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A.R.T.S.  作者: Mica
6/8

対戦

4時間目終了のチャイムが鳴り、昼休みを向かえた。 

授業はまばたきをしたと思ったら、終わっていた。

「……腹へった」

俺はお弁当は持ってきていない。

というか作るのが面倒なので、今日は学食で済まそうとしていた。

俺は学食の場所を生徒手帳に組み込まれているアプリの校内マップをタップしながら席を立ち、周りを見回す。

「ん?」

クラスのほとんど全員が、教室の外に出ていったのだ。

「あれ?今日、なんかあったっけ…」

不思議に思った俺は、とりあえず皆に付いて行くことにした。

途中、売店があったので、俺はそこで適当にパンとお茶と雪希のご飯になりそうなものを購入。

しかもその隣には食堂があった。

そして歩くこと数分、皆の目的の場所にたどり着いた。

「第2…フィールド?」

そう、そこは、対戦競技場の第2フィールドだった。

「………」

何か嫌な予感がするが、入ってみるか。





中に入ると、そこはコロシアムみたいなところだった。

中心にステージがあり、それを観客席が囲む感じだ。

席はほとんど埋まっていた。

皆席に座って、まだかまだかと何かを待ち詫びているようだ。

俺も適当な席を見つけ腰を下ろした。

何かの奇跡か俺の隣にはあさのんが座っていた。

あさのんは隣の友人たちと和気あいあいとおしゃべりをしていた。

割って入って悪いけど、俺はこれから何が始まるのかを聞くことにした。

「なあなあ、あさのん」

「んー、なに………えッ!?」

あさのんはとても驚いた顔をした。

「えっ、空宙?!なんでここにいるの?」

「いや皆が教室出ていくから、俺も気になって付いてきたんだけど……?」

そして、あさのんはさらにこう言った。

「君今からと轟君と対戦じゃないの!?」

するとフィールド中に備え付けられているスピーカーからブザーが鳴り、女の子の声が響き渡った。

『さーて始まりました!アルツユーザー同士による熱いぶつかり合い!実況はわたくしお馴染みの鶴屋つるや あけぼのでお送りするんで・す・が、な~んと今回は!ゲストが来てくださっています!ご紹介しましょう、このお2人だーー!!』

そしてスピーカーからは俺の知っている声が聞こえてきた。

『こんにちは、会長の叢咲 出雲です』

『やっほー!御伽 日向でーす!!』

この2人が実況席にいるようだ。

「……」

黙っている俺にあさのんが声をかけてきた。

「……大丈夫なの?」

「………」

俺は目線そらした。

『それでは早速対戦者を紹介していきましょう!赤コーナーからはランキング第8位!轟 亮介だーー!!』

そして右の赤コーナーから亮介が姿を現す。

ちなみにマスクはまだ付けている。

周りから耳をつんざくほどの歓声が響いた。

主に野太い声が多かったのは気のせいだろうか?

『そして、青コーナーからは今日来たばっかりの転入生!御伽 空宙だーー!!』

俺の名前が呼ばれてしまった。

だが青コーナーからは誰も出てこず、会場中がシーンと静まりかえっている。

『おっと~、御伽選手は登場しないようですが、何があったんでしょうか?……っと、今調べにいっている人から連絡が入りました。…どうやら控え室には来ていないようです。………えっと、どこに行ったんでしょうか?さすがの私もこんな事態は初めてなんで戸惑ってます!』

