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赤く染まる視界。これまでにない高揚感の中、破落戸の頭目を張る男は己の欲望を隠すことなく吠える。


「ひゃはははは! ありったけかっさらうぜええ! 個室だ! 個室のある客車を狙うんだ! 金と! ついでに女!」


個室を取っている客は裕福なものが多い。当然ながら金も持っているだろうし、女子供の一人や二人拐かすことができれば、人質にもなれば後で楽しむ(・・・・・)事もできる。

まったく、今日は冴えている。まるで身体にまとわりついた鎖がとれたような調子の良さだ。勘は冴え渡り、身体は全盛期を上回るかと思えるほどに動く。それが身体能力の向上と引き替えに寿命を著しく縮める薬類の力だと、男は想像すらしていなかった。


鉄騎の出力器スロットルを開ける。主機が唸り、電動機が火花を散らして回転する。勢いに乗ったまま真っ先に客車へと向かう。個室のある格の高い車両は普通の車両と外観からして違う。探すまでもなくいかにも金がかかっていそうな車両が目に入った。


「しゃああああ! こじ開けるっ!」


鉄騎で駆けながら左手で大型の銃――散弾筒を引き抜く。盗品の銃身を切りつめたもので命中率は悪いが散弾の射角は広くなっており、むしろ殺傷能力は上がっている。それを客車の扉に向けた。

大陸横断鉄道の貨車は対魔獣用に頑強な作りをしており、特に上客が使う客車は軍事装甲車並の強度を誇る。扉の一つとっても散弾筒ごときでどうこうできるものではないが、男はそんなことに構わず容赦なく引き金を引いた。

乾いた破裂音と共に散弾が放たれ、扉の周囲に火花を散らす。もちろん傷が付く程度の損傷しか与えていないが、興奮している男は気にせず射撃を続ける。


どん、と衝撃。そして燃え上がるような熱さ。


横に吹っ飛びながら血の塊を吐き出す男。己の身体を貫いたのが機殻鎧用の小柄だと気付くことなく、彼は絶命した。











五・刃鋼、天駆ける











輸送車両から躯体で降り立つ。左肩の装甲に記されている火山と桜を意匠化した鹿野島家の家紋がきらめき、赤銅色の装甲を持つ機殻鎧は周囲を見回す。そこで客車へと向かう賊を発見し、すかさず小柄を投擲する来夏。命中したことだけを確認し再び周囲の状況を確認しながら腰の太刀を引き抜く。当たれば死なずとも行動不能にはなるだろう。どちらにしろ下種の生死などどうでもいい、問題は。


「(今度は魔獣……手際といいただの賊にはどだい無理な話、やはり狙いは某か)」


この襲撃の狙いが己だと来夏はすでに悟っている。まさか大陸横断鉄道を狙ってくるとは、などと考えるのは油断であったと思う。

だがそれをただの油断と断じることはできない。大陸横断鉄道の管理は国が直接行っている。言ってみれば国家事業であり帝国の威信をかけたものだ。それを襲うと言うことは帝国に、ひいては皇帝に弓引くと言うことに他ならない。大貴族の娘を狙ったと言うことよりそちらの方が問題であろう。後の捜査追求は苛烈なものになるのは明白だ。

襲撃者はそのようなことをまるで考えていないかそれとも……帝国の威信、皇帝の威光はそこまで落ち込んでいるとでも言うのか。一瞬心に暗い何かが澱のように沈むのを感じるが。


「(今は目の前のことを片づけるっ!)」


思考を切り替える。現在来夏の躯体――轟雷に装備されているのは防人型の主力装備としてよく知られている、躯体の背丈を超えるかと思わせるほどの巨大な大太刀ではない。鉈のごとき厚鋼ではあるが刃渡り自体は普通のものとそう変わらない太刀だ。斬ると言うよりもたたき込んでかち割る、と言うような用途に向いている。機殻鎧や外皮の堅い生物などを相手取るには手頃な獲物だ。


むやみやたらに銃を放ちながら鉄騎で迫る賊。そしてその背後から吠え猛り駆ける牙獣。そのまっただ中、列車に取り付かんとする賊どもの群れに向かって、来夏は躯体を踏み込ませた。

蹴散らされながらもなお血走った目で執拗に列車を狙う賊ども。まともに理性が働いていないことは手に取るように分かる。人の身体を踏み砕く感覚にも来夏は眉一つ動かさない。下種に対して容赦するような寛容さを、彼女は持っていなかった。

人体が鉄騎もろとも吹き飛ばされ、血しぶきが舞う。そしてそれらに一切目もくれず、牙獣の群れは轟雷に向かって襲いかかった。


「やはり、なっ!」


狙いは一つ、来夏の命ということだ。しかしならば。

逆にやりやすい。


「おおっ!」


跳躍し飛び込んでくる牙獣に向かって踏み込む。そして右腕を振るう。斬りつけたのではない、牙獣の鼻先を太刀の柄尻で殴りつけたのだ。

術者に支配されているとは言っても、本能の全てが封じられたわけではない。がうんと悲鳴を上げながら、飛びかかってきた牙獣は仰け反った。が、それも一瞬のことですぐさま体勢を立て直そうとする。


