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そして、ついに夜が来てしまった。
「……おい、本当に行く気か」
「あたぼうよ。サッと行ってサッとパクれば楽勝だろ?」
ギャグで言っている訳でも、頭がおかしくなった訳でもないらしい。ミルフィーは本気だ。カイは再度頭を抱える。
「行くって……場所分かってんのか?」
「……あ」
どうやら知らないらしい。一応あの本に書いてあるのだが。剣に気を取られてそういうところは全く読んでいなかったようだ。
「村のはずれにある塔だよ。そこの最上階にエクスカリバーは納められてるってさ」
「よし、じゃあとっとと行ってパクってこようぜ」
「……本気かよ」
「本気だよ」
……という訳で、ミルフィーとカイの二人は塔までやってきた。
「ほ、本当に入るのか?」
「当然」
「塔には罠も沢山あるって……」
「敵さえいなけりゃ何とかなるだろ。罠なんて避ければいい。……邪魔すんぜー!」
カイが止める間もなく、ミルフィーは塔の扉を蹴り開けた。何と罰当たりな!
「電気とかねーのかあ?」
「真っ暗だな……」
夜なので電気が無ければ塔の中は真っ暗だ。罠があるなら見えないのは危険過ぎる。カイが入口近くの壁を触ってみるが、電灯のスイッチのようなものは存在しない。
「……ダメだ。流石に暗闇の中を進むのは危険過ぎる。諦めるしか……」
パチッ
カイがそう呟いた途端、それに反応するかのように塔内がパッと明るくなった。
「な、何だこれは……」
「どうやらオイラたちを出迎えてくれてるみたいだな」
どんなシステムだ、とカイは心の中でツッコミを入れた。
「明るいなら入れるだろ?とっとと行こうぜィ」
「あ、ああ……」
カイが恐る恐る足を進める反面、ミルフィーはさっさと先へ進んで行ってしまう。この男に恐怖心というものは存在しないのだろうか。