だって俺は観客席にいるんだもん。

ちなみに、俺は席にすわって雪希にご飯を食べさせていた。

「うまいか?」

「ワンッ!」

よかった。

雪希は美味しそうにもきゅもきゅと食べている。

「さて、俺は教室に……」

帰るかと、呟こうとしたその時。

「御伽っっっっ!お前のことだからのこのこ誰かに付いて来て、ここに来ているのはわかってるんだ!さっさと出てこい!!」

俺の独り言はフィールド上の亮介から発っせられる大声に遮られた。

「うわっ、なんでそんなことがわかるんだよ?」

俺は若干引いていた。

立て続けに観客席を見渡しながら怒号が響きわたる。

「そこかっ!」

と勢いよくある観客席を指差した。

「そこにいるのはわかっている!さっさと出てこい!!」

…………真逆だよ。

なんにも分かってないじゃん……。

すると今度はひゅう姉の声がスピーカーから聞こえた。

『あたしわかるーー!!』

敬礼のようなポーズをとりながら、会場中をウ~~ンと見渡して。

『そこ!』

と、あさのん辺りの席を指差した。というか俺ちょうどを指差している。

『空宙みーつっけた!』

そしてスクリーン俺の姿が映してだされた。

「あー、やっぱひゅう姉にはバレるよなー……」

子供の頃からそうだった。

友人の何人かとかくれんぼをしていても真っ先に、そしてすぐにひゅう姉は俺を見つける。

そう他の誰よりもまず俺を。

過去に一度どうしてそんなに俺をすぐに見つけることができるのかを聞いてみたことがある。聞くところ。

「んー……………」

と、精一杯に考えた結果、こう答えた。

「なんかわかる」

俺はそれ以降、そのことに対して追及するのをやめた。

それはもう自然の摂理なんだとして、飲み込んだ。

そして今回もそれが働いたのだろう。

しばらく会わなくても、姉は衰えるということを知らないようだ。

まあそれはいいとして、俺はあさのんに雪希を預けたあと、観衆に見守られながらフィールドに降り立つ。

「お前……なんで言われるまで来なかった?」

亮介が怒りを隠しきれない様子で問いかけてくる。

そして、彼はマスクを外した。

説明しよう!

亮介がマスクを外すときは怒った時と本気を出すときである。

今回はどっちもであると言える。

ちなみにあいつは昔から謎にマスクをしていて、俺と喧嘩するときは必ずとっていた。

「まあ落ち着けって」

俺は精一杯に溜めて……。

「無視してました」

俺の答えに遂に亮介の堪忍袋の緒が切れた。

「貴様ぁ~~ッ!!?本当のことでも言っていいことと悪いことがあんだろうが、堪忍袋の緒で締め上げっぞコラァッ!!!」

うっわ、ぶちギレじゃん……。

付け加えるとマスクを外すと気性がかーなーり荒くなり、こういう口調になる。

これも昔から変わらない。

「仕方ないだろ、俺だって人間だ」

「時と場合を考えろ!こんなところでそんなことしてんじゃねぇ、クソが!」

そして一拍置き。

「まあいい……始めるぞ」

亮介は俺から距離を取り、お互い所定のポジションにつく。

その位置から、いかにも「これからあなたをります」というのがわかるくらいガンを飛ばしてくる。

「うっわる気満々じゃん………」

正直なところ、俺はあまり闘いというものが好きではない。

ほんと戦闘狂とか頭おかしいんじゃねえの?くらいに思っている。

まあ降参しようと思えばできるのだが、俺にもプライドはある。

さすがに観衆の前でいきなり降参宣言するのも普通に恥ずかしいとも考える。

だが俺は4年前と変わっていなければこいつのことをある程度は知ってるし、それに基づいての作戦は一応たてている。

だから勝てる見込みはある。

成功するかどうかは………まあ、なんとかなるだろ?

するとスピーカーから曙の声がフィールド全体に響いた。

『この二人の緊張感ハンパないですが、お二人はどちらが勝つと予想されますか?』

『私は轟君に勝ってもらいたいですね。彼は今まで大変良い成績を修めてきたので、見たところお互いライバルっぽいですし、ここで遺憾なく発揮してほしいところです』

それに付け加えるようにして。

『はっきり言うといっそのことこのまま殺してしまってもいいと思ってます。彼に期待ですね……』

なるほど、会長は亮介押しか。というか、怖えぇよ!

周り観衆もどうやら亮介推しが多いようだ。

確かに、あの時、俺たちはお互い五分五分だっだ。

だからこの4年間で亮介がどのように成長したのかを見てみたいと俺は思う。

殺されるのは勘弁願いたいが。

『お姉ちゃんは迷いなく?』

『もちろん空宙!』

まあ、ですよねーって、感じだな。

俺に飛んでくるのはなんだかブーイングが多いような?

