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残虐な天使  作者: 真理なる世界
3/3

血に飢える者(ブラット)

魔術師にはそれぞれ得意分野が有り、人によって、全く異なる。

それを「専攻魔術」と呼ぶのだが、専攻魔術は様々な系統に分岐している。

例えば、四大属性エレメンタルの様に単純なものから、キリスト教の様に複雑なものまで。


魔術は基本的に、何処の誰にでも使えるし、どんな魔術だって正規の手順を踏めば行使できる。

しかし、誰もがあらゆる魔術を行使出来ると言うほど世界は甘くない。


例えば学生で9教科全てが完璧な人間がいたとすれば、その生徒は”天才”と言われる

当然ながらそんな生徒は学校全体で見ても非常に少なく、魔術においても同じく全ての魔術を扱える人間の数はほんの一握りなのである。





                    1


「血に飢える者」に属する天上霊は仕事を終えて自分たちの教会アジトへ向かっている途中だった。

暗部組織の拠点は空きビル、廃墟、商業施設など様々だが、「血に飢える者」の場合は聖堂だ。

クエストは英国教会に設置された関係上、神学校や聖堂、教会事務局などが異常に多く、どんどん新しく建設されている。

その為、古いものも取り壊される訳だが、取り壊しに多額の費用が掛かる為そのまま放置される事も少なくない。

そんな”廃聖堂”の一つ、第三分区に位置する「第三分区第6小分区キリスト英国教会」を天上が買収し、「アマガミ・キリスト英国教会」に改名。

現在は「血に飢える者」のアジトになっている。



天上は時速100キロ以上に加速した状態から真っすぐに タン、という軽快な音を立てて着地する。

普通、100キロ以上に加速した人間が綺麗に着地出来る体制を仮に整える事が出来たとしても、地面に叩き付けられるだけだが、天上には「聖域」というものが常時展開されている。

この「聖域」は占有魔術でも無ければ科学技術でもなく、天上自身にも理解不能だが”物理、魔術問わずあらゆる攻撃を無効化する絶対防御壁”という事だけは確かだ。


まあ、とにかくそれによって速度を無効化した訳だ


天上は双翼を収納して目の前のアジトの重工な扉を押し開いた。

中は八畳程の広さの大広間があり上からシャンデリアの光で照らされていて

更に、四方に柔らかい色のソファーが並べてあり 中央にガラス製のテーブルが置かれている...という大変オシャレなデザインだ。(因みに内装のデザインは天上監修)

が、誰もいない。

天上はいつも道理自分の部屋にいるだろうと考え、「血に飢える者」の構成員である「毒牙桜華」という少女がいる奥の個室へ向かい、ドアノブに触れようとすると

「あー、ちょい待ち、今行くから」

という中学生位の鋭く尖った少女の声が聞こえた

が、天上は構わずドアを開ける。

「ちょっと、今出るって言ってたのに、大体アンタ女の子の部屋を勝手に開ける事自体どうかと思うけどソコントコどう思ってる訳?」

刃の様な鋭い言葉をズバズバと飛ばしてくる少女に対し

「あー、ハイハイ。タイヘンモウシワケアリマセンデシタ」

天上は馬鹿にするような口調で適当に謝る

と、隣から更に「血に飢える者」の構成員「斬咲怜」が現れる。今度はやけに高身長の女性だった、長い髪の毛を束ねて右に流し、腰の左右に西洋剣や日本刀、ナイフ、暗器等を差し込んでいる。

「リーダー。後ほど、お相手してもらっても宜しいでしょうか?」

冷たい氷の様な目をした、しかし奥に情熱を秘めた目をした高身長の女は静かに近づいて来て言った。

「あ、うん。別に構わないけd..」

天上の承諾の言葉は少女の絶対ダメ!、という怒号によって遮られた

「何なんだよ、」

毒牙は鬼の様な形相をして

「まさか、アンタ。忘れたんじゃ無いでしょうねぇ! アンタのせいで教会ここが吹き飛びかけたことを!」

天上は記憶の糸を辿って思考を巡らせ、あー、そういえばそんな事もあったっけなー、と微かな記憶を呼び覚ます。

「そういえば、そうだったね。あの時は...」

言いかけて、毒牙の鋭い言葉に遮られる

「「そういえば、そうだったね。」じゃねぇよ、あの後大変だったんだかんな!?誰が会計管理してやってると思ってんだ、あァ!?」

まるで不良みたいな荒ぶる口調で叫ぶ毒牙を見て、斬咲がボソッとあ、キレた、と呟く。

「あの、その...ご、ごめんね?」

子供の様に純粋な目をした天上は、しかし彼女には届かない。

直後、毒牙の激昂する声が響いた。




                     


