アンモニアの騎士
或る期間ひとつの器官になっていた
アンモニアを濾過する三角フラスコ
尿道カテーテルで害毒を強制排出するだけ
集中治療室の一室に緊縛され
以前に足腰が衰弱して歩行すらできない
生理食塩水を点滴し溺没する
そして垂れ流し
華々しい黄泉がえりの男の末期だった
危篤であったという
肘掛椅子の傍では犬が狂奔して
救急隊員と警察官
多剤多量の精神安定剤と睡眠薬
そして致死量のトリプタノール
それから幾星霜
死んでも変わらない自分がいる
死んだから変わった自分がいる
そして生は続く
したがって死も