ひみつのできごと
夕飯を食べた後、スティナはうとうとし始めた。
長旅に、慣れない寒い地で相当体力を使ったのだろう。
シーザーは客室にスティナを案内する。
本当はトランプしたり、もっとお話したいと思っていたが、そうもいかなくなった。
客室のベッドに入ると、スティナは改めて申し訳なさそうな顔をした。
「なんだか迷惑ばかりかけてしまって」
「いやいや、迷惑なんて言わないで」
「何かお礼ができればいいんだけど……」
「お礼は、ぎゅっとハグしてほっぺにちゅーしてくれればいいよ」
シーザーとしては、冗談のつもりだったのだが。
スティナはその通りにした。
上体を起こし、両手をシーザーの背中に回し、頬に口づけた。
スティナの顔がすぐそばにある。
長い髪がふんわり揺れて見えた。
それよりも、頬にあるスティナの唇の感触が柔らかい。
その感触が妙に嬉しいような恥ずかしいような、少し興奮して、どきどきして……
「シーザー、本当にありがとう」
と、またハグされた。
シーザーはもうどきどきして、動けなかった。
「あの、スティナ?」
返事がないので、顔を覗き込むと、スティナは寝ていた。
シーザーは起こさないように、ゆっくりスティナをベッドに寝かせた。
――やっぱり、かわいい……
寝顔を見て、改めてそう思う。
そういえば、エルフっては耳が尖ってるらしいけど……。
シーザーは寝てるスティナの髪をかき上げてみた。
別に尖った耳ではなく、ごくかわいらしい形だと思った。
スティナは起きることなく、気持ちよさそうに寝てた。
シーザーはその寝顔を見ていた。
この唇が、さっき自分の頬に触れた。
その感触がまだ残ってる。
スティナの寝顔を見てると、どきどきして、自分がどうにかなっちゃいそうだ。
シーザーは音を立てないように、部屋から出るのだった。




