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ケンの提案で酒場に向かうと、そこは想像していたよりも立派な建物だった。
「こりゃまたでっけえ酒場だなあ……」
EXPを報酬に交換して貰いながらケンはキョロキョロと辺りを見回す。
「あんまりジロジロ見るな。俺らが田舎者だって思われるだろ。……事実だけど」
「しかし、これだけ人がいるのなら情報も集まりそうですね。どうです?自由行動は酒場内にするのは」
「ボクはそんなめんどいことしないから。お腹減っちゃったしご飯食べてくる」
そう言ってサンゴは2階に上がっていく。どうやら2階には食事スペースがあるらしい。文句は言いつつもきちんと酒場には居てくれるらしいが、情報収集を手伝う気もないようだ。
「では、我らは各々目に付いた方に聞くということで」
セーヤの言葉に三人は解散する。しかし、かなり広い酒場だ。流石王都と言わざるを得ない。
「……さて、ならオイラは2階に行くかね。サンゴをフリーにすんのもやばそうだし」
恐らく、後者が本音であるケンは2階へ上がっていく。2階もなかなかに広く、立ち飲みメインである1階とは違い、しっかりと食事用のテーブルと椅子も用意されていた。
「ふむ、誰に聞こうかねえ」
サンゴは大人しく食事をしているようだったので安心して聞き込みに集中することにするが、誰に聞き込みをすべきか迷ってしまう。
「おっ……あの真っ白な男にするか」
雪のように真っ白な髪に血のように真っ赤な瞳。恐らくアルビノだろうか。この酒場の中では明らかに目を引くその青年にケンは声をかけることにする。しかし……
「お兄さん、かっこいいね。一人?良かったら一緒に飲まない?」
「わ!すごーい!上玉じゃなーい!」
「ね、ね、御一緒してもいいでしょ?」
「……断る」
ケンと青年の間に割って入ってきた三人の女性に邪魔をされてしまう。一人で食事を楽しんでいた青年は鬱陶しそうに立ち上がる。ケンは邪魔されたことに軽く舌打ちをし、別の人に話を聞こうとした……が、
「うわ、ちっさ。顔はいいのにもったいない」
「アタクシよりも低いし、160もないってこと?幾ら顔が良くてもチビはね……」
「あーあ、顔が良ければ彼氏にって考えたのに」
三人の女性が青年に対して口々に暴言を吐くのを聞いて、足を止める。
「おい、アンタら────」
「おいクソババア!キモいんだよ!!」