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A.R.T.S.  作者: Mica
2/8

追試験

ピンポーン。

昨日新しく届いたふかふかのベッドから身を起こす。

頭は寝起き特有のボーッとした感覚に苛まれている。

御伽家は元々本州にあった。家は母さんが娘2人を学園の寮に入れて、俺が山に修行に行ったと聞いた途端、自分は親父の元へ向う時に売ったそうな。

そういえば、この前2人のキスしているツーショット写真が送られてきた。

あの年齢になっても2人は熱々のカップルみたいだ。

つまりこの家には俺オンリー!

荷物も昨日運び終わって、ちゃんと片付けたから面倒な作業もなし!

いやー一括おまかせで家具とか配置してくれたしホントに楽した。

ピンポーン。

時計を確認すると時刻は午前7時。

朝御飯にはまだ早いし、これから休みはたくさんある。

よし、二度寝をしようっ!

そしてまたゴローンと横になる。

布団にはまだ俺の体温が残っていてとてつもなくいい感じに温い。

これなら二度寝も快適に………。

ピンポーン。

イラッ。

ピンポーン。

イライラッ。

………ピンポーン(笑)

「うるせぇ!何回インターホン押してるんだよ!迷惑だろが!煽ってんのか!!」

ピピピピピピピピピピピピンポーン!

やめろよ壊れるだろ!

ピンピピピンピー…ピンポーン。

遊ぶな!

「わあったよ、出るよ」

ベッドから降り、とりあえず服を着替え玄関に向かう。

「へいへいどちら様ですか?」

と、ドアを開けた瞬間、俺の視界がブラックアウトした。

かのように思えたが俺はそれが視界を遮る寸前に上半身を後ろに反らし、それをかわした。

「っ!!」

目の前の人物から驚きの声が漏れる。

捕獲が失敗したのがわかると今度は右手の拳を腹にめがけて打ってきた。きっと俺を気絶にでもさせるつもりだろう。だが、俺もそれをまともに受けるほどそうそう柔ではない。これも爺さんとやった修行のおかげかなー?

俺はその腕を左方向に反らしながら掴み、引き寄せた。

その子はとても顔立ちの整ったかわいい子で顔を真っ赤にして俺を見つめてアウアウしていた。

服装はなんだか〈くの一〉を連想させる装いだ。

だが、次の瞬間にはその子の腕は俺の握った手から消え、目の前には紙がヒラヒラと舞って、しばらくして落ちた。一階に。

「………」

あれ、もしかして拾いにいかないといけないやつですか?

「……………………………………………めんど」

階段を使うのは面倒なのでそのまま飛び降りて拾い、また跳んでドアに戻る。実は着地する瞬間と跳ぶ瞬間だけアーツを発動したのは内緒だ。なぜなら無断使用は禁じられている。

己の身を守る場合にのみ使ってもいいそうな。

まあ、これも一種の己の身を守る場合だよな。

そしてお手紙だがまあ大体予想は付くが、読んでみる。

『追試験受けさせてあげますから、学校に来なさい。来なければ目の前にいる子を何度でも何回でも貴方のもとへ行かせます。時刻は今日の午後0時に昨日指定した場所に来てください』

