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光の覇王・闇の騎士  作者: 原田広


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糧となる希望

アリスは、自身の存在を否定するのではなく、両親と賢者から受け継いだ「愛」と「希望」を守り抜く意志こそが、光の覇王の真の力だと悟った。彼の剣は、破壊的な浄化の炎ではなく、生命を包み込むような温かい黄金の光を放ち始めた。

その変化に驚いた闇の騎士だったが、すぐに彼の漆黒の甲冑の下から、低い、しかし陶酔にも似た笑い声が漏れた。

「ハハハ…そうだ!それだ、光の覇王よ!」

闇の騎士は、アリスの希望の光へと向かって、黒曜石の腕を広げた。

「その力、その思い! その内なる矛盾を乗り越えた強い意志こそが、旧き世界には欠けていたもの! 我々が求めていたものだ!」

闇の騎士の言葉は、アリスの期待を再び打ち砕いた。彼はアリスの「希望」をも、自らの破壊の論理に取り込もうとしたのだ。

「そうだ!その想いが新世界の糧となるのだ!我々の使命はそれを産み出すためだ」

闇の騎士は、その禍々しい剣『終焉の刃』を地面に突き立て、周囲に広がる闇の霧を一気に凝縮させた。

「お前が、自らの命を懸けて守りたいと願う、その希望の光。それこそが、滅びの瞬間に最も輝き、最も濃密なエネルギーを放出する! その希望を、私が完全に打ち砕き、虚無へと還したとき、我々の使命は達成される!」

闇の騎士にとって、アリスの絶望や破壊の力ではなく、彼が抱く「希望」の燃焼こそが、世界を終わらせ、新しい世界を産み出すための究極の燃料だったのだ。

「お前の戦い、お前の守るべき全ては、より高次の世界を生むための、尊い犠牲となる! さあ、希望の光よ。私の闇に飲まれ、最高の糧となれ!」

漆黒の霧は、聖なる山脈を覆い尽くし、アリスの希望の光を飲み込まんと、巨大な闇の渦となって襲いかかった。アリスは、この戦いが勝敗や破壊の規模ではなく、自らの「希望」が闇に屈するかどうかの、意志の戦いであることを悟り、剣を強く握りしめた。

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