3-9
「……?」
……しかし、痛みはいつまで経っても襲ってこなかった。サンゴが恐る恐る目を開けるとそこには……
「アンタなあ!!無茶し過ぎなんだよ!!」
「……!ケン……っ!!」
魔物とサンゴの間に割り込むようにし、ケンがエクスカリバーで魔物の攻撃を見事防いでいたのだ。
「後衛職は黙って後ろに下がってな!」
「そう思うならボクをフリーにすんな!ちゃんと援護しろ!」
「……まあ、それは正論ですね。私も魔術師一人に任せるのはどうかと思いましたよ。しかも、貴重なエルフですのに!この美しい肌に傷をつけるだなんて!!」
「ちょっと!キモいこと言うのやめろ!!」
セーヤが追い打ちとばかりに鉄扇で魔物をぶっ叩き、サンゴも続いて魔法を放ち、魔物を倒す。
「さあ、アンタも逃げて建物内に入ってな!」
「あ、ああ……!」
その隙に店主は何とか立ち上がり、近くの建物内に避難した。これで一応、外にいた一般人は全員建物内に避難させたことになる。しかし、ケン達に一息つく暇などない。魔物は、襲いかかるのを止めてなどくれないのだから。
「……あのさ!このまま戦っててもキリがないことはわかるよね!?」
「ああ、そもそもクリスタルの結界があるのに魔物が入ってこられるのはおかしいんだ!」
「でも現に魔物は村に侵入しています。ということは……」
「結界に何か不具合があったに違いねえ!」
そうと決まればクリスタルの元へ……と急ごうとするケンをサンゴが慌てて止める。
「ちょっと!ここで無限湧きしてる魔物を放置するワケにはいかないじゃん!?」
「でも全員でここで残る訳にはいかねえだろ!?」
「ならば二人ずつに別れましょう。私はここに残らせて貰いますよ、トワさんが心配なので」
「お、俺もこっちに残る」
セーヤとカイが残りたがる。つまり、クリスタルの元へ向かうのは残ったケンとサンゴになる。
「はあ!?ボクが!?」
「うだうだ言ってる時間はねえ!とっとと原因解明して、村を救うぞ!」
「ちょっ、待っ……!!」
ケンは小柄なサンゴを無理矢理抱え、クリスタルの元へと急ぐのであった。