必死ってコワい
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ふわぁ~ぁ。
現在、最終目的地である第7神殿に向かい馬車でドナドナ中。 当然のように眠気が来て欠伸が出る。 で、少しでも神力を発揮してくれとばかりに勧められるので、遠慮無く眠らせてもらう。
最初の召喚から今に至るまで、私はもちろん、神殿関係者にとっても思いがけないことがいくつか起きた。 その結果、私と一緒の昼寝という強制的な休養が、疲労回復の効果を一行に重宝されることになったなんてことはシラナイ……。
ウトウトと眠りに落ちながら思う。 コレを待ってた人々も眠ることができてるといいなぁ、って……。
「ねぇ、あのテントは何?」
馬車が通る道沿い、大小さまざまな大量のテントが並んでいる。 テントじゃなく、敷物や地面に直接座ってる人も多い。 中には、こちらに向けて拝むような動きを見せる人も……。
「救世主様の通り道でも神力の恩恵に与ることができるらしいとの噂が広がってるんですよ。 行程が進むほど増えてきてるので、これからは馬車のカーテンは開けないほうがよさそうですね。」
「は?」
「通過ついでの恩恵で眠るつもりなんですよ。」
「……。」
すぐには言われた意味が理解できなかった。 けど、続けて発せられた台詞と合わせて考えて……理解したら、なんとも言いがたい気分になった。 だって、極端な言い方をするなら、私の昼寝待ちってことでしょ?! うわぁ、何も言えない、というか何も言いたくない、それどころか無かったことにしたい。
まぁ、実際問題として無かったことにできない以上、「救世主様に近付こうとか連れ帰ろうとかする人たちが出ないようにするため」にってことで、それ以降は私は馬車の外を見ることを止められたのだった。
ふわぁ───?
「人数増えてるのって、気のせい?」
第7神殿に到着して……異様な雰囲気のせいで、わずかに残ってた眠気が完全に消えて欠伸まで途中で止まってしまう。 その後の(私の)第一声も「何それ?」とツッコミたくなりそうな言葉だけど、あいさつの言葉なんて驚きというか呆れで吹っ飛んじゃったからねぇ。
第7神殿の前で馬車を降りた目の前……衣装からして多数の神殿からやってきたっぽい人たち、それも同じ衣装が複数が、ずらりと並んで馬車を見つめていた。
今までの神殿でも、複数の神殿から関係者が来ていたけど、それぞれ1人ずつくらいだった。 それが、今回は複数ずつ、よくよく見るとほぼ全員が目を爛々と輝かせている、むしろギラついてる感じでコワい。
今までは、自分の神殿から私たちに同行する人と、訪問先の神殿の人と、ちょっと先の神殿から来て行先で待ってる人だった。
同行しながら、私を観察したり情報交換したり私と一緒に眠ったり……いつのまにか顔ぶれが入れ替わってたり。
行先で待ちつつ、私を観察したり情報交換したり私と一緒に眠ったり、という目的の人が……普段は引きこもりがちな研究職も興味をひかれるとストーカーもどきの行動力を発揮するらしい。
で、今回はといえば、最後だからと、情報のすり合わせと私の見送りだから念のために数人ずつでやってきたという。 特に後者が建前なのは明確だけど気にしちゃいけない、主に私自身の精神安定のために。
で、情報のすり合わせも目的で集まってる以上、神殿関係者同士だけでなく、それ以上に私を囲んでの質問攻めという状況が発生。 主神殿の神官が進行役を務め、私に対し、まずは今までの内容の確認を、次に各自からの質問を受け付けていく。 年齢・季節・気温・湿度、場所・姿勢・周囲の環境、1人か誰か居る場合か、飲み物・食べ物・音楽……それらを含めて睡眠への影響について根掘り葉掘り、いっそ感心するほど多彩。
ただね、相手は多人数に対して、私は1人なのよ! 各神殿から1人ずつ来てるとして(実際はそれ以上来てるけど)、主神殿の1人は進行役で質問には参加しないとして、7神殿だから少なく見ても13人が相手なの。 一通り答えたころには、「もう家に帰りたい」と思うのはしかたないよね?!
そんな状態だったから油断した。 情報を整理したら帰還の儀式をするから少し休憩をと言われ、研究者の群れから解放されて気が抜けていた。 とはいっても、彼らがあんなことを言い出すなんて思いもしなかったのよ! 歴代の救世主には提案したことすら無い内容なんて、私に想像できるわけないでしょ?




