 古代エルフの言葉で『シムシム』はごまのことだ。

 イフタフヤーシムシム(ひらけごま)を、呪文のつもりで唱えたのが、シムという名前の少年を呼んでしまったらしい。



「じゃあ、あなたのことはごまちゃんって呼ぶね」

「シムだって」


 シムは自分と瓜二つの少年のことも気になっていた。

「そちらのイケメン過ぎる少年のお名前は?」


「僕はシーザー・レイ・ラング」

「私、スティナ・レイ・アルフで、私たち偶然同じ名前なの」

 スティナが嬉しそうに語るから、シーザーも嬉しくなった。



「さてと、そろそろゲートが閉まりそうだけど、どこ行くの?」

 と、シム。

「ついでに送っていくよ」


「本当? 嬉しい!」

「きみには薬草もらったしね。ただでいいよ」

「うん。ありがとう」


「そっちのイケメンのシーザーは? 一緒に行くの?」

 それを聞いてシーザーは初めて、一緒に行くという選択肢もあったのかと気づいた。

 だが、無論、それをするわけにはいかない。

 シーザーは首を横に振る。


 スティナは防寒着を脱いでシーザーに渡した。

「本当にありがとう。これ、シーナに返してくれる? 本当に感謝してるって伝えて」

 スティナはシーザーにハグして、ほっぺにキスした。


 シーザーは硬直した。

 昨夜のことも思い出される。

 はずかしいような、どきどきする誰にも言えない出来事――。



 そして、スティナはカゴを持ち、シムの腕をつかみ、二人と一匹は扉の向こうの空間へと消えた。


 シーザーは頬を押さえ、ぼーっとしていた。

 しばらく、ゲートの前で動かずにいた。



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