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6話。 ルマルウルフとアッシュ。


   ぴゅぃーーーー!

   ぴっぴぴぴぴーーーー!



思いっきり強く笛を吹く。


「もっモンスターを呼ぶだってぇ!?」

「いや、でもアッシュなら…」


「…面白そうね。」



チラッと見たお母さんの顔がめちゃ怖い。

笑ってるんだけど怖い!






   ………だだっだだっだだっだだっだだっだだっ……






  ずしゃ!


『コルォオオオオーン!』




「「のぎゃぁぁぁぁぁああああああ!!!??」」



おお、ハモッた。

さすが双子。



「ルーナン!今日もきてくれたね!」

『コルルルゥ!』



べるべるべるべるべるべるべるべる


「ちょ、ちょっと…うぶぷ…」


すっごいいきおいでなめられる。

これもあうたび毎回のこと。

すんごいよだれ…



ルマルウルフ。

お父さんとお母さんから聞いた、僕を助けてくれた狼。


…なんだと思う。

すっごくなつっこい  ってわけじゃないけど

どうやら心を許してくれてるみたい。

だから多分、このコがそうなんだと思ってる。



とはいえ、初めて笛を吹いた時にはびっくりした。

鳥を呼ぶ笛くらいにしか思ってなかったから…

お父さんは大笑い。

きっとすぐ分かったんだ。

これが僕の能力ちからだって。


僕と同じくらいの背丈だけど、これでもまだ子どもだったらしい。



日中いっぱい遊んで、夕方帰っていく。

飼われるつもりはないらしい。

ちょっとさみしいけど…こうやって遊んでくれるのは素直に嬉しい。

ウサギ?をくわえてやってきたときは死ぬほど驚いたが…




「よしよし…今日も背中のせてくれる?」

『ルォン!』

「よし、いこう!」



ふせをして、僕がしっかり乗ってから立ち上がる。



「いってきまーす!」


「ちょ、ちょっとアッシュー!」

「すっげー!かっこいーーーっ!?」









風が気持ち良い。

もう、2週目だ。早い早い!

実はこっそり門から出て、時々こうやって背中に乗せてもらってた。

だから本当はもうなれたもの。

でも、五週はさすがに多すぎたかな…

ルーナンの息があがってきた。

まだ子どもなんだから…







そんなこと考えてたら。


「あ!」


   ぼたっ!

『クオン!』

「いたた…」


結局落ちちゃった…



「きゃぁぁぁぁーーー!」

「アッシュ!」


「へーきへーき!」

ルーナンがすぐ起こしてくれたから砂まみれになっただけ。




ふっと、影がかぶってくる。



「アッシュ。」

「お、お母さん…」


多分、だめだなぁ…

来年まで待つか。




  ぎゅぅぅぅううううう!


「すっごいじゃないの!んもぉー!お母さんびっくりしちゃったわよぉ!」

「んぶ!」


おっ おっぱいが!

やわらかいけど苦しい!



「アッシュ!」

「すげぇじゃねーか!」


「お、お兄ちゃん、お姉ちゃん…」


「「やったじゃん!」」

「あ、ありがとう…」




『クルォン!』

「ルーナン…ありがとう…!」

『クルルルル…』

  べるん!

「うぶっ」


「「あはははは!」」



  たたたっ がざざ…



『またね!ルーナン!』







「さぁー、忙しくなるわ。準備準備!」

「「はーい!」」

「はい!」









夕方…


「そっかー、母さんがOK出したんならいいんじゃないか?頑張れよ。」

「「「はい!」」」


「アッシュも多分大丈夫よね?」

「おー、いけるんじゃね?ま、大丈夫だろー?」


のんきに返事をして

器用に右手だけでチキンプーガのグリルをくるんでいる紙をはがすお父さん。

かぶりつく姿はホントに熊みたい。



でも、わかってる。

本当は内心そわそわしっぱなし。 目が泳いでる。

わかりやすいなぁ、お父さん。




「ほらアッシュ!じゃんじゃん食え!」

「そーだぞアッシュ!ほらがぶっといけ!」

「パパ!お兄ちゃん! だーかーらー!野菜も食べさせなさい!」

「あらまあ。 アッシュ、とりあえずパン食べなさい。」

「ママぁ!」




「…多すぎ……」




結局、いつもどおりな食卓。


でも、こういうのが幸せなのは

前の世界と同じだなぁって、うっすら思い出してた。

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