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俺達の贖罪  作者: 瀬の
2/5

保護or駆除

エーミールを連れ帰ったが誰もがいい顔することはない。

『正道、また亜人を連れ帰ってきたぜ…』『まだ、共存できるって思ってんのか…?』

陰口は言われ慣れているが問題は別だ。

そう、保護or駆除が行われる

一ヶ月の間様子を見て民間+組織連中の多数決で決定する。これが保護or駆除のルールだ。

今は亜人への風当たりも強くなってきている。このままではいずれ善良な亜人も駆除対象になりかねない…どうしたものか…

エーミール「せーどー、みてみて〜」

エーミールが折り紙教室から帰ってきたのだろう。手には不器用ながらもツルが折られていた。

正道「折り紙教室の見学はどうだった?」

エーミール「楽しかった!」

正道「良かったな」

エーミールの頭を撫でると、エーミールは照れくさそうに笑いながら俺にツルを差し出した。

エーミール「あげる」

正道「いいのか?」

エーミール「うん!」

子供にプレゼントされた親はこんな気持ちなのかと感じながら、ツルを受け取り財布に入れた。

正道「このあとは街のゴミ拾いか?」

エーミール「うん!」

正道「気をつけてこいよ」

エーミールを見送り、深くため息をつく。

正道「はぁぁぁ…」

正道どうしたものか…

上司「正道君少しいいかね?」

廊下を歩いていると突然上司に呼び止められ、俺は会議室に来るよう言われた。

会議室の中には上司と俺とエーミールの三人しかおらず、エーミールは俺を見た途端俺の後に隠れてしまった。

上司は少し悲しそうな顔をしているが、怖がるのも無理はない。上司は褐色(かっしょく)筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)、スキンヘッドで上裸という完全に不審者だ。

上司は歯をキランと輝かせ話し始める。

上司「彼、エーミール君を君の隊に入れてみてはみ

   ないか?」

唐突(とうとつ)な提案に呆気(あっけ)に取られていると上司は言葉を続ける。

上司「亜人が民間に善良だと示すには民間を守る事

   が手っ取り早くて簡単なことだと思うんだ」

上司「そこで、今回は実験的にエーミール君を君の

   隊に入れて結果を見てみたい」

俺は困惑しながらも上司に反論する。

正道「き、危険ではないでしょうか…?」

上司「正道君は亜人も人間も差別などせずに暮らし

   たい…そう言っていたね」

上司「ならばここで示すんだ。亜人も民間の味方だ

   と」

俺が押し黙っていると上司はエーミールを見る。

上司「エーミール君はどう思う?」

エーミールは私を見て再度上司を見て押し黙る。

目はどこか不安そうで、俺達の顔色をしきりに気にしているようだ。

上司「ゲームに例えようか」

上司「今のままでは地道なポイント稼ぎだが、もし

   隊に入り君が隊に貢献した瞬間、大量にポイ

   ントを稼ぐ事が出来る」

エーミール「じゃあ…」

上司「ただ、失敗した時も同様に大量のマイナスが

   つく」

エーミール「え…じゃ、ぁ…せーどーは…どっち

      が…」

エーミールは俺の顔を見ながら震えた声で聞いてくる。

正道「これはお前が決めることだ」

突き放す様に告げるとエーミールは俯き、自身の両手を握り下唇を噛み締めた。

エーミール「ボクは…大きくポイントを稼ぎたい…

      です」

それを聞いた上司は口角を上げ笑い出した。

上司「ガッハハハ!」

エーミールは突然の事にびっくりし、俺を不安げに見上げる。

上司「それじゃあ、決まりだ!」

上司「正道君、面倒見てやれよ!」

正道「はい」

渋々承諾し俺は上司に一礼し会議室を出て行く。

エーミールとは何も話さずに廊下を歩いていると、エーミールが突然話しだした。

エーミール「せーどー…怒ってる?」

その言葉にハッとし、立ち止まるとエーミールが俺の背中にぶつかる

エーミール「わぶっ」

正道(何をイライラしてるんだ…俺は)

少し考え、深呼吸をしエーミールに向き直る

正道「悪かったな…」

エーミール「え?あ、い、いいよ…?」

正道「だが、この仕事はエーミールに

   は危険すぎる…」

エーミールは自身の胸を叩き、鼻高々に話し出す。

エーミール「ふふん、せーどーは知らないもん

      ね!」

エーミール「ボクね!すッッッごく強いんだから

      ね!」

正道「それは知っているが…もしものことがあった

   場合のことをだな…」

エーミール「大丈夫!ボク強いもん!」

頭を抱え、少し考えるが納得するしかないようだ。

正道「わかった」

エーミール「!!」

正道「でも、嫌なこともあるし逃げ出したいことも

   ある」

正道「融通が聞かない事も出てくる、それでもへこ

   たれずに前に進めるか?」

エーミール「ゆう、ずう…?」

エーミール「よくわからないけど、大丈夫!」

正道「よし、それじゃあ俺の隊に行くか」

エーミール「うん!」

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