表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/22

10話。 アッシュとガンキッシュ

「どりゃぁぁぁああああぁぁあぁあ!!!」


   ガシン! キキン! カァン! カン!



水精霊ウンデリ・フェ、かしこり集え、つなえつなえ、つなえに申す… 霧雨噴杖波スプラッシュ・ワンド!!」


      ずぷしゅぁぁあああ!


土精霊ノムーラ・フェ、お力を! 岩蚯蚓ロックドワムJr.召喚!」


                       ぼこん!

「はい、そっち側耕してね。」

『こくん。』

   …ぼこぼこぼこぼこ…  ごろごろ…



「すまねぇだぁ、皆さん。」

「いえ、息子たちがお世話になりましたから…」

「皆ー!冷たいお茶を持ってきたわよー!お昼にしましょー。」

「「「はーい!」」」






この間、荷台にのせてもらったマードさんの畑のお手伝いにやってきました。

くはー!お茶うまい!


「ほら、二人ともたくさん飲んでおきなさいよ。ミリアーナは特にすぐ魔力無くなっちゃうんだから。」

「うん。」


母さんが持ってきたお茶は、魔力を回復するマリマリ草がたっぷり入ってる。

そのままだとかなり苦いけど、お湯にくぐらせると甘みが出てくるんだ。

お茶にするのは時間かかるはずなんだけど、母さんだとなぜか短時間に作っちゃう。

魔女のカンってやつらしい…

やっぱりすごい魔法使いなんだなぁ…



「ガン様、はいあーんv」

「…やめてくれ…」



はい、そこのバカップルはおいといて。

…ってオイオイ、結局口あけてるよ。




フルーツサンド、うまーい。


そういやこの世界の魔法について、説明してなかったっけ。

今の畑仕事中や、この間の戦闘中のように、精霊に力を借りて発動するのが基本。

巨大な魔力を放出するときは、神様に力を借りる場合もある。

そのときは、大人数で呪文を唱える。


通常使える魔法は、姉ちゃんのように神様に精霊を借りることを伝えてから呪文を唱える。

そのため呪文は長くなる。


戦闘中…というかフィールドに出る際は、事前に神様から精霊を借りる魔法を唱えて準備しておく。

で、力を貸して欲しい旨を声に出して、発動したい魔法を唱える。

こうすることで、短い呪文で力を貸してもらう事ができる。

借りる魔法は

「属性の神々よ、お力添えを。精霊七属エレメントリー・セッティェ。」


これも、神様にお願いする呪文だから、チームを組んでいる場合はチーム全員で唱える。





「アッシュ、ちょっとこい。」

「んぅ?」

「ああ、食いおわってからでいいぞ。ノリエール、 イアキタごちそうさま。」

「あ、はーい。」

「(うぐうぐうぐ…) イアキター!」

「これ、ちゃんと口をふきなさい!」

「はぁい…」















「どうだった、違和感あるか?」

「ううん、全然。すっごく使いやすい!」


父さんからもらった脚輪。

召喚魔法を使う際に便利な『マジカアンクレット』

小さい召喚獣だけしか呼び出せない欠点はあるけど、これがなかなかいい。

今日だけでも5種類は召喚獣を呼んでいるのに、全然疲れない。

召喚中にダダ漏れになってしまう魔力の放出を最小限に抑えてくれるんだ。


「いけそうだな。よーし、上に掛け合ってみる。」

「大変だね、お仕事。」

「まーな。モニター調査だけど、母さんは召喚魔法は体質的に合ってないし、あの兄貴に姉貴じゃ不安で…お前が一番安心できるよ。」

「姉ちゃんは魔力を無駄に使っちゃう体質だもんね…兄ちゃんはちょっとアホだし…」


あははーと、父さんに合わせて笑ってみる。







「それなんだよ。」

「え?」


「ずっと気になってた。 お前、誰だ?」







「…ぇ……?」

















「いや、すまん。転生者だろ?前世の記憶の残ってるタイプの。」

「??!」

「あれ?そんなにびっくりすることか…?」

「いや、ちょっと待って!父さん!!    なんで分かるの!」


「そりゃぁ、お父さん特殊だもんよ。超視えるんだ、前世の影が。」

「か、影?」


自分の影を見ても、普通の影。


「アッシュの小さい影と別に、メッシュたちよりも大きい薄い影が被ってる。もう一人そこにいるかのようにな。 これが前世の記憶を持っている人間の特徴で…お父さんはそれが見える体質なんだ。」



びっくりした。

本当に、知ってるんだ…





「…こことは違いすぎる世界、場所に生きてた。魔法も転生も、剣も。何も無い世界だよ。」

「……は? どうやって生きてきたんだ?」

「治安は安定してて、事故や殺人以外では人が死んだりしないよ。モンスターもいないから丸腰で外を出歩けるんだ。 警察っていう…兵隊さんみたいな人たちがいるの。事件や事故はその人たちが解決してくれる。」

「すげえな。  で、キミは、どんな人間だった?魔法が使えないなら農業とかで働いてたのか?」

「14歳だったから、学校に通ってたよ。僕の世界では、兄ちゃんたちくらいの年になったら学校に通うことが義務づけられてるんだ。たくさんの子どもが通ってたよ。 もうちょっと大きくならないと働くことは出来ないんだ。家事の手伝いなら出来るだろうけど、それ以外でお金を稼ぐことは出来ないから…」

「へぇ…」

「魔法の変わりに科学があったよ。 この世界のメタリル教にちょとだけ近いかな…」




「この世界では転生は当たり前なの?」

「おう、死ぬと必ず生まれ変わる。人間以外もあり得るけどな。多分、アッシュ…の前世の人間と誰かが同時に死んで、魂が混ざったのかもな。自分以外の記憶はあるか?」

「…今のところ、覚えは無いけど…」

「二重人格とかの人間は、魂が中途半端に混ざって、魂が二つあるような状態で 生まれ変わった人間なんだ。そういうこともあるから…確認しておきたかったんだ。   そうか、よかった…」


「…?」


「いいんだ。で、キミは…これからもアッシュとして、俺の息子として接していいんだよな…?」




不安そうな父さんの顔。


「大丈夫だよ! 僕は父さんと母さんの子どものアッシュ・マルタ。 何も変わらないよ。」

「…ありがとう……… いこうか。母さんが心配する。」

「うん!」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