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「違う!!」
フユミの言葉をハルトが否定する。
「僕がシキの町を出る前に見たフユミの舞は完璧だった!あの舞のおかげで僕は背中を押して貰えて、仕事だって頑張れたんだから……!!」
「でも!!母さんの時は花は枯れたりなんかしなかった!踊り手があたしに変わってからなのよ!?あたし、あたしが、ちゃんと出来なかったからに決まってる!!」
フユミは半狂乱になって叫ぶ。確かに今まで起こらなかったことが自分の代になって起こってしまったら、原因が自分ではないかと思ってしまうのは無理もない。
「次こそは、次こそはって一年頑張った!でも、花はどんどん枯れて……ついには大樹までも枯れてしまったのよ!?花の舞なんかじゃない!あたしの舞は呪いの舞なんだわ!」
泣き出すフユミに対してかける言葉が見つからない。
……一方、サンゴだけは気にせず大樹に触れ、原因を突き止めようとしている。
「おい、何やってんだよサンゴ」
「ケン……気づかないの?この町の魔力の薄さに」
サンゴに指摘されたケンはクンクンと匂いを嗅ぐが……当然何も感じる訳がない。
「うんにゃ、オイラには何もわかんねえけど。エルフには分かるってのか?」
「ばかじゃないの?匂いで分かるワケないじゃん。……前と一緒だよこれ。前の村も魔力が薄かったけど、クリスタルの結界を修復したら魔力が濃くなった」
「……つまり、シキの町もクリスタルの結界が破られているってことか?」
カイが話に加わる。サンゴは頷いた。
「成程。結界が破られたせいで花が咲かないのですね」
「そこは断定出来ないけど……」
セーヤの言葉に、サンゴは渋い顔をする。
「まあ、怪しい要素があるなら調べて見る方がいいわな。クリスタルの場所、聞いたら良いんだろ?」
ケンはサンゴの背中をバチンと叩いた。「何するんだよ!」と怒鳴られたがそんなことは後。今はクリスタルの場所を聞くのが先だ。
「よーよーおふたりさん。ちょいと聞きたいんだが、この町のクリスタルは何処にあるんだ?」
少し泣いて落ち着いたらしい。フユミはもう泣き止んでいたので、ケンは二人にクリスタルの場所を聞くことにする。
「えっ……?クリスタル、って?」
しかし、返ってきた言葉は想像もしないものであった。
「いや、クリスタルだよクリスタル。村や町には絶対存在してるんだろ?それがないと魔物が入り放題じゃねえか」
「ごめんなさい。何のことを言っているのかよく分からないのだけれど……」
ハルトもフユミも本当に困ったような顔をしている。嘘をついているようには見えない。