5-6
「……はあっ、全くアンタら戦争が始まるってのに呑気に外を歩いて……警報が聞こえなかったのかい?」
警報……そんなものは聞こえなかったしそもそもこの町の出身ではない四人が警報を聞いたとしても、それが警報だとは理解出来なかったであろう。
「いや、オイラ達旅人で……」
「おやおや!道理で見ない顔だと思った!何処から来たんだい?」
「あ、俺はカナイ・ド村で……」
「あそこかい!?随分遠くからやってきたんだねえ!わざわざ王都まで何をしに来たんだい?」
「私達は王に……」
「王様にねえ!でも今は無理だと思うよ!」
……おばさんパワー恐るべし。最後まで言わせて貰えない。
「ああ、そういや他にもアンタらみたいなお客さんが二人いるけどね。あたしゃお節介おばさんだから。何人増えようと構わないよ。ゆっくりして行きな」
多分、残りの二人もこんな感じで連れ込まれたんだろうなあと四人は思った。
「あっ……!ケンさん!皆さん!」
「おお、ハルトじゃねーか!」
どうやらお節介に巻き込まれたうちの一人はハルトだったらしい。
「お前も連れ込まれたのか?」
「ああ、うん。君らみたいな感じに強引にね……。まあ、戦争に巻き込まれるよりはマシかな」
苦笑しながらハルトは言う。
「てか、戦争が始まっちゃったらますます王に会えなくなるじゃん!どうすんのさ!」
「さっきも言ってたけど、アンタら王に会いたいのかい?やめときな、今城の奴らは気が立ってるから」
きっと王に会えなかったのも戦争が始まるからに違いない。そう考えればピリピリしていたのにも関わらずこちらに紳士的な対応をしてくれた門番は聖人と言わざるを得ない。
「……はあ」
ふと、トントンと階段を降りる足音が聞こえ、全員が思わず話を止める。多分、同じようにおばさんに引っ張って来られた客だろう。2階にもこちらの声が聞こえていたらしく、煩いと言わんばかりにため息をつきながら降りてきた。
「ああ、すまないねえクレハさん。煩かったかい?」
「いや、違う。確かに声は2階まで響いて来たが、王に会うと言っていたのが気になって降りて来ただけだ」
おばさんにクレハと呼ばれた男の声を聞いてケンはこう思った。「あれ?この声どっかで聞いたことあるな。しかも比較的最近」と。そしてその意味を彼が理解する前にサンゴが飛びかかる。
「お、お前えええええ!!!!」
「ちょ、待っ……!」
彼の動きが速すぎて、ケンが止める間も無かった。サンゴはそのまま手を振りかぶり……
バッチーン!!
「ぶふっ……!!」
小気味いいビンタの音が響き渡り、そのビンタを喰らった男……いや、酒場で出会ったアルビノのあの青年は、そのあまりの勢いに吹っ飛ばされるのであった。