その一瞬、それだけで十分だった。太刀を振り抜く。斬るのではない、ただ払いのけるように。


ど、と牙獣の首から鮮血が吹き出す。首を落とす事は叶わなかったが頸骨まで届かんとする致命傷だ。そのまま横へと駆け抜ければ、後方で牙獣は倒れ伏す。

そして群れのど真ん中へ。周囲を囲まれてしまっては、次元流はその本分を発揮できない。超高速の踏み込みから生み出される逸刀、その威力を最大限のものにするためには、それなりの間合いが必要だからだ。それを知っているからか、警備兵からの泡を食った声が無線機を経て耳に飛び込む。


「無茶を! 今手助けに参ります!」


が、来夏は。


「ご心配は無用に! 客車の守りを優先していただきたい!」


この期に及んで自身のことよりも無辜の民を優先しようとする。確かに真っ当な貴族であればそのように言われるだろうが、それもほとんど口先だけの事が多い。高貴なる者の責務ノブリス・オブリージュ命がけで(・・・・)成し遂げようとする者などごく少数、いや、あきらかに(・・・・・)異常と言っていい(・・・・・・・・)

それを為そうとするのは来夏がそう教えられてきたからかそれとも――


「足らんな。この某の命に届かせるには……まるで足らん」


圧倒的な自信があるからか。


無線機向こうから聞こえる凄みを含んだ声に、警備兵たちは背筋を凍らせる。それに彼らも機師だ、当然ながら気の扱いも心得ている。そんな彼らから見ても轟雷から発せられる気と気配は桁が違う。僅か十三の少女に、彼らは完全に気圧されていた。確かに下手に手助けすれば足手まといになりかねない。一体いかなる生き様であればあのような少女が生まれるのか、鹿野島というところは地獄か何かなのであろうか。

戦慄する警備兵たちだが、己の仕事を忘れたわけではない。 寄る有象無象を蹴散らし、魔獣が客車に寄らぬよう、そして隙あらば討ち取れるよう牽制する。賊ははぼ駆逐されたが牙獣はほぼ残ったままで、その全てが轟雷を囲み隙を伺い、あるいは警備の躯体を牽制する。下手に踏み込めば先程の個体と同じ事になると、『操っている者』も分かっているのだろう、刃の届かないぎりぎりの、しかし次元流の踏み込みには足らない距離を徘徊するように間合いを保つ。


一瞬の隙が許されない状況で、来夏は全ての牙獣の動きに気を配る。

だが、すでに討ち果たしたと(・・・・・・・・・・)思っているものに(・・・・・・・・)対してまでは(・・・・・・)気を配っていなかった(・・・・・・・・・)


血だまりの中に倒れ伏している個体。その前足がぴくりと動いて。

突如起きあがり轟雷へと襲いかかる。

完全に息の根が止まっていなければ、使役の術は効力を発する。それこそ対象の意識が途絶えかけていてもだ。来夏は完全に不意をつかれ反応が遅れる。


一瞬、日が陰った。


高く跳躍、そして勢いを乗せ落下。轟雷のものとほぼ同じ作りの太刀を逆手に突き立てる。それが脳天を貫き大重量が勢いのまま押しつぶす。

轟音。飛び散る肉塊と血の海と放射線状の地割れを生み出したそれが勢いよく太刀を引き抜き、周囲を睥睨しながら身構える。


「ご無事ですね来夏様! 助太刀、嫌とは言いませんよね!?」


継ぎ接ぎだらけの装甲。轟雷よりもさらにずんぐりとした重量感あふれる躯体。眼窩の認識灯をぎぬりと光らせるのは、試作機殻鎧伏龍。その姿を視界に認め、来夏はふ、と不敵に笑みを浮かべた。


「助かった。……使えるのか、その躯体」


背中合わせに位置取り周囲の牙獣を牽制しながら、誠志郎は応える。


「さてぶっつけ本番なのでどこまでできるやら……言うだけあって出力は相当のものですが」


咄嗟のことであったが身体は何とか動かし方を覚えていた。跳躍し不意打ちの一撃を食らわせる事ぐらいはできる。だがその程度では躯体の性能など測り知れるものではない。それにこの躯体はあくまで試作だ、どのような不都合が生じるやら。内心に不安が生じるが今更とって返すわけにもいかない。


「だから、問題が起こる前に片づけてしまいましょう」

「ふ、その意気だ。では……」


少年少女が、ぎぬりと歯をむき出し嗤う。


「参ろうか!」

「応っ!」


ど、と地響きを立てて同時に踏み出す。轟雷は上段から、伏龍は横凪に、斬り込む。


唐竹割りの一撃を僅かに退いただけで回避した牙獣が、下がった反動を利用して飛びかかろうとし――跳ね上がるように放たれた下段からの突きに、口から脳天にかけてを貫かれた。

