クエスト英国教会領自治都市国
クエスト英国教会領自治都市国、略称”クエスト”と呼ばれている日本の関東地方にイギリスが設立した要塞都市国家だ。面積約2180㎢、総人口約930万人で、周辺に国境となる約10mの壁が築かれている。
都市内は全七分区と全七小分区ごとに分かれていて 立法、司法、行政の全てを政府である英国議会が派遣した”クエスト英国教会領自治都市議会”が行い
日本で言うところの総理大臣にあたる、クエスト英国教会領自治都市国議会議長は英国王室第一王女のキャサリン=エリザベスが務めている。
因みにこの様な都市国家は日本以外にも有り、イギリス東部、イタリア北部、フランス西部に存在する。
それらの国は全てイギリスの英国教会が設立したもので 当然、費用は全額自己負担。なぜ莫大な費用をかけてそんな事をしたのかと言うと、「英国教会の布教と勢力の拡大の為」らしい。
だが、その目的は別にあった。それは.....
「魔術」と言うものを聞いたことがあるだろうか、その言葉だけ聞くと「邪悪なもの」「得体の知れないもの」として扱われがちだがそれは「真実を知らないから」なのではないだろうか。
魔術というのは本来、悪魔と契約を交わしたりすものでも人を呪うものでも無く 一言で言い表すならば
「神秘」なのである。しかし、その一言では語りつくせないだろう。
なぜなら.... と、話し込んで行くとキリが無いので今回はこの辺りで切り上げる事としよう。
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クエストと呼ばれる街は日本の中に存在するが都市ではなく国だ。
その証拠にクエストの外壁は県境ではなく国境として扱われている、言ってみればイタリア、ローマにあるバチカン市国みたいなものだ。
そして、この街にはある秘密がある。決して知られてはならない秘密、
魔術である。
クエストでは世界が知りえない魔術を日々、研究、開発、教育を行っている。
本来、魔術は厳しい修行によって会得するものだが、クェストでは同調装置などを使用して人為的に習得することが可能となっている。
魔術は元々、「世界の秘密たる神秘を研究することで常人が扱いえない奇跡を再現する」術であり 正しい手順を踏めば誰でも使えるが、やはりある程度は術者の才能が必要となってくる。
魔術は大きく分けて二つあり、一つは魔導師が研究、開発を行った魔導書の知識を利用して行使する公用魔術、もう一つは公用魔術を元に個人が研究、開発した占有魔術がある。
公用魔術はいつでもどこでもどんな人であっても使えて、多種多様な魔術が開発されているので非常に便利ではあるが、その一方で 応用力が低く、強力な魔術が少ない傾向にある。
占有魔術は個人の才能や個性によって大きく左右されるため千差万別で、便利と感じる程度のものから街を丸ごと消し飛ばすほどの力を有するものまである。また、公用魔術と違って応用力が非常に高く
一人一人の個性が浮き彫りになる力でもある。その占有魔術の短所と言えば、才能のある限られた人間でしか使えないことや血の滲む様な努力を必要とする場合があるということ。
更にクエストでは公用魔術、占有魔術、併せた個人の強さを成績としてランク分けしている、
下位から順に初等級、中等級、上等級、魔術使い(フォロワー)、魔術師、熾天使級、魔法使い(リパジオ)の7段階に分類されている。公用魔術は全てのランクで使用出来るが、占有魔術は一般的に魔術師以上でなければ扱いが難しいとされている。
そんなクェストには暗部組織という組織が多数存在している。
暗部組織とは、同じ目的を持つ者同士が集まって行動する派閥の様なもので中には非人道的なやり方をするものや、世界に多大な影響を及ぼすものまである。
そんな暗部組織の一つ、血に飢える者は7人のメンバーが属するクエストの組織だ。
「血に飢える者」
のリーダーである天上霊は仕事の依頼を受け、目的地に一人で向かいながら、途中でコンビニでもよってコーヒーを買おうか、と考えていたところだった。
「仕事の依頼」というのは、議会が報酬と引き換えに暗部組織に依頼する仕事で、主な仕事内容は危険人物の抹殺、反乱分子の抹消、情報の隠蔽、削除、など、比較的危険な仕事が多い。
「血に飢える者」のリーダーである天上霊はコーヒー缶の入ったビニール袋を持ってコンビニから出て来た。
途中、嫌な気配を感じたが特に気にしてはいなかった
なぜなら、天上には絶対的な自信があったからだ。
今回の仕事は「いずれ、議会の敵となるであろう反乱分子を抹殺せよ」という内容だ。
ふと、天上霊は目線の先に何か不思議な文様が描かれている事に気づく。しばらく見つめ、ほんの少しばかり笑みを浮かべると潔く足を踏み入れた。
次の瞬間。天上霊を中心に周辺十数メートルを巻き込んだ大規模な爆発が巻き起こった、