00 迷創断裂
「自分を殺さないで」
一人の少女が私に語りかけてきた。
そう、私だ。
「自分を見捨てるのはよして」
私に似た少女は語りかけてくる。
「何が言いたいの?」
「自分を偽るのはよして」
黒い服をきた少女は邪悪な笑みを浮かべた。
「なんで、そう自分を偽り続けられるの?いっそ、楽になったほうがいい。自分の力では何もできないと思っている。なんで、やる前からそうやって自己卑下に浸れるの?」
「浸ってるわけじゃないよ」
「じゃあ、なんで、自分に正直にならないの?」
「黙ってよ」
「なんで、私を使わないの?」
「私は・・・」
「ふふっ何?」
その瞬間、視界が変わった。少女は消え、変なビジョンが頭の中で渦巻いた。
そこがどこなのかわからない。景色に白いもやがかかって視界を遮っている。その場で私は腰を抜かしていた。倒れ込んでいると言っていい。
「どんなものでも始まりがあり、終わりがある」
今度は私の声でなく、また別の人の声がした。
「オレには、どんな不条理だろうと、通じはしない」
なんだ?
「おまえさんはどうなんだ?何をなし、そして、何のためにそこに立つ?」
その言葉を最後に声がしなくなった。
何?
「オレはな、不条理そのものなんだ」
銀色の刃が白い閃光のように視界を遮り、私の顔に向けて刃がーーー
「はっ!」
ピピピッピピッ
目覚まし時計が鳴る音で目が覚めた。
時刻は午前8時15分。
目覚ましのタイマーを切ってから、ベットから起き上がり、汗まみれになった額を手で覆った。
ただの夢?
手の震えが止まらない。夢と言っても妙なリアリティーがあった。
連続で変な夢を見る。気持ちが悪かった。
直感的にただの夢ではないなと思った。
気分は最悪だ。
窓の外から鳥の囀りが聞こえ、朝日が部屋を照らしていた。
私はベットから起き上がったまま、しばらくその場を動けなかった。