そういえば昔っからひゅう姉って俺とは違ってモテるんだよなぁ~。どうやらここでも相変わらずのようだが……。

『そんじゃあお二人とも、準備と覚悟はできたかニャ~?』

「………」

俺たちは実況に耳を傾けず、お互いに睨み合う。

『返事なしの安定のスルーと。うん。まあ、いいよ。わかってたから……グスンッ…でも、転入生くらいはノってくれよかったのにニャ~?(チラッ)』

「……」

『あーー!あの人、私今中指立てましたよ!お姉ちゃん一体どういう教育してるんですか!?』

姉にマイクが向けられる。

『そんな空宙もカッコイイッ!』

実況席が盛大に転んだ。

『…弟バカとは聞いてましたけど、まさかこれ程のものだったとは思ってもいませんでしたよ……』

「……そんな茶番はいいから、さっさと始めろよ?」

亮介がドスの効いた低い声で呟く。

それにビビったのか、鶴屋は冷や汗をかきながらひとつ咳払いをした。

『んじゃ気を取り直して、制限時間は30分間!それじゃ、カウントダウンいっくよー………3!2!!1!!!………』

そして。

「バトルーーーー……開始ッ!!!」





亮介は両腕をクロスし、瞬間それを思いっきり横に開いた。

するとそこに鉤爪クロウが顕現した。

「俺のアーツは〈irritate〉。属性はフレイム。能力は、……ストレスには気を付けやがれっ!」

〈irritate〉意味は、イライラさせる。

あのアーツは精神に働きかける。それに加え、気力や体力も奪う。さらに素早いときた。

叢咲のように一撃が重い攻撃とは違い、鉤爪だから質より量で勝負するタイプだ。

あの鉤爪を沢山受けた時には、イライラが止まらなくて、まともな考えが出来なくなるだろう。

なんとも面倒なアーツだ。

だが、まあ。

「あたらなければ、意味はないんだけどさ」

どのアーツもそうだ。 

敵にヒットしてこそ能力を発揮する。

叢咲のアーツのようなやつも時々いるが、そんなのはごくわずかだ。

だからとりあえずは当たらなければ、なんの問題も無く勝負を勝ち越すことが可能である。と、俺はふんでいるんだが。

とか考えているうちに、亮介が俺の半径5m内まで入り込んできていた。

「燃えな!火炎爪!!」

そう発した途端、両腕の鉤爪は、根本から先端にかけて、紅蓮の炎がほとばしり、爪を包み込んだ。

『おっとぉっ!早速轟選手は火炎爪を使ってきたぁーー!』

爪はマグマのような紅蓮に染まり、長さもさっきは膝までしかなかった爪が、地面につきそうなくらいスレスレまで延びている。

そこから発せられる熱気は尋常じゃなく、あれに少しでも触れさえすれば、肉が焼き焦げてしまうのではないかと連想させるほど。

これで、多少距離を取りながら戦はなければならなくなってしまった。

「さあ、お前も来いよ!!」

右の爪で地面を削りながらで斬りつけにかかってくる。

「っ!」

俺もトンファー型のアーツを顕現し、亮介の攻撃を迎え撃つ。

亮介のアーツと俺のアーツがぶつかる瞬間、俺は自分の属性を発動した。

アーツ同士がぶつかり合い、甲高い音が耳に響く。

それを見た亮介は舌打ちをし、大きく3歩ほど下がる。

亮介がそういう反応をするのも無理はない。

なぜなら、亮介の炎でできた爪がじゅ~、と音をあげながら溶けていっているからだ。

「火を消すなら"水"だよな?」

「てめぇ、水属性だったのか?」

「まあ、"一応"な」

属性にはそれぞれに弱点がある。

炎は風と闇に強く、水と光に弱い。

水は炎と雷に強く、風と光に弱い。

風は水と地に強く、雷と炎に弱い。

雷は風と光に強く、地と水に弱い。

地は雷と闇に強く、風と光に弱い。

光は地と炎に強く、雷と闇に弱い。

闇は光と水に強く、炎と水に弱い。

無は全ての属性において、弱い。

ちなみになぜ水が雷に強いのかというと、アーツで発動される水は全て純水で出来ているため、雷を通さないからだ。

「まだだ!」

それでも諦めず攻撃を繰り返す。

体を器用につかって、右から左から、上から下から。

果てしない斬撃が俺の体を襲う。