ごり、と太刀が捻られる。そのまま棍棒でも振り回すかのごとく牙獣の身体ごと飛びかかってきた他の個体に叩き付ける。その勢いで太刀を引き抜き、次いで別方向から突っこんでくる個体に肩口から体を食らわせ退ける。


次元流といえば担ぎ太刀からの逸刀。そう思っているものは多いし実際それが基本ではある。だがそれ以外の戦い方もできるのは当然だ。荒々しいその戦法は、来夏がただ次元流を型どおり習得したのではなく実践的な稽古を重ねてきたことを示している。


「どうした、その程度で某は討ち取れんぞ!」


吠える来夏。実際先程の不意打ちも反応が遅れただけで対処はできただろう。が、油断は油断だと自身を戒め気を引き締める。最早彼女に先程までの隙はない。


一方誠志郎はと言えば。


「確かにこれは……」


躯体の性能に少々振り回され気味であった。


最初から感じていたことだが確かに凄まじい出力だ。飛びかかってくる牙獣を余裕で弾き飛ばせる。しかし。


「(反応が素直なのはいいけれど、鈍い! 躯体が重いからか、操作系の遊びが大きいのか?)」


どうしても一瞬、反応が遅れているように感じる。そのせいで打ち込み、いや行動全体にずれが生じていた。それがゆえに弾き飛ばすことはできても有効な打撃を叩き込めない。


実際のところ伏龍の反応はかなり良い方だ。その辺の手抜かりなど花島 鉋という職人にはあり得ない。原因は誠志郎の方にある。彼が操ったことがあるのは父の持つ躯体、雷震のみ。そしてその躯体は父である兼定の趣向によりかなり極端ピーキー調整セッティングが施されていた。並の躯体に乗り慣れている人間であれば、反応が良すぎて使いこなせないどころか即座に転倒してしまうという代物である。そんなものを標準にしていたら、普通の躯体は重くて鈍いと感じても仕方がないだろう。伏龍の反応はあくまで良い方、個人の極端な癖に合うはずもない。


そしてもう一つ。


「(頭では分かったつもりでも、実際躯体が勝手に動くのはきつい!)」


ことあるごとに躯体の足が均等を保とうと思わぬ方向へと動き、誠志郎の三半規管を揺らす。それは思った以上に不快感を覚えるものだった。なるほどこれは酔っても仕方がない。その上有効な対策など無きに等しかった。

と、そこで無線機が外部からの通信を受け取る。



「誠志郎君、聞こえるか!? やつがれだ!」


鉋の声が飛び込んできた。どうやら警備隊の指揮車両に乗り込んで強引に無線機を使っているらしい。


「操作系の癖とか伝えてなかったな!? 幸之助君に代わる、参考にしてくれ!」

「聞こえるかい? 脚部の操作器から力を抜くんだ。踏み込みたい方向に軽く蹴り飛ばす位の感覚でいい。それで余計な姿勢制御は大分減るはずだ」

「く、こ、こうか?」


足の力を抜き、操作器を軽く小突くような感覚でやってみる。すると思ったよりも素直スムーズに躯体が動く。動いたついでにしつこく躯体に取りすがろうとする牙獣を振り払って、誠志郎は得心する。


「なるほど、こういう感じですか!」

「そうだ! あと左の操縦桿の脇に揃いで二本、操作桿レバーがあるだろう。それ――」

「! これかっ!」

「――に触るんじゃない(・・・・・・・・)ってあああっ!」


咄嗟にその揃いの操作桿を押し込む。「え?」と声を出した時にはすでに遅かった。

ぎゅが、という足音からの駆動音。次の瞬間誠志郎の身体は操縦席の背もたれに叩き込まれる。


「どおおおおおお!!??」


想像以上の加速。いきなりのことに反応が遅れ、突き進むまま牙獣を弾き飛ばし包囲を抜けあらぬ方向へと駆ける。


「早く戻して! それが電磁動輪の操作系だ!」

「は、はいっ!」


こん、と操作桿の位置を戻す。駆動音が止まり、伏龍は地面をしばらく横滑りしてからやっと停止した。


「あ、危なかった。姿勢制御が自動じゃなかったら絶対転けてた……」

「大丈夫かい? 今ので分かったと思うけど前に押し込めば前進、手前に引けば後退だ。速度は主機の出力と比例してるから……」


幸之助の言葉が最後まで伝えられる前に、襲撃が伏龍を揺らす。


「しまった! うかつ!」


追いすがってきた牙獣に取り付かれてしまった。しかし普通なら押し倒されてしまうところを躯体が自力で踏ん張り、転倒を回避する。だが体重をかけて押さえ込まれ、まともに身動きがとれない。


「く、このおっ!」

「「誠志郎君!」」


泡を食った幸之助と鉋の声が響いたとき、誠志郎の脳裏に天恵が走った。


組み付いてきた牙獣が前足の爪でがりがりと装甲を引っ掻き、肩口に噛み付こうと大きく口を開けて――

連続で花火を鳴らすような音が響き閃光が走る。そして牙獣は血を吹き出しながら仰け反った。

肩の装甲に仕込まれた連発筒、誠志郎はその存在を思い出したのだ。牙獣の分厚い皮膚を貫く事は叶わなかったが、それでも隙はできた。間髪入れずに誠志郎は左手を奔らせる。

ぎゅががと再びの駆動音。右足は後退、左足は前進。それは躯体に急旋回という動きを与える。さすれば組み付いていた牙獣の身体は弾き飛ばされ、浮き上がった。


「ここ、だぁ!」


体感したことのない動きに翻弄されそうになりながら、操作桿を戻す。動輪は止まるが躯体は勢いを失わない。それを下半身を踏ん張りながら上半身の捻り、右腕の振りと伝え、その上で気を乗せ振り抜くのではなく堅いものを割るように叩き込む。


ぼ、と音を立て牙獣の皮膚が裂け、骨が砕け吹き飛ばされる。その様子を見た幸之助が声を上げた。


「【金剛剣インパクトバッシュ】! あんなものまで使えるのか!」

「あ、あれは!?」


疑問の声を上げる鉋に、幸之助は応える。


「あれは気を乗せ効果を上げる類の剣技アーツ、【気攻剣技】が基本の一つです。あの歳頃で使いこなせるものではないのですが」

「なるほど、気導剣の原理か。……もしかしてとんでもない拾いものをしたか、やつがれらは」


心配と、いくばくかの好奇心をもって二人は戦場を見守る。その視線の先、伏龍は動きを変えていた。

再びの動輪駆動ローラーダッシュ。深手を負いながらも迫る牙獣に真っ向から挑みかかる――ように見せて激突寸前で旋回。回転しながら脇へ抜け、牙獣の喉元へ刃を根本から当て滑らすように斬り上げる。

撫で斬り。肉を裂き、頸骨の間接を刃が抜け、すぱりと首が飛ぶ。無くなった首の代わりとでも言うように派手に血飛沫を噴き出してから、どう、と倒れ伏す牙獣を後に躯体が駆け、その中で誠志郎がにやりと笑みを浮かべた。


「よおし……大体わかってきた」


散々揺さぶられ吐き気すら覚え始めてきていたが、操縦のこつを掴んだようだ。今まで散々練習してきたが、成功確率の低いままだった金剛剣が繰り出せたのが良い証拠だ……と思う。確信はないが、今はその勢いで突き進むべき時だと開き直る。


異常なまでの適応性だと思われるかも知れないが、これが自動姿勢制御がなければこうもうまくはいかなかったであろう。そして誠志郎が機殻鎧の熟練者であったらこうも容易く適応しなかったであろう。

鈍いように感じるが、雷震より扱いやすい躯体。そしてある程度の知識と経験があって、それでいて柔軟性をもつ若さが誠志郎にはあった。総合的に運が良かったと言わざるを得ない。後に本人含む関係者が口を揃えてこぼすその事実を自覚する暇もなく、誠志郎は左操縦桿の出力器を親指で弾いて出力を上げ、電磁動輪を駆動させる。下手に踏み込むよりも早いのは理解した。その速度を持って次なる獲物へと斬りかかる。

要領は先の金剛剣と同様。動輪を止めその勢いを踏ん張って保ち、一歩踏み出すと同時に全ての威力を刃に余すところ無く伝え、同時に気を込め今度は振り抜く。


破斬剣パワースラッシュ】。気功剣技が基礎の基礎にして全ての奥義に通ずるとされるそれを、未熟なれど躯体の能力を余すところ無く生かし、熟練者のそれと遜色ない精度で放つ。それは狙い違うことなく牙獣の胴体を真っ二つに斬り分けた。


「……やれるっ!」


確証を得て、会心の笑みを浮かべる誠志郎。多少の不安要素はまだあるが、それを考慮してなおこの躯体は使える。そして戦える。その事実が彼の闘志に燃料を注ぎ込んだ。


激しく立ち上る気の気配。継ぎ接ぎだらけの躯体から放たれるそれを感知し、来夏は楽しげに笑い声を上げる。


「はは、やるなあ誠志郎殿! 某も負けてはいられんなぁ!」


吠えるように言い放ち、躯体を駆る。絶妙に間合いを取りながら無駄な動きを誘発し疲弊を狙ってくる牙獣どもに向かって踏み込み、横凪ぎの破斬剣。当然ながらそれは届くことなく空を切る……ように見えたが。


どう、と衝撃が奔り、土埃が派手に舞う。それは一瞬とは言え牙獣どもの視界を奪った。

その一瞬、それだけでいい。


「間合いが取れぬなら――」


高く跳躍。そして。


「――取れる所に行くまでだ(・・・・・・・・・・)!」


空歩で足場を作り、そこから地面に向かって(・・・・・・・)踏み込む。それは確かに、次元流の逸刀を再現する。


衝撃。轟音。雷のように叩き込まれた一撃は、牙獣の頭部を粉砕し大地を割り砕く。だがそこに一瞬の隙が生まれた。周囲の個体が一斉に飛びかかって――

跳躍し、轟雷を飛び越えた伏龍の一閃にまとめて弾き飛ばされる。そのまま轟雷を護るかのように傍へと着地する伏龍。そして悠々と身を起こす轟雷。


重量級の二体から放たれる気配に気圧されたのか、本能すら制御されているはずの牙獣たちが後ずさる。それは敗北を予感したからなのかも知れなかった。


そしてそれは、ほどなく現実となる。











気配を断ち、木々の間から様子をうかがっている外套の人物は、微かに顔を顰めた。


「奇妙な躯体だ。事前の情報にはなかったが……それなりの腕の傭兵でも雇ったか」


大誤算、と言うほどのものではないが、予定が少々狂ったのは確かだ。本来であれば『目標』にはもう少し疲弊してもらう算段であった。牙獣で討ち取れていればなおよし、であったがそこまで上手くいくとはそもそも思っていない。


しかし、あれほどの腕の傭兵を雇ったとなれば、この先色々と仕掛けても無駄になる可能性が高い。今回の事とてかなり準備不足で無理矢理の感があったのだ、これ以上事を起こせば十中八九ぼろがでる。ならば今回仕留められないとなれば、手を引くしかあるまい。

最低でも帝都までは。


もはやここにいる意味はない、それどころか長居をすれば発見される可能性もある。そう判断した途端迷い無く撤収する準備を始める。そうしながらも注意は戦場に向いていた。手駒が一つまた一つと失われていくのを感じながらも、その人物は冷静さを失わずひとりごちる。


「さて、思わぬ賭けになってしまったが……言うだけの仕事、やってくれような?」











「……な~んてことを、言われてるような気がするねえ」


緩やかな山肌。まばらに樹木が立ち背の高い雑草が一面を埋め尽くすように生える。そのただ中に不自然な盛り上がりがあった。

よく見ればそれは濃い緑色の布。表面に雑草を貼り付けこんもりと盛り上がったその先端から覗いているのは、長大な銃口。

周囲には簡易結界を張るための金属支柱と蓄電池。そして獣よけの香の臭いが漂っていた。


僅かな隙間から覗く遙か彼方。望遠の視界に収められた光景を見ながら苦笑を浮かべる男。


「また妙なのがいるな。……躯体は分からねえが、無鎧流か、ありゃあ?」


奇襲、強襲に跳躍などの三次元的な動きをときおり用いるのは無鎧流の特徴だ。派手な大技こそないが動きを読みにくくさせるそれは対処を難しいものにしている。

動きに若さがある、が、相応の手練れだ。若手の傭兵であろうか。あれが目標であったのなら手こずるだろう。いや本来の目標も難しいのだが。


男は知らない。注視している躯体の乗り手がまだまだ雛に過ぎないものであると。


とにもかくにも、危惧しながらも男は千載一遇の機会を待ち、にやけながら静かに様子を伺う。











最後の一体が、絶命し倒れ伏した。それを確認して警備兵たちは深く深く息を吐く。

これで終わり、彼らはそう判断したのだろう。実際前代未聞の事態が次々と襲いかかったのだ、『これで終わりにして欲しい』と言う心理が働いたのは否めない。装備している剣を収め、おなざりに周囲を警戒するようなふり(・・)をする。


もちろん、この二人は残心を忘れていなかった。


「(視界の範囲内には異常を見受けられないが……気配では、陰業おんぎょうまで探りきれんか……己が未熟が口惜しい)」


躯体の肩に太刀を担がせて周囲を警戒する来夏。

そして彼女より遙か遠い(・・)危機を危惧している誠志郎は、地形そのものに気を配っていた。


「(疲弊し、戦いが終わったと見受けられる今が好機。けど一級の機師……気を探れるものの範囲内では奇襲とは成り得ない、確実性に欠ける。だったらまだ遠く、視界が開けたところ)」


常識ではあり得ない、周囲の山岳の合間。最低で半里(約2㎞)はあるあたりに目を配る。この若さで、どころかまず普通は考えない。そんな位置から狙撃など行えるものなどいないはずなのだから。


だが誠志郎は、それを成し遂げうる(・・・・・・・・・)存在を知っている(・・・・・・・・)。だから気付いた。山間にきらめく砲火の閃光に。











男がこれぞという位置で照星に目標が捕らえられた。

引き金が引かれる。


距離、威力、風向その他諸々。それらの確信の元に放たれた弾丸は、狙い違わず目標に向かう。


弾頭は一寸径(約33ミリ)の徹甲炸裂弾ペネトレイター。装甲を貫いた上で内部で炸裂するそれは、正面から胸郭に当たれば確実に機師を死に至らしめる。











咄嗟に躯体を動かす。轟雷の前に立ちふさがり、太刀を真正面に構えた。


瞬時の後に響く耳障りに甲高い、それでいて重い、ぎいんという音。太刀が欠け、そして遅れて衝撃を感じる。堪えた背後で二つに分かたれた弾丸は、あらぬ方向に飛び爆散した。











失敗しくった!?」


必殺の一撃が防がれたのを見た男――【或狭あるさ 有馬ありま】は、即座に右の内壁に増設された操作桿を引いて次弾を装填する。


猟師を自称し、金次第で有象無象の区別無く撃つ。魔獣であろうが人であろうが。そんな彼は自動目標追尾ロックオン機能や銃器同調制御スマートリンク機能が存在しないこの時代に置いて、神懸かり的な長距離狙撃を可能とする数少ない狙撃手であった。

例え警戒していても、これだけの距離は意識にあるまい。ましてや一戦やらかした後だ、少なからず油断が生じる――はずだったが。


「手練れか、厄介なことになりやがった」


若いが相当の修羅場をくぐっているのか、まさか今の一撃を防ぐとは思わなかった。自分のような狙撃手と相まみえることなどそうそうあるまいに。


だがこの距離、ただ己の技量を見せつけるためのものではない。


起伏に富んだ山間部。直線であればたかだか半里といったところであるが、実際たどり着こうと思えば機殻鎧の足でも相当の時間がかかる。全ての弾丸を撃ち尽くしてなお、逃亡する余裕があった。

一撃は防げただろうがそれが二撃、三撃となればどうか。長距離狙撃に相対する集中力などそう長くは保たない。それに下手に動けば後ろに庇った姫君を狙い撃たれるというのは分かっているだろう。そして姫君の方も下手に動けないと言うのは分かっているはずだ。たとえいずれは力尽きるとしても。


「真っ向勝負……っていうにゃこっちが少々有利だが、悪く思うなよ。仕事なんでねえ」


慎重に狙いを修正し、次の弾丸を放つため意識を集中する有馬。

弾が尽きるのが先か、立ちふさがる躯体が力尽きるのが先か。これはそういう戦いだ。


そうなると、思っていた。











このままではじり貧だと、己の不利を悟る誠志郎。先の一撃を防げたのはほとんど運と言っていい。二発目、三発目ともなれば防ぎきれるかどうか。太刀とてそう何発も保つまい。せいぜいあと数発、それだけ受ければ確実に折れる。


どうすればいい。こちらは防ぐ一方、反撃しようにもあの距離を狙い撃てる銃器などないし、そんな腕を持つものなど都合良くいるはずもない。手詰まりだ。

手の届かない位置から一方的に殴られる状況。手が届く位置ならまだしも――


届く位置なら?


「(届かせる手段なら、ある!)」


即座に判断。背後で来夏や鉋の声がかかったような気がするが一切合切を意識の外へ。電磁動輪が火花を散らし、最大加速で伏龍は駆け出す。

出力を全開。だがそれでも足らない。誠志郎は迷わず左操縦桿先にある赤い引き金の留め具を外し、ためらわず引いた。


どがむ、と炸薬が熱量エネルギーを産み出し、大気に満ちる気が一気に活性化する。それを感じ取りながら誠志郎は吠えるように術式符を口にする。


「空歩、縮地、重奏発動ドライブフラクタルっ!」


術式符。それそのものにはなんら力のない、ただの言葉だ。はっきり言ってなんだって構わない。必要なのは己が意識に訴え、術を明確に意識創造イメージすること。そのための鍵として言葉――術式符を口にするのが一般的な術の使い方だ。


術とはこの世界、森羅万象に満ちる気を人間やその他の知性体の思考演算、または術式回路による疑似思考演算によって活性化させ制御し、物理的な影響力を行使する技術だ。気そのものは思考演算により制御されて周囲の空間因子に影響を与える触媒の役割を果たす。術の使用のおり注ぎ込まれた熱量が多ければ多いほど気は活性化し、術の規模、範囲は拡大する。


烈火増強機構によって大電力を注ぎ込まれた躯体の術式回路が周囲の気を一気に活性化させる。誠志郎はそれに同調、掌握し術を行使。

術の意識創造するやり方は人それぞれだが、誠志郎の場合巨大な『手』を意識する。跳躍。高く上げた踏み足の先に手を意識し、空間を掴んで圧縮するように創造。生じた大気の足場を踏みつけ、次は躯体の背後から全力で押し出す手を創造。


一瞬でそれらを成し遂げれば――


「おおおおお!」


ごう、と鋼鉄の塊が飛翔する。本家本元の縮地ほどではない、音速にも至らないつたない技術。だがそれは伏龍を天に舞わせるには十分なものであった。











「な、何事か!?」


撤収を開始していた外套の人物は天を仰いで驚愕の声を上げる。

己とて一級の術師だ。今まで様々な術を見てきたし知識もある。

だが機殻鎧が空を飛ぶという術は――


「あの話は本当だったと!? 鹿野島の新たな戦技とでもいうのか!」


与太話だと思っていた話が現実であると目の当たりにし、戦慄を禁じ得ない。

この技術が世に知らしめられればどのようなことになるか。外套の人物は悪寒に身を震わせた。











有馬もまた、驚愕に目を見開く。


「天狗かありゃあ! 妖が機殻鎧使うなんざ聞いたことねえぞ!?」


仰天しながらも対応しようとするところはやはり仕事師プロだからだろうか。射界が取れれば迷うことなく轟雷を狙うところだが、あのとんでもない躯体は立ちふさがるようにまっすぐ飛んでくる。何がどうなっているのかさっぱりだが、正面から突っこんでくるのならそれはそれで好都合だ。


「真っ向から叩き込んでやらァ! 墜ちろよ化け物ォ!」


最速で照準を修正。必殺の意志を込めた弾丸は、真一文字に目標へと向かう。











閃光を確認すると同時に再び太刀を構え、そして衝撃。またもや刃が欠け、衝撃が飛翔の勢いをそぎ急激に落下を――


「なんのおっ!」


始める前に二発目の燃料電池を使う。そして再びの空歩と縮地。

どがむと炸薬の炸裂音と大気を蹴り飛ばす音が重なり再びの加速。そして三発目を消費してさらなる加速。


半里の距離を、二十息で埋める。銃弾による迎撃は最早間に合わない。


「だああああああ!」


四発目。そこで活性化した気を全て斬撃に乗せる。

全力の破斬剣。必殺の意志を乗せたそれは、誠志郎に獲ったと思わせるほど会心の出来であった。


緑色が視界を覆う。打ち込みの寸前、相手が偽装のために使っていた布を投げつけるように払い飛ばしたのだ。構わず斬撃を叩き込むが、その一刀は横合いから叩き付けられた何かによって甲高い音を立てながら逸れる。


叩き込まれた刃と着地の勢いが衝撃を生み、山肌を抉り吹き飛ばす。その衝撃で布はちぎれ飛び、狙撃者の躯体、その姿があらわになる。


幾分細身。濃い緑色に塗り上げられたその躯体。臑脹ら脛に当たる部分には装甲が無く、また両肩の装甲も取り外され右肩には長大な大長筒(狙撃砲)、左肩には望遠撮影機などの索敵機構が取り付けられている。その左手には大鉈。どうやらこれを横合いからぶつけることで斬撃を逸らしたらしい。


衝撃で吹き飛ばされながらも、大長筒を伏龍に向けようとする躯体。誠志郎は大地を割った太刀を振り回しその銃身に叩き込む。

耳障りな金属音。太刀の刃は大長筒の銃身に食い込み、そして……中程からぱきりと折れた。


「っ!」


得物は折れたが大長筒は逸れ、使用不能となった。それに折れたからと言って使えなくなったわけではない。間合いを補うために踏み込んで――


「うわ!?」


躯体が不自然に傾ぐ。傾斜地で自動姿勢制御が作動し躯体の均等を取ろうとしたのだ。そのせいで体勢が崩れ踏み込みが甘くなる。

鋭さに欠けた一撃は、払うように振るわれた鉈に受け止められる。しかしこの躯体の乗り手、狙撃は神がかったものだが接近戦は並くらいだ。躯体が勝手に姿勢を正そうとするのはやっかいだが、食いついていれば十分勝ち目はある。


その目論見は即座に覆された。


ぱす、という微かな音。緑の躯体の腰回りから、何かが周囲にばらまかれた。と見るやいなや、ぶしゅうと音を立て急激に何かの煙が吹き出す。そして緑の躯体を、周囲の光景を瞬く間に覆い隠した。


「煙幕! くっ!」


気配を頼りに両肩の連発筒を目くら撃ち。が、派手な轟音と共に、気配は急速に傾斜の下方へと消えていく。追うか、一瞬思ったが地形がはっきりと分からない以上むやみに行動するのは危険すぎると断念。だがこの状況では向こうも狙撃はできまいと、折れた太刀を構え警戒しながら煙が晴れるのを待つ。


ややあって煙幕が切れ、ゆっくりと視界が晴れていく。大した時間ではなかったが、傾斜を滑落した跡を残し狙撃者の躯体は姿を消していた。


逃げられた。口惜しさか安堵か、様々な気持ちが入り交じり誠志郎は大きく息を吐いて力を抜く。

伏龍の冷却機構が作動、背中の排出口から息を抜くように蒸気を吐き出した。











結局四苦八苦して傾斜の下、渓谷を流れる川の畔にたどり着いてみれば、胸郭を開けた躯体が勢いよく燃え盛っていた(・・・・・・・)。どうやら脱出した際、証拠隠滅のため躯体に火をつけたらしい。

当の本人は、多分川辺に船でも用意していたのだろう。全く痕跡らしいものは残っていない。かなり手慣れた人物のようだ。北之浜で相手取った事のある密漁者などよりよほど頭も気も回る。仕事師とはこういうものなのだろう、敵ながら見事と妙なところで感心する誠志郎だった。


その後川を飛び越えたり山道を下ったりと、四苦八苦しながら現場へと戻る。

躯体はどろどろ。燃料は尽き欠け蓄電池で何とか駆動している状況。そして操っている本人はへとへとだ。


沈みかけの陽光は茜色に景色を染め、烏が鳴きながら飛び去っていく。事故現場では、警備兵の躯体が土砂を片づけ、それを作業用の投光器が煌々と照らしている。列車の後方では乗客を近場の駅に運ぶためであろう追加の列車が待機し、乗客や貨物を積み込んでいた。

作業を手伝うものの中に轟雷や鉋、腕の包帯を巻き直した幸之助の姿もあった。と、こちらに気付いた鉋が、もの凄い形相で駆け寄ってくる。


あっちゃあ、と額に手を当てる誠志郎。躯体は無茶苦茶、太刀は折れて傾斜地での使用が祟ったのか自動姿勢制御の調子も悪い。土下座で済まないだろうなあと思いながら、誠志郎は躯体を停止、跪かせ胸郭を開ける。


「申し訳ありま――」

「すばらしいいいいい!!」

「――はい?」


まずは謝罪をと降り立った誠志郎の両肩をがしっと掴み、興奮さめやらぬ形相で鉋は吠えるように言った。

そして戸惑う誠志郎に向かって洪水のように言葉を叩き付ける。


「やつがれは今猛烈に感動している!我が生み出せし躯体をここまで使いこなすとは君はあれか天より使わされた御子か何かか神も仏も欠片も信じてはいないが今このときだけは感謝してやるありがたく思うがいい!それになんだあれ機殻鎧で空を飛ぶだと君はどこまで予想を裏切ってくれるのだ天狗か!?天かける狗なのか!?いやこの際何でも良いから是非ともその手法を教えて下さりやがりなさい革命だぞ!?機殻鎧の運用法が根底からひっくり返るぞすばらしい!すばらしい!!もう一つ言うがすばらしい!!!この感動と感謝を示すことはさらに研究研鑽を重ね先の御技を再現することでしかなしえないだろうああ来る!ひらめきが脳裏を駆け回る新たな発想アイディアがやつがれの内面世界に花開いていくあああああ絶頂感ここに極まれりふひょほははははは!!!!」

「へひやあああ!?」


すごい勢いで誠志郎の身体を前後に揺さぶり、正気を無くした目で唾を飛ばしながらまくし立てる鉋。しまいにはどこにそんな力があるのか誠志郎を抱きしめ持ち上げ、歓声とも奇声ともつかない声を上げながらくるくる回り出した。


やれやれと肩をすくめてその光景を眺める幸之助。彼の隣にいつの間にか躯体を降りた来夏が立つ。


「……妬けますかな?」


悪戯げに問うてくる彼女の言葉に、幸之助ははしゃぐ鉋の姿を見据えたまま答える。


「かなり。若さですかね、あの才は末恐ろしいと肝を冷やしております」


まあですがと、彼は続けた。


「師匠がああも喜んでいるところを見れば、それはそれでいいかと」

「誠志郎殿にとっては災難かも知れませぬが」


くくっと二人して苦笑を浮かべる。浮かれ騒ぐ鉋の声は、日が沈んでもしばらく続いた。















次回予告



紆余曲折を経て誠志郎と来夏は帝都に足を踏み入れる。

新たなる生活、新たなる出会い。

暖かな春の光景、その裏側でうごめく闇。


次回『阿須賀』


乱世に刃鋼の疾風奔る。












空歩は空中で可能なブーストドライブ、縮地は空中で可能なグライドブースト、そう考えていただけるとイメージしやすいかと思います緋松です。



一話ほぼ丸々の戦闘シーン、いかがだったでしょうか。やればやるほど書き足りないような気がするのはアレですかなんか脳の病気ですか。この話は筆者にしてはシリアス成分多めですので加減が分かりません。


ま、それはそれとして次で序章は終わり、帝都での物語が主軸となっていきます。一体何が誠志郎たちを待ち受けているのか、過剰に期待をせずお待ち下さい。






今回推奨BGM、初音ミク系「サイバーサンダーサイダー」

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