サイテー
次の日の朝、シームァはゲートの前にいた。
シームァはゲートの周りが雪で積もってないか確認する。
夕べは雪が降らなかったが、霜が積もってることもあるのだ。
ゲートの扉は開くし、特に問題はないだろう。
扉の向こうは異世界だったり、違う星なんてことはなかった。
いつもの見慣れた四角い空間だった。
――まあ、問題なさそうね。
シームァに少し遅れて、シムィンが来た。
「昨夜はずっと調べものしてたみたいだけど、よく起きれたわね」
クスナの家から帰ってきたシムィンは、エルフやゲートやカメレオンについて夢中に語り、その後はずーっと研究所の書庫に籠っていたようだが。
それを聞いて、シムィンは自嘲的に笑う。
「僕は眠らないからね。眠れないが正しいのかな」
* * *
それから、ゲートの前に来たのはシーザーとスティナだ。
シーザーとしては、スティナに帰ってほしくないのだがそうもいかない。
あと、ゲートが開くのを見てみたいというのもあった。
ゲートが開くのに興味があったのは、シーザーだけじゃなく、シームァとシムィンもだ。
二人は同じ敷地の研究所の窓からゲートの様子を覗っていた。
シーザーの姉のシーナは、こっそり隠れて見ていた。
家を出るシーザーには、『最後に二人で思い出残しておきなさい』なんて言って見送って、本当はこっそり後をつけていたのだ。
スティナがどうやって帰るのか興味もあったし、弟の初恋(?)と失恋(!)も気になってしょうがなかった。
隠れてるシーナのところにクスナも合流した。
スティナはゲート横の端末を操作する。
「シーザー、ありがとね」
「……うん」
シーザーはスティナを見ていた。
スティナが帰ってしまう――そう思うと、言葉が出なかった。
「じゃあ、トッキー、よろしくね」
スティナはカゴをゲートの前に置いた。
中にはトカゲならぬカメレオンがいる。
「トッキーがゲートを繋ぐの?」
「うん。だって、トッキーが逃げ出したから、私、ここまで来たんだもん」
「そ…そうだね」
――そっちだったか。
そんなことならペットなんか見つけなきゃよかった、なんて考えたシーザーは自分をサイテーだと思った。