そもそも、何故そこまで毒牙が警戒するのかと言うと天上の占有魔術オリジナルが強力すぎる、という点にあるだろう。

天上の占有魔術は御座を刺すインヴィディタと呼ばれていて、簡単に言えば”奇跡の再現ではなく本物の奇跡”を発現させるという力である。

これはどういう事かというと、魔術が奇跡の再現であるのに対し「御座を刺す眼」は本物を奇跡であるという事。

本物の奇跡というのは古いところには天地創造に始まり、最近ではキリストの復活といったところだろう。

こういった奇跡を自在に作り出せるとしたら、昼を夜に変えたり、国一つ丸ごと消し去ったり、下手をすれば惑星を自在に操る事だって出来てしまうかもしれない。

本来は.....

しかし実際は残念な事に、又は幸いな事に、どうも天上の御座を刺す眼は理想と現実にズレがあるらしく

思い描いている事とは全く異なる奇跡が起こってしまうのだ。

とはいえ、目的さえハッキリしていれば用法は異なるが結果的に同じ結果になるらしい。




                     2



クエストの行政を司る「クエスト英国教会領自治都市国議会」はクエストの第五分区、第三小分区にあるまるで王族が暮らしていそうな宮殿。「グロリア・プリンチェプス宮殿」の中にある。

その議会の長たる英国王室第一王女、キャサリン=エリザベス議長は宮殿の自室で優雅に英国産の紅茶を飲んでいた。キャサリンの容姿は腰まで伸びている黄金の髪を七本の縦ロールにしていて、頭には王女の象徴とも言える宝石を真ん中に入ったティアラを付けている...という正に王女様という様な恰好だった。

「やはり、紅茶は英国産に限りますねー」

キャサリンは紅茶を少しづつ飲みながら紅茶のレビューをしているとノックの音が聞こえ、金色で短髪の緑色の目をした16~18歳位の少女、クエスト英国教会自治都市国議会の第一席である「シャルロット=エイリー」が入って来た。

「議長、少し宜しいでしょうか」

シャルロットは鋭い声で言う。

「宜しいですかって、もう入って来てるではありませんかー」

キャサリンはうんざりした様に溜め息をつき

「それで、何ですかー?」

「議長、騎士団の事は知っていますでしょうか」

突然の質問の少し戸惑いながらもキャサリンはゆったりとした声で

「ええ、存じていますよー。私は英国出身ですよ?」

キャサリンは英国をやけに強調する様に話しながら、それが何か?と告げる。

「その事で少し問題が起きた様で、現在このクエストに聖騎士団が向かっているようなのです」

キャサリンから余裕が消える

「それは本当なのですか?騎士団ではなくー?」

聖騎士団とは英国にある「英国騎士団協会」に加盟している信仰の為に戦う騎士団だ、だが聖騎士は通常の騎士とは圧倒的に戦力差があり、その実力は一つの聖騎士団だけで国を制圧出来るとまで言われたほどだ。

つまり、それ程の事態が無い限り聖騎士団が動くことは無い。

「それは... 我々に対する挑戦という事ですかねー」

キャサリンはゆっくりと笑みを浮かべる

「はい、聖騎士団が動くということはそういうことです。狙いは恐らく...」

そこまで言うとキャサリンが遮る様に

「第一枠、天上霊。でしょう、彼が持つ力は世界を敵に回す事になるー」

と、微笑みながら言った。

「では、どう致しましょう?「対魔術警備隊」(コントラ・マジ)に命令しますか?」

「いや、第一枠を使いましょう。ここを逃す手はありませんよー」

キャサリンの笑みは徐々に不適な笑みへと変わってゆく。

シャルロットは、承知いたしましたとだけ告げ、部屋から出て行った。

部屋に一人いるキャサリンは暗い笑みを浮かべながら舌なめずりして、静かにポツリと呟いた。

「第一枠、良い結果を期待しています。私をがっかりさせないで下さいねー」














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