なんというか。

「予想通りすぎて、つまんな。とりあえず時間まで寝るか」

俺は二度寝をかました。





今度こそ伝えられた会場に来た。 

俺、真面目だから。

「……やっと来ましたね」

そこには黒髪ロングの女の子とさきほど家に来たくの一の子がフィールドのど真ん中で立っていた。

「あんたが俺を呼んだ本人?」

その問に黒髪の彼女がコクと頷いた。

「おはようございます。会長の叢咲むらさき 出雲いずもです。…昨日はどうしてか来なかったのですか、御伽さん?」

その言葉は多少エッジが効いていて、大層ご立腹の様子だ。

「んー、普通に面倒くさかったからじゃダメ?」

「ダメに決まっているでしょう!」

あ、キレた。

「あとなんですかこのプロフィール!意味が分かりません!」

追加で怒られた。

というかそんな変なこと書いた覚えないんたが。

「ちなみにどういうところ?」

彼女は額に青筋を浮かべながら言い放った。

「どうして記入項目が全て『特になし』で埋まってるんですか!喧嘩売ってるんですか?売ってますよね!?買いました!!!」

志望理由なんて人それぞれなんだから自由に書いてもいいと思う

んだけど、どうやらこの会長さんに対してはなんか気に食わないようだ。しかも売ってない喧嘩買われたし。

「はぁ~もういいです」

意外と早く収まってくれた。

そして彼女は次なる質問を寄越す。

「この時期にここに転入してくるなんて希なケースなのですが、アルツユーザーとして覚醒されたのは、最近ですか?」

……紐爺からはそう聞かれたときは適当にごまかせって言われたけど。

ん~~~……。

「…まあ、そんな感じ?」

その答えに叢咲は「ふーん……」と疑いの眼差しを向ける。

「じーーー…………」

俺もそれに対抗して見つめ返す。

「…………」

「…………」

数秒の時が過ぎ……、ポッと叢咲の顔がちょっと朱に染まったところで

「……わかりました、もういいです。……では次の質問にいきます」

すると今度はキッと真剣な視線に変わった。

そしてその視線が俺の頭上に向かう。

「なんだよまだあんのかよ、早くしてくれよ疲れてんだよ」

俺は鬱陶しそうに言う。

「でははっきり申し上げますが……」

一拍置いて…。

「そのあなたの頭に乗っている子犬はなんですか!?」

現在俺の頭の上には白い毛並みの子犬ポメラニアンが鎮座していた。

「いやーね、今日ここに来る途中の公園を歩いていたときに拾ったんだよ」

「なんで拾ってくるですか?!そんなの試験の帰りでもいいでしょ!」

「だってさー、「クーンッ、クーンッ」って鳴きながら上目遣いで近寄って来たんだぜ?だからカバンに入ってるおかしあげたらさ、懐かれちゃってさ、えへへ、可愛いだろぉ~?」

人間可愛いものには弱いものですよー、はい。

自然の摂理なのです。

絶対条件。

そして、彼女は深い溜め息を吐く。

「とりあえず、試験を始めますよ…その前にその子犬をなんとかしてください」

「うっす」

とりあえず胸のポメラニアンを……。

「ちょっと預かっといて」

くの一ちゃんに預けた。

「……えっ!あっ、えっ!?」  

とても驚いた表情だった気もするけど、気にしない。

「それでは試験ですが、内容は私の攻撃を5分間凌ぎ切ること。反撃も可。それだけです。いいですね?」

「待て、お前生徒会長だろ?確か会長ってこの学園で1番強いんじゃなかったっけ?そんな人の攻撃を5分間も凌ぎ切る自信は持ち合わせてねーのだけども」

「大丈夫です、本来は序列1位が生徒会長をする役目なんですが諸事情で仕方なく、誠に遺憾ながら仕方なく2位の私がやっているだけですから」

そう言いながら、彼女はどこからともなく1本の槍を取り出した。彼女はそれをクルクルとまるで玩具のように振りまわしている。

その槍からはたまにバチバチという音が鳴ったり、黄金色のオーラが滲み出ている。この人は相当強いのだということが目に見えてわかる。流石序列2位なだけはある。地面擦る度に火花散ってるし。

くの一ちゃんに抱かれているポメラニアンが俺のことを心配そうに見ている、ように見えた。

それに対して俺は…。

「大丈夫、すぐに終わらせるから」

言いつつ、俺も自分のアーツを取り出す。

俺のほうは叢咲とは違い、オーラなどなくバチバチともなっていない。

それはトンファーのようなものである。

すると叢咲が「まあ、いいでしょう」と付け加える。

「それと私相手にすぐ終わらせると言うとは、余程の余裕があると受け取ってもよろしいのですね?」

俺はその問いにはもちろんガン無視で返した。

すると、いつの間にか俺たちの中心に立っていた審判からコールがかかる。

「それでは受験者、御伽 空宙の試験を開始する!両者構え…………開始!」

「私のアーツは〈Isolate〉形状は孤槍。属性は雷〈サンダー〉。能力は、そうですね孤立無縁上等というところでしょうか」

叢咲は不敵に笑った。

「なるほど、〈Isolate〉か……ふむ……」

すると彼女は目をつぶり軽く息を吸い込む。

「すーっ……はぁー……では、征きますっ!」

叢咲は一直線に俺の心の臓を穿たんと、突貫する。

彼女のアーツ、〈Isolate〉の能力。

それは文字通り孤立無縁の状態の自己強化能力。

相手に対して自分が一人の時に発揮される能力だろう。

どちらかというと一対一よりかは多人数に向けて効力を発揮するアーツだろう。

だが何故かはわからないけど、多分一対一でも強い。

というかさっきからあのアーツから発せられる雷のバチバチが段々濃くなっていている気がする。

肌がピリピリする。全身の毛という毛が逆立つのを感じる。

(いいぜ、お前の槍受けてやる!来い!)

こっちも笑みを浮かべ、胸を張り目を瞑る。

そして、俺は彼女の攻撃に対し、両腕を広げる。

ドスッ!

「……」

俺は突っ込んで来た彼女の槍に胸を貫かれ、気を失った。

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