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たまっていく妄想が腐敗してきましたらこんなんできました。









序・戦の風







かつて、大陸全土を巻き込んだ戦いがあった。


大陸をあまねく支配していた【帝国】。その権威が徐々に失落し、斜陽を迎えていたころ。次なる大陸の支配者とならんとする者たちが起ち、動き始める。それは新たな戦乱を大陸にもたらす。


千代に続く地獄。【千獄】と称される時代。

その時代を駆け抜ける、一人の男が居た。











曇天の空模様。

今にも豪雨が降り出しそうな空の下、怒号と剣劇の音が響き渡る。


戦場。敵味方が入り交じり、刃を交わし銃弾が飛び交う乱戦。

尋常でない速度を持って斬りかかった鎧武者の一撃が、雑兵を数人まとめて吹き飛ばす。【気】――はるか彼方の西方大陸では【魔力】とも呼ばれる力により、斬撃の威力が強化されているのだ。それなりの使い手なのだろう、斬撃を放った武者は兜の下でにやりと笑いを浮かべる。


その武者が、横から銃撃を食らい吹き飛ばされる。

一撃で絶命し倒れ伏す武者。その亡骸を巨大な何かが踏み砕いた。


それは形状としては人の形をしていた。だが人のそれに比べて四肢がずんぐりと太く、何より一丈五尺(約4メートル半)を越える丈は人のものではあり得ない。

動きに伴う軋みは肉のものではなく、金属的な、機械の響き。人の姿を模した巨大な機工からくり――兵器。機械仕掛けの武者。戦場を蹂躙するそれは【機動甲殻鎧】――通称【機殻鎧マシンシェル】と、そう呼ばれる。


返り血と泥に汚れたその躯体が長大な斧槍ハルバードを振り回す。地表の歩兵や装甲車両などをなぎ払うのには、太刀よりこのような長物が使いよい。逃げまどう歩兵の群れに向かって容赦なく斧槍は振るわれた。

千切られ、吹き飛ぶ。まるで草を刈るように命が消えていく。人のそれと比べ物にならない凌力による蹂躙。一方的なそれは、しかし突然の衝撃により中断される。


砲撃。大口径火砲の直撃が、鋼の巨体を揺るがす。ぐらりと傾いだその躯体に向かって、殺到するいくつかの影。

前後二輪の車両、最低限の装甲、構えられた砲槍ストライクランス。機殻鎧や装甲車両など、防御力の高い存在を打ち倒す、そのためだけに生まれた狩人たち。【鉄騎猟兵サイクルストライカー】。牙持つ狩人たちは、隙を見せた獲物に食らいついた。


砲槍を脚部装甲の隙間に突き込む。そして撃射トリガー。大口径の炸裂弾頭が容赦なく内部構造を引き裂く。

一撃、二撃。その間にも体勢を崩しかけた機殻鎧は斧槍を振り回し、幾人かの猟兵が装甲鉄騎アーマーサイクルごと吹き飛ばされた。が、一度食らいついた狩人は容易く振り払われない。ついには脚部が砕け、巨大な躯体は地響きを立てて倒れ伏した。


猟兵たちが咆吼をあげる。しかしその彼らも彼方から降り注いだ砲火にその姿を消す。


命が木の葉のように容易く散る光景。それを遠間から眺める視線があった。

戦場から少し離れた小高い丘。そこに陣取る集団がある。


居並ぶ機殻鎧。ひしめく装甲鉄騎。躯体の種類はばらばらで統一性はない。しかし纏う気配が奇妙に一体感を醸し出していた。

その集団の先頭に、一体の機殻鎧があった。重厚なる躯体、鬼面を模したような各部の装甲。腰の左右に合わせて四本の太刀を提げ、左手には大型の動輪機関砲ガトリングガン、背の予備銃架には担ぐような形で大口径の龍弾砲を備えている。

両肩から下がる装甲外套が風に揺れ、じゃらりと鎖の音を響かせる。その胸郭装甲は大きく開かれ、中の繰手の姿を顕わにしていた。

機動甲殻鎧繰師――【機師シェルドライバー】用の軽装甲冑を纏った男。その男は胸郭から身を乗り出し、双眼鏡を当て眼下の戦況に見入っている。


「三つ巴……いや、四つ巴ですかな? どこもこの地を抑えたいと見える」


不意に響く声。いつの間に現れたか、跪いた躯体の足下に一つの影がある。

戦場には不似合いな着流し姿。肩に引っかけた外套が風にあおられるのをそのままに、細身のその人物は不思議と響く声で語った。


「しかし譲ってやるわけにはいきますまい。ここを抑えられれば折角確保しかけた流通経路が台無しとなりましょう。我らが優位が覆されかねませんし。……何より姫君や盟主殿がへそを曲げるでしょうな」

「そいつはおっかない話だ」


く、と苦笑を含んだ返事を返し、男は双眼鏡を離す。

強い意志を秘めた鋭い目。その鷹のごとき目で戦場を見下ろし、男は問うた。


「それぞれの戦力は?」

「緋月が八千、蓮沼は九千三百。伊島と山笠がともに七千といったところですな。対して当方はせいぜいが八百。戦力比ではお話になりませぬが……いかがいたします?」


男の答えは、不敵な笑みとともに。


「決まっている、一直線に大将首狙いだ。頭を潰して退かせるぞ」


そうだろうなと、着流しの人物は済ました表情の下で得心する。男の言ったやり方が最も成功率が高く、生存の可能性が高いと分かっているのだ。

最早言うことはないとばかりに着流しは下がる。そして男は胸郭に潜り込んで装甲を閉じると、大音声で指示を下した。


「総員抜刀! 旗を起てろ! 脇目もふらずに一気に駆けるぞ、やつらの度肝を抜いてやれ!」


咆吼が響き、太刀が一斉に抜き放たれる。次々と起てられる数多の旗には『我意貫天』の文字が躍る。

そして一団は、一個の嵐となって戦場に挑みかかった。











刃を振るい、銃弾で撃ち貫き、千獄の世を疾風のごとく駆ける男。

その物語の始まりは十五年前、乱世の気配が漂い始めたそのころに遡る。













初めての人もそうじゃない人もおはこんばんちわ。

緋松 節でございます。


またなんか変な妄想が脳からあふれ出しました。

似非和風ファンタジーロボット物立身伝ぽいの。なんだこのジャンルは。和風のくせにルビがばりばり入ります。ちゅうにちから全開です。自分はいったいどこに向かっているんでしょうか? 素直に戦国物をやらない己のひねくれ具合、どうした物だ。


そういうわけですんでかなりおかしな話になっていくんじゃないかとは思いますが、もしよろしければ読んでくださるとありがたく思います。


……連載する気力が続くかどうかは定かではありませんが。



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