3話。 メッシュの話。
人掠いの捕縛から一時間くらいあと。
俺たちは、兵隊さんに連れられて ようやく家についた。
…まったく、散歩と木の実つみのつもりがえらい目にあった…
「父さーん!」
「パパー!」
「メッシュ、ミリアーナ!!」
どたどた、とうるさく飛び出して来たのが父さん。
仕事から帰ったら家族がいないんだから、さぞ驚いていただろうな。
あのうろたえぶりなら置き手紙に気がついてないのかもしれない。
「ガン様!」
「ノリエール!アッシュ!」
「では、我々はこれで。」
「ありがとうございました!」
「また何かありましたらすぐに呼んでくださいね。」
「それではー。」
………
ぎゅぅぅぅ!
「よ゛がっだぁ゛ぁぁぁ!!皆無事でぇぇぇ!」
「父さん痛いよー!」
「ま、ママ苦しい!」
「おお、すまん。」
「あら、ごめんなさいね。」
兵隊さんをみおくって。
家に入って早速。
父さんと母さんに抱きしめられた。
「抱き合うんなら二人でやってよ!」
「…お兄ちゃん、もう抱き合ってるよ。アッシュは巻き添えになってるけど。」
「…あ…」
「ノリエール…」
「ガン様…」
「だうー」
「頑張れ、アッシュ。」
「もう少し耐えてー。」
ここは、モノトーン国の城下街。
石と森と畑の国。
自然と創造の調和。
お城は綺麗な石造り。
街には木々と花々か咲き乱れ、畑は青々と芽吹きすくすく育っている。
俺はメッシュ・マルタ。
このモノトーン国の住民だ。
父さんはガンキッシュ・マルタ。
母さんがノリエール。
双子の妹ミリアーナ。
そして末弟アッシュ。
家族五人、仲良く暮らしています。
泣き虫な父さんには参るけどね。
「お兄ちゃんずるいー!パパ、あたしも手、つなぐー!」
結局収穫はなくしてしまったので、買い物に出掛けることになった。
「はいはい。メッシュ、一回手はなしてくれ。」
「やーだ。」
「お兄ちゃんのバカー!」
べしべし!
「いってぇ!」
「こら、ミリアーナ!」
「うわーん!」
「ミリアーナ、お母さんと手、つなぎましょ。」
「…うん…」
「……母さん。アッシュ、俺があずかる。」
「あら、どうしたの?」
「……別に。」
俺が父さんの手を離した隙に、ミリーが父さんと母さんの手を両方捕まえる。
「べーだ!」
「……ふん!」
俺はお兄ちゃんなんだ。
譲ってやるさ。
素直になる気はないけどな!
「…メッシュの奴め……」
「ガン様、そう言わないの。」
仕方ないじゃんか。
父さんは左腕がないんだから。
「なぁ、アッシュ。」
「だう?」