「うおおぉぉぉーーー!!」

切〈き〉って斬〈き〉って伐〈き〉って。

が、その攻撃は全て俺の防御に受け止められる。

俺も4年間遊んでいたわけではない。

アルツユーザーとして一人前になるために、死にそうな体に鞭を打ち続けながらトレーニングをしてきた。

紐爺に挑む度ボッコボコにされ、どれほど怪我を負ったのかも覚えていない。

紐爺以外の人にアーツを向けるのだって初めてだ。

初戦なんだ、負けてたまるかよ。

亮介は斬るのを中断し、一歩引いた。そして。

「焼〈しょう〉………脚〈きゃく〉っっ!」

脚に炎を纏わせた回し蹴りが炸裂!

が、俺はそれも受け止める。

「チッ…こんな小技が出来るようになってるのかよ……」

周りから見たらただ蹴りをアーツで受け止めたようにしかみえなかっただろう。

だが、違う。

「まさか、受け流されたとはな」

実際、亮介には蹴った時の反動はほとんどなかっただろう。

「そりゃ、あんなのまともに受け止めたら、炎の威力は殺せても蹴った威力までは殺せないしな~」

トンファーをくるくる回しながら言う。

その証拠に受け流した攻撃の威力が地面に伝わり、ヒビがはいっている。

「いい蹴りだったじゃん?やるなーホントに」

脚を押し返しながら言う。

また亮介は少し距離をとる。

「…お前のそんな風な余裕な表情、昔から変わらねぇな。俺はいつも全力だってのに……」

「俺だってそうだよ。常に全力だよ?」

それが気にくわなかったのか。

「お前のそのいっつも人を小馬鹿にしたようなヘラヘラした表情が気に食わねぇて言ってんだよ!」

今までの俺に対する不満をこぼし始めた。

「何でいつもそんな……余裕でいられんだよっ!」

そう言ったあと素早い動きで、攻撃を仕掛けてくる。

だが、亮介のアーツは俺が発動した水属性によって、段々とその威力を落としていっていた。

長さも先程よりかは明らかに短くなってきている。

そして防戦一方だった俺もついに反撃に出た。

亮介の攻撃の合間をぬってできた隙に、腹に一発蹴りをいれる。

「うぐッ……!」

苦虫を噛み潰したような顔をしながら、距離を取る。

亮介はダメージが入った腹を押さえながら、肩で息をしている。

それに構わず俺は言う。

「お前は大きな誤解をしてるよ、亮介。確かに俺は、常にやる気なんてないし、微塵も出した記憶なんてない」

さらに続ける。

「それでも俺は、お前と戦う時だけは別だった。手を抜いたことなんて一度もない!」

「あん時は俺だってお前に勝ちたかった、アーツを持っているお前が若干……、そう、若干羨ましくて……別に何もしてなかったけどさ」

「いや、若干かよ!しかも何もしなかったんかよ!?」

亮介のツッコミが飛んでくるがここは無視をしておく。

「まあ、だから、俺は常に全力だったってことだよっ!」

亮介は唖然とした表情をしたあと、不適な笑みをこぼした。

すると亮介の周りから目に見えるくらい、身震いするようなオーラが立ち込めてきた。

熱くもなく、冷たくもない、気味の悪いものだった。

「ならやってやるよ、お前のその俺に向ける面子が潰れるくらいに、全力で……」

一拍置いて、呟いた。

「潰してやるよ」

さらにオーラが爆発する。

周りの観衆も息をのみ緊張した面持ちに変わる。

俺の肌にもその緊張が痛いほどに伝わってくる。

「〈irritate〉………」

そして言い放つ。

超越真化イクシード!!!」

その魂の叫びに呼応し、亮介の鉤爪が輝きだした。

輝きが消えると、そこに鉤爪はなかった。

あるのは禍々しい赤黒とした輝きを放つ腕と異常にデカイ手。

髪の色も紅く変わり、その額からは天をも貫きそうな二本の角。

亮介の目付きが変わる。

それはまるで獲物を発見した獣。いや。

鬼の如く……。

「これが俺の……全力だっっ!!!」

もう、逃げることはできない。

誤字・脱字や矛盾、その他意味不明な部分があり、それに気づけば、その都度訂正していきます。

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