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眠くなる方法  作者: 紫陽 圭
5/18

やらかした?

 **********


 「無理~」と眠ります宣言した私はホントに眠ってしまった。

その時に寝台代わりにしてた場所で眠られてはマズイということで、降りてもらおうと思ったけど間に合わず。 いや、下ろすのは間に合ったけど、私は眠ってしまったので、周りに居た面子で慌てて降ろした。 私が落ちて(?)来たのは、大きな祭壇に乗せたマットレスに敷いた敷布の上で、祭壇から降ろそうにもマットごと私を床に降ろすのが精一杯で。

というのも、私が眠りに入り始めるのと同時に、周りの面子も次々に倒れるようにして眠り出したから、人手も時間も無かった、と。

だから、私は床の上のマットで目覚め、周りには『眠れる森の美男(笑)』が大勢眠っていた。

 で、おそらくは私の目覚めとほぼ同時に彼らも順次目覚め、私が寝起きでボーっとしてる間に、早めに目覚めた大臣が状況確認の指示を出し、人払いと椅子の用意を命じた。



「いや、あのまま眠ってもらっては困るし、いきなり眠気が襲ってきたと思ったら周りも同じ状態だし、ホントに慌てましたよ。」

「眠気が来るだけでも驚きなのに、予兆さえ無い突然さだし、強力過ぎて不可抗力だし、何が起こったのか考える暇さえ無くてな。」

「そういえば、『待って』とか『降ろせ』とか『急げ』とか聞こえたような?!」

「間に会わないかもと焦ったので、思わず『寝るな!』と怒鳴ってましたし」

「召喚までして待ち望んだ眠りなのに、な。 怒鳴らないと指示する前に寝落ちしそうでな。」

「……そうですか。」


 主席神官も大臣も軽く笑って話すけど、私としては 「どう反応しろって?」 という気分。 召喚時に続いて、またもや彼らの言葉をガン無視して眠った、と暴露されてるわけだからね。



 突然の眠気は、私に近い位置に居た人ほど早く強かった。

そして、扉の前の護衛官はもちろん、王宮どころか王都のかなりの範囲まで広がっていった。 目の前で人がいきなり倒れるようにして眠る、あるいは眠った覚えのない路上や自室で起きたうえに眠った直後の記憶が無く……波紋が広がるように眠りも混乱も広がる。

そんな状況下でも悪質な犯罪がほとんど起きなかったのは、悪人も眠ってしまったから。

 で、起きて、訳が分からずに要るところに、大臣の指示で調査員がやってきて事情判明。 実際に眠った時間の長さに関係無く眠りの充足感は十分で、事情が判って納得できてしまえば、そのスッキリした頭脳で喜んで情報提供してくれたそうだ。

 眠ってしまった悪人たちの中でも起きるのが遅かった悪人は、場合によっては眠ったまま逮捕されたらしい。 仲間が背負って逃げようにも、意識の無い人間って重いし、目覚めてパニクッたら暴れるかもしれないから、放置するしかなかったのだろう。

「放置する前に、揺すったりして起こそうとしたというのが本当かどうかわからんけどな」 とは報告書を読んだ大臣の言葉。

 そして、現在、私たちが話してる今も、眠って目覚めたスッキリ組によってデータ収集と分析が行われている。 そんな中、実際には眠らなかったけど眠気を感じた人たちは、スッキリ組によって、眠らせるべく布団に押し込まれたらしい。 そうすると、それまでは眠気を感じてなかった人まで眠気を感じる場合が多いことが判って、影響が及んだ範囲では、大規模で少し早目の昼寝タイムという状態になってる。

 起きて活動を再開した人々の中には暇な老人なども居て、「救世主様に感謝を」 と王宮の門やら神殿やらの詰めかけて来て、その人数は増える一方らしい。



 もうホント、色々ツッコミどころとかツッコまれどころとか疑問とか有り過ぎて、どう反応していいか分からない。 パニックというより唖然・呆然、そんな私は、とりあえず頭を整理する時間を貰ったのだった。

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