表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/56

4-3




「ハルト!」

「……フユミ!?」


女性が向かったのは町の中央にある立派な大樹の元だった。そこには先に走っていったハルトもいる。


「もう!ハルトったら!帰ってきたならちゃんと言いなさいよ!」

「ご、ごめん。大樹のことが気になったものだから……」

「そーだぞ。馬車もオイラたちも放置されて、どうしたらいいか分かんなかったんだからな」


二人の間にずい、と入っていくケン。


「ケ、ケンさん……それは本当にすまなかったね……」


謝罪するハルト。ついでに全員の自己紹介をしつつ、馬車は町の入口に繋いでおいたことも教えておいた。

先程の女性の名はフユミで、ハルトの幼なじみらしい。




「……ちょうどハルトが出て行った一年前くらいからの話なんだけど。その頃からシキの町に花が咲かなくなってしまったの」


フユミはシキの町の現状を話してくれた。彼女曰くはじめは少数の花が枯れていただけだったが、そのうちどんどん枯れていってしまい、最終的には大樹にすら花が咲かなくなってしまったらしい。


「僕が出て行った後?何でそんなことが……!?」

「……分からない。でも、あたしのせいなのかもしれない」


そう言ってフユミは俯いてしまう。堪らずケンは口を挟んだ。


「えーっと、何でフユミのせいなんだ?何かまずいことでもしたってのか?」

「おい、無神経だぞ……!」


カイが止めようとするが、フユミは首を横に振った。




「……シキの町はね、毎月一日に花祭りが開かれるの。シキの町がこれからも綺麗な花でいっぱいでありますように……って祈願するためのお祭り。そして花祭りには花の舞を舞うための踊り手が一人いるの」

「花の舞……。これも祈願のための儀式……みたいなものですか」


セーヤの問いにフユミは頷いて続けた。


「踊り手は代々花の舞を継いでいたあたしの家系の女が選ばれることになってた。二年前までは母さんだったの。だけど母さんももう歳だからって引退した。そして一年前、あたしが踊り手に選ばれた」


そこでフユミは言葉を切り、大樹を見上げる。




「……花が枯れ出したのは、それから」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