コーヒー畑
シーナが夕食の準備をしていた。
それをスティナが手伝う。
「さっきの、クスナという人、一緒に住んでるわけじゃないんですね」
と、スティナ。
クスナは暗くなる前に、自分の家に帰っていた。
「え? えぇ、そうね」
シーナは赤くなってもごもごしている。
スティナとしては、まるで我が家のように振舞っていたクスナが別の家に帰ったから不思議に思っただけだったのだが。
「でも、結婚したら一緒に住むんだろ?」
と、シーザー。
照れ隠しなのか、シーナはシーザーの顔面をグーで押した。
「痛っ」
とシーザー。本当は大して痛くない。
「彼氏の前でそういう素を出したことないから、結婚はまだ先か」
「うるさい」
シーナは、今度は腹をパンチした。
「うっ」
シーザーは腹をおさえる。
今度のは結構痛かった。
「僕、スティナの寝るベッドの準備してくる」
「えっと……? 食べ物のアレルギーとかある?」
シーナは強引に話をかえた。
「大丈夫」
スティナの笑顔はどこか引きつっていた。
* * *
クスナは暗くなる前に、ビニールハウスのコーヒー畑の様子を見に来ていた。
コーヒーは本来なら熱い地域で育つのだが、寒いこの地域のコーヒーは一部のマニアに人気なのだ。
一本、弱ってる木があった。
そういう時は、回復魔法で木を元気にしてやる。
クスナは回復魔法が得意だった。
一通り、見終わった後、畑全体に念を込める。
こうすると、コーヒーの味がよくなる。
クスナの経験からそういう風にするようになっていた。
ビニールハウスから出ると、気温は一気に下がる。
ハウス内はコーヒーの木にあわせた温度だが、外は雪なのだ。
空は夕暮れだった。
暗くなる前に、家に入る。
ビニールハウスと自宅はすぐそばにあった